2019年07月17日

◆ JDI とエルピーダの明暗

 JDI とエルピーダが明暗を分けている。では、その理由は?

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 JDI とエルピーダが明暗を分けている。JDI は瀕死のありさまだが、エルピーダは好調だ。光と影のように、くっきりと別れている。では、その理由は?
 これについて報道している朝日の記事があった。
 ジャパンディスプレイ(JDI)が約1700億円かけて米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けの専用工場を建てたのは、2016年秋のことだ。
 「売れない在庫を作っているような状態だった」。男性社員はそう肩を落とす。約400人の従業員は今、工場の維持作業をしたり、国内の別の工場に応援に行ったりしている。

 ■「無駄多い工場」
 JDIは……いまや債務超過寸前で、香港や中国の投資会社の資金力を借りた再建を模索する。経産省は「無理して延命はしない」(幹部)と責任を放棄しようとしている。
 官主導の「無責任体質」を地元は見抜いていた。長く取引していた男性社長は「白山工場は無駄が多かった」と証言する。ほぼ新品に近い約30億円する機械を新たなものに入れ替えたり、取引先に「安すぎて安心できない」と見積書を突き返したりしていたという。男性は「(公的資金を得て)自分の腹が痛まないから、金勘定が甘かったのではないか」と手厳しい。
 昨年末には、社長ら民間出身の取締役9人全員が辞任。後任社長は決まっておらず、「開店休業」状態が続く。
 投資が失敗続きの官民ファンドは多い。財務省によると、主要7ファンドのうち、17年度末時点で累積黒字なのは二つだけだ。
 元手を出す財務省は、今年度からようやく監視強化に乗り出す。

 ■民主導で転調も
 一方、「官主導」のくびきをようやく断ち切りつつある企業もある。
 広島県東広島市にある米マイクロン・テクノロジー傘下の半導体工場。もともと、半導体メモリー「DRAM」の国内唯一の専業メーカー「エルピーダメモリ」の工場だった。08年のリーマン・ショック後の半導体不況で業績が悪化。国は公的資金300億円を出資したが、12年に約4500億円の負債を抱えて会社更生法を申請。
 だが、マイクロン傘下となった13年以降、スマホ向けのモバイルDRAMが伸びた。この6年間で800人を新たに雇い、今後も500人の増員を計画するなど地元への貢献も大きい。
( → 官民ファンド 乱立後、多くは累積赤字:朝日新聞

 JDI が失敗したのは、駄目な経営者による放漫経営が理由だった。ほとんどの官民ファンドがそうだ。
 ではなぜ、エルピーダはうまく行ったか? エルピーダを倒産させて(会社更生法を適用して)、エルピーダではなくなったからだ。官民ファンドであることをやめて、民間企業の経営に任せた。だから、工場も労働者も守られたわけだ。
 一方で、JDI は国から公的資金をどんどん注入されてから、その金を次々と無駄につぶした(捨てた)。すべては経営者が無能であるからだが、その経営者自体がもはや存在しなくなった。(上記)……無策も極まれり。

 ここまで見れば、何が悪かったかがわかる。赤字であると判明したあとも、延々と延命させた経産省の方針が原因だ。エルピーダを倒産させたように、JDI もさっさと倒産させれば良かった。そのあとは、シャープか何かが経営を引き継いで、状況を黒字化するか、あるいは、事業停止にするか、どちらかを選んだだろう。現状のように「次々と金を投入して、次々と金を食いつぶす」という最悪の状況を避けられたわけだ。
 放蕩息子の浪費。ごくつぶし。それが現状の JDI だが、何よりもまずいのは、この状況を見ても、まだ延命させようとしていることだ。

 日本にとって必要なのは、( JDI の)経営母体を存続させることではない。( JDI の)工場や従業員を存続させることだ。そのためには、いったん倒産させてから、どこかの会社に事業を売却するのが最善なのだ。
 エルピーダはそれができた。JDI はできなかった。その違いが、明暗をもたらしたのである。



 【 関連項目 】

 (1)
 JDI については、「さっさと倒産させろ」と私はずっと前から言っていた。下記項目には、過去記事へのリンクがいくつもある。
  → JDI が身売り: Open ブログ
  ※ これ以外にも、サイト内検索すると、項目が見つかる。

 (2)
 政府の責任者は誰か? 
 文中では、産業革新機構を所管する経産省のせいだ、というふうに記してきた。(引用記事でもそうだ。)
 だが、この資金( NTT 売却の多額の金)を提供した財務省理財局に責任がある……というふうに記したことがある。
  → JDI の迷走の根源: Open ブログ
 
 本項の引用記事でも、次の記述がある。
 「元手を出す財務省は、今年度からようやく監視強化に乗り出す」
 手遅れというか。何ともひどいものだ。国民の金を使って、勝手にバクチをして、すってしまったようなものだ。ごくつぶし。それが財務省だ。
 だから 10月に消費税増税をするのかな。バクチの大損の穴埋めは、国民の血税で。気楽だなあ。



 【 追記 】
 政府が JDI の倒産を認めないのは、なぜか? おそらく「日の丸会社」であることにこだわって、外資に売り渡すことを恐れているのだろう。特に、国粋主義の安倍首相や自民党ならば、「虎の子を台湾や中国の会社に売り渡したくない」と思うだろう。
 一方、エルピーダが会社更生法適用の申請を行ったのは 2011年2月。これは、民主党政権の時代だ。だから、国粋主義的な考えはなくて、外資に売り渡すことを恐れなかったのだろう。
 あと、エルピーダの売却先はマイクロンであって、米国の会社であったということも、売却しやすいことの理由になったようだ。
posted by 管理人 at 21:00| Comment(1) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 政府が JDI の倒産を認めないのは、「日の丸会社」であることにこだわったからだろう、という話。
Posted by 管理人 at 2019年07月18日 23:12
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