2019年07月16日

◆ 三次元グリル(自動車)

 自動車のグリルは、基本的には平面的なデザインだが、彫刻のような三次元構造のデザインを提案したい。
( ※ スカイラインの話の余談ふう。)

 ──

 日産スカイラインがマイナーチェンジして、グリルのデザインが一新された。


skyline-f.jpg


 ツイッターでは、賛否両論だ。
  ・ カッコいい
  ・ グリルがダサい


 よく見ると、「カッコいい」と言っている人は、全体的な雰囲気を見ているようだ。しかし、全体的なデザインは、前のデザインと変わっていない。(マイナーチェンジだからだ。)
 変わったのは、フロントのボンネットと、フロントのグリルだ。特に、グリルは(いわゆる)Vモーションというやつだ。それも、アルティマ以後の Vモーション 2.0 ではなくて、昔からの Vモーション1.0 だ。
 で、このグリルに着目した人は、多くが「ダサい」「カッコ悪い」というふうに批判している。

 ──

 では、どうすればいいか? 私は、「自分ならどうデザインするか?」ということを考えてみた。ただし、まったくの新規デザインではなくて、Vモーション1.0 の基本理念を踏襲することにする。
 Vモーション1.0 で一番まともなのは、リーフのデザインだろうから、これを訂正前のデザインとする。


leaf2a.jpg


 このデザインについては、私は前に論じたことがある。そこでは、微修正版として、次のデザインを提案した。


leaf1a.jpg


 しかし、これでは大差がない。微修正ではなくて、抜本的な修正をしよう。

 ──

 (1) 左右延長

 まず、逆台形の銀色部分だが、これだけでは、ちょびヒゲみたいな印象があって、カッコ悪い。そこで、この銀色部分を、頂点からさらに左右に伸ばす。つまり、銀色部分の頂点から、ヘッドライトの上側に銀色部分を伸ばす。
 こうすると、銀色部分は、グリルの途中で途切れることがなく、車の側面の方までつながることになる。このことで、まるで翼のようなイメージとなる。サモトラケのニケみたいな印象だ。


samo-nike.jpg


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 (2) 曲線化

 リーフの銀色部分は、三つの直線で構成されている。その上で、角となる部分を少しだけ和らげている。(角を丸めている。)
 これを大幅に拡張して、すべてを柔らかな連続的な曲線とする。もはや直線の痕跡を残さないほど、柔らかな連続的な曲線とする。
 このようにすると、全体デザインはいっそう翼みたいな印象に近くなる。

 (3) 3次元化

 単に直線を(なだらかな)曲線にするだけでなく、この曲線全体に、前後方向の変動を付ける。特に、次の二点だ。
  ・ ヘッドライトの上の部分は、上から見て斜めになるようにする。
  (側面へと流れるようなデザインとする。)
  ・ 元のリーフのデザインで斜線となる左右二つの部分は、後傾する。
   (上に行くほど後ろに退くように傾斜させる。)

 こういう3時限的なデザインとすることで、サモトラケのニケみたいな印象がいっそう強まる。

 ──

 以上のようにして、銀色部分は複雑な三次元構造のデザインを持つ。これはまるで、彫刻みたいなデザインだ。
 村上隆のマイ・ロンサム・カウボーイ という立体デザインの作品があるが、ここでは帯状の曲線の構造物が、それだけでひとつの立体デザインを構成している。曲線上のものが立体デザインをなしているわけだ。
 それと同じことが、私が上で提案した曲線デザインについても当てはまる。このようなデザインは、それだけを見ていても、ひとつのりったんデザイン作品として「美しいな」と鑑賞するに足るものとなる。

 ──

 グリルをこのような3次元構造で構成するということは、これまでの自動車デザインには見られなかったことだ。
 古くは、ただの平面のようなデザインのグリルが多かった。格子状とか、ストライプ状とか、網状とかのグリルだ。
 その後、車体全体を卵形ふうの凸状の曲面で構成するデザインの流れができると、グリル部分は、「曲面の一部」というふうにデザインされることが多くなった。ここでは、曲面自体は3次元的な構造を持つが、曲面を「広義の平面」と見なせば、「曲面の一部」というふうなデザインは、やはり2次元的なデザインだったと言えるだろう。(平面デザインを曲率で歪めただけのものだ。)
 一方、本項で示したデザインは、それを凸状の曲面に移し替えることはできない。あちこちで前後方向の変動があるからだ。それは、サモトラケのニケのデザインが凸状の曲面に収まらないのと同様である。(複雑な三次元構造を持つ。)

 というわけで、本項では、複雑な三次元構造を持つような3次元グリルを提案した。このような発想を取ると、自動車のグリルはひとつの彫刻のように複雑で美しいデザインにすることができるのだ。



 [ 付記1 ]
 ただし、コストはかかりそうだ。
 普通のグリルは、おおまかには二次元構造を持つので、金属をプレス1回で曲げて作ることができる。
 一方、本項のデザインでは、プレス1回で済ませることはできないだろう。かなりコストがかかりそうだ。
 しかし、うまい工夫もある。こうだ。
 「グリルをいくつかに分割することで、それぞれの部分はプレス1回で済ませる」
 これなら、コストは大幅にアップしないで済ませることができる。

 [ 付記2 ]
 なお、上の方法を取る場合には、補助的な工夫として、次のように注意することが必要だ。
 「部分を接続する場合には、接続する部分が目立たないようにする。そのためには、錯覚効果を利用する」


 第1に、分割するときは、曲線部分で分割してはいけない。曲線部分はあくまで一体化して、継ぎ目をなくす。
 第2に、継ぎ目のある部分では、「そこから横に伸びる線」などをデザイン的に追加して、継ぎ目の部分を目立たなくする。
 たとえば、グリルの縦線(斜線)の中央に継ぎ目があるとしたら、その継ぎ目部分から、横に伸びる細い線のようなデザインを追加する。そうすれば、継ぎ目部分がことさら目立つようなことがなくなる。

       
posted by 管理人 at 21:42| Comment(1) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 本項で示したデザイン案に似た感じのデザインが、新型セレナで採用された。
  → http://www2.nissan.co.jp/SP/SERENA/NEW/

 V 型のクロムメッキ部分の頂点から、サイド方向へクロムメッキが延びている……というデザイン。
 私が提案した案に、かなりよく似ている。

 日付を調べたら、日産が上記のデザインを公開したのは、私が本項を書いたのと同じで、7月16日だ。奇しくも同じ日だった。

 なお、私はパクったわけではありません。セレナのデザインに気づいたのは、今日(26日)が初めてだ。
 また、私が本項のデザインを思いついたのは、7月の上旬のころだ。書く前に1週間ほど考えていた。(アイデアを寝かせていた。)

 とはいえ、セレナの案ができたのは、1年以上前だろうから、その点では、日産の方がずっと早い。

Posted by 管理人 at 2019年07月26日 23:12
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