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前にこれについて紹介したことがある。
→ 日産の新しい自動運転車: Open ブログ
そこで予告されたいたことが、とうとう実現した。日産はスカイラインのマイナーチェンジに合わせて、ハイブリッド車に限って、自動運転技術(プロパイロット 2.0)を投入した。
では、これはどのようなものか?
レベル
レベルとしては、明らかにレベルアップしているが、それはどのようなことか?
まず、「ハンドルから手を離すことができる」という点が目新しい。
これは、常に可能なわけではなく、条件が付いている。
ハンズオフとはハンドルから両手を離すことで、その条件とは「ドライバーが常に前方を注意し、道路・交通・自車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作できる状態にあること」である。
一方でハンズオフできない状況もある。対面通行路、トンネル内、急なカーブ、料金所、合流・分岐地点とその手前などは、ハンズオフできない設定になっている。ハンズオフ中に、そういった区間が近づいたときは、ハンドル操作を引き継ぎやすいよう事前にシステムがドライバーに伝える仕組みになっている。
( → 「プロパイロット2.0」で本当に手放し運転できるの? | Park blog )
条件が付くが、ともかく手放し運転が可能だ。では、これは、どうして可能になったか? ドライバーの視線を常に確認することによってだ。
ドライバーの視線は新たに搭載された赤外線カメラで監視されており、それによってドライバーが前方を注視していると判断されることが必要だ。
( → 【日産 スカイライン 新型】“手放し運転”が可能 | レスポンス )
両手が空くことでスマホなどを使ってしまい、ドライバーが前方を注視しなくなる可能性がある。そうした状況を防ぐために搭載されているのが「ドライバーモニターカメラ」だ。このモニタリング機能は、前方を注視していないときだけではなく、居眠りや、体調不良による意識喪失など、ドライバーが運転できない状況すべてに対応している。
ドライバーがハンドルを握るべき区間で握らない場合は、まずアラートで促される。しかし、どれだけアラートを出してもハンドルを握らないときは、クルマがゆっくりとハザードランプを点滅させながら、そのレーンで停車するようになっているそうである。
( → 「プロパイロット2.0」で本当に手放し運転できるの? | Park blog )
このように「ドライバーを監視する」ということで、ドライバーの不注意を避けることができるようになったわけだ。
だが、それだけで自動運転が可能になるわけではない。自動運転が可能なのは、高速道路上に限られるとはいえ、精密な自動制御が可能であることが前提となる。
ちなみに、それまでの技術(プロパイロット1.0)では、曲率の小さなカーブなどには対応しきれなかったそうだ。
他にも、単に定常走行するだけでなく、追い越しのときの車線変更(レーン変更とレーン戻り)も自動制御されるようになった。
プロパイロット2.0がもたらすもう一つの大きな特徴が、カーナビゲーションで目的地を設定している時、分岐や車線変更、追い越しなどを行う際にハンドル操作を支援してくれる「ナビ連動ルート走行」機能の搭載だ。
これはこのモードで走行中、前方に、設定した速度よりも遅いクルマが走っていることをシステムが検知すると、追い越しが可能であることをドライバーに提案。ドライバーがハンドルに手を添えて承認スイッチを押すことで、システムが周囲の状況を確認して右へと車線移動を行う。そして、追い越しが完了して元の走行車線に戻れるとシステムが判断すると、再びドライバーにそれを告知してハンドル操舵が行われる。さらにこの機能では、分岐での支援を行なうことも可能(車線変更支援)となっている。
( → 【日産 スカイライン 新型】“手放し運転”が可能 | レスポンス )
こういうことができるようになったのは、カメラを三つ使うとか、コンピュータの性能を上げるとか、ソフトを大幅に向上させるとか、さまざまな点で自動運転技術がレベルアップしているからだ。決して「カメラで監視しているから」ということだけによるのではない。
この件は、以下でも詳しく論じる。
システム
今までのシステム(プロパイロット1.0)では、単眼カメラとアクセルとブレーキとハンドルの自動制御があったぐらいだった。しかし新しいシステム(プロパイロット2.0)では、あちこちで(多くの点で)システムが大幅に向上している。
ハード面で特にキーとなるのは新開発されたトライカムと呼ばれる三眼カメラで、150度、54度、28度と3つの画角で前方の状況を幅広く把握できるようになった。
ソフト面の注目ポイントは、日本の高速道路のすべてのレーンの区分線情報と速度標識、案内標識などの情報を含む3D高精細地図データで、これは高速道路の経緯上をcmレベルの細かさでデータ化した3D高精細地図データを持ち、その精度はおよそ横方向で5cm以内、前後方向1mという細かさだという。
このおかげでカメラで見える範囲より先の曲率や勾配などの道路形状を先読みでき、滑らかな速度制御が可能となっている。
( → 日産がついに手放し自動運転を実現する! 今秋、まずは新型スカイラインから(MotorFan) - carview! )
車両ではGPS信号により大まかな自車位置を検出し、3次元高精度マップと実際のカメラによる映像を重ね合わせ、自車位置を検出するが、その位置精度は左右方向で5cm以内、前後方向で1m以内という高いレベルにある。
そのため、例えば3車線のどの車線にいるか、ジャンクションやインターチェンジ出口でどの車線にレーンチェンジすべきかをシステムは正確に判定することだできるのだ。また前方カメラやレーダーでは補足できない、見通しの効かないブラインドカーブの前方の道路の曲率や勾配、登り下りなどの道路情報も3次元マップにより取得できるため、より余裕を持ってシステムは操舵アシストや加減速を行なうこともできる。
このように高度運転支援システムと高精度な3次元デジタルマップ情報を組み合わせることで、レベル2.5のADASが実現している。
( → 日産 半自動運転「プロパイロット2.0」システム概要 | Auto Prove )
日産によれば、3D高精細地図のOTA更新・取得には冗長系のサブシステムを稼働させる必要がある、ステアリングや電動ブレーキも専用にする必要があるなどで、両立はすぐにはできなかったようだ。
とくにハンドオフ運転のための高精細地図を使ったミリ単位のステアリング制御は、今回のスカイラインに搭載されたDAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)の機能がないと難しいそうだ。
( → 【日産 スカイライン 新型】インフィニティ顔を廃止 | レスポンス )
コスト
コストはどのくらいアップするか?
上では「ステアリングや電動ブレーキも専用にする」という記述があった。このことで、ハイブリッド車以外のモデルには自動運転技術を投入できなかったようだ。
「オプションで後付けすればいい」
というような具合には行かないようだ。基本構造で専用部品を使わなければならないからだ。
となると、コストは相当アップするだろう。プロパイロット1.0 でさえ 20〜25万円ぐらいはかかったようだ。プロパイロット2.0 だと、カメラやレーダーだけでも 40万円ぐらいになりそうだ。

それにくわえて、監視カメラ、コンピュータ制御システム、専用部品など、あれやこれやと足すと、100万円前後になってもおかしくない。
ちなみに、ライバルになるとしたら、ベンツ Eクラスがあるが、これの価格は次の通り。
→ 価格・ラインアップ - メルセデス・ベンツ Eクラス | ヤナセ
2リッター・ターボの直4エンジン搭載車でさえ、700万円もする。6気筒エンジンになると、1000万円を越える。おおざっぱに言って、スカイラインの倍以上の価格だ。それでいて、自動運転技術では、スカイラインよりもやや劣る程度だ。
となると、ベンツEクラスに比べて、スカイラインは格安であると評価してもいいだろう。
今回の自動運転技術は、非常に高く評価できる。
( ※ 高速道路の途中運転の場合に限る、という制限はあるのだが、それでも現時点では世界トップと言えるだろう。)

私が考えたすえに出した理由は、次のことだ。
「 Openブログが日産の単眼カメラ方式を、けちょんけちょんにけなしたから。コストをケチって最悪のレベルだと何度も批判して、その批判が5ちゃんねるなどに掲載されて、日産は面目をつぶされた。そこで、頭にきて、発奮しして、息巻いて、メチャクチャに頑張った」
つまり、本サイトがものすごく悪口を言ったせいで、日産は自動ブレーキを高度に発展させた……というわけだ。 (ほんとかね?)