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セブンイレブンの24時間営業については、これまで何度か言及したが、その続報ふうに、二つの記事を紹介する。
オーナー死亡
ドミナント戦略(店舗の集中立地)のせいで、近隣に進展ができたせいで赤字化した店のオーナーが死亡した。
→ コンビニ閉店の裏側…ドミナントで家庭崩壊、オーナー失踪騒動 - 弁護士ドットコム
「遺体が発見された」ということだが、病気があったことで、「病死であって事件性はない」というふうに示唆する見解もある。
今年3月末で閉店したセブンイレブン東日本橋1丁目店のオーナー齋藤敏雄さんが7月11日、遺体で発見されたそうです。
— 弁護士ドットコムニュース (@bengo4topics) 2019年7月12日
別居中の妻によると、死後数日が経過していたそうです。死因は不明とのこと。齋藤さんには心臓の病気がありました(続)。https://t.co/F2MMcUrlr8
これは弁護士の見解だが、そもそも、死亡の3カ月前から失踪している。(記事を参照)
失踪しているのが根本原因だ。この時点で、まともに生きる気力をなくしているわけだ。とすれば、自殺だか事故死だか衰弱だか、直接の理由はハッキリしないにせよ、真の原因がセブンイレブンの経営戦略であることははっきりしているだろう。
なお、失踪の理由は、ドミナント戦略だけではない。24時間営業によって、時短を認めなかったことも大きい。
2014年9月には、深夜シフトに入っていた長男の栄治さん(当時19)が夜勤後に自宅で自殺した。
長男の死のしわ寄せは、高校生だった次男にも来た。日勤だけでなく、夜勤に入ることもあったという。当然、授業のほとんどは寝て過ごした。
政代さんは、子どもを犠牲にするくらいならやめたいと、本部の経営相談員(OFC)に話したこともあったそうだ。しかし、違約金がかかると言われ、渋々続けることになったという。
( → コンビニ閉店の裏側…ドミナントで家庭崩壊、オーナー失踪騒動 - 弁護士ドットコム )
上で言う「違約金」というのは、1700万円であるらしい。この金額を払わないと、閉店できないわけだ。
→ セブンイレブン 閉店 違約金 万円 - Google 検索
これは、公序良俗に反するし、優越的地位の濫用でもあるから、違法だろう。こんな違法行為がまかり通っているわけだ。
で、時短も閉店も認められないので、仕方なく、無理やり営業を続ける。その結果、赤字ばかりがどんどん増えていく。(このことは、以下で述べる。)
さらに、「ドミナント戦略」と「24時間営業」だけでなく、次のこともポイントだ。
齋藤さんによると、オープン後、担当OFCに言われるがまま大量の廃棄を出していたという。多く捨てることをいとわず、多く仕入れる。品揃えの良さが他店舗を撤退させる原動力にもなった。
一方で、コンビニでは廃棄のほとんどはオーナー負担(セブンは原価の85%)。
( → コンビニ店主「もう生きていけない」 経営難でも近くに新店、ドミナントの実態 - 弁護士ドットコム )
大量の食品を強制的に仕入れさせられて、大量の廃棄を出して、しかもそのほとんどがオーナー負担となる。利益がゼロならともかく、大幅な赤字となる。なぜそうなのかと言えば、そうすればコンビニ会社(セブンイレブン)は儲かるからだ。排気を出せば出すほど、本社は儲かり、オーナーは損する。こういうバカげた契約が根本原因だった、と言えるだろう。
これはもちろん、「優越的地位の濫用」であるから、れっきとした違法行為だ。それを見逃している公取委もひどいが、批判しない弁護士もひどい。一番ひどいのは、これを放置するよりは推進している安倍首相・党首だろう。(コンビニ会社の献金を受けているから。)
ともあれ、ここでは、「オーナー負担(セブンは原価の85%)」というところに大問題があるのだ、ということを指摘したい。「ドミナント戦略」と「24時間営業」だけではないのだ。
何が彼に死をもたらしたのか、をはっきりと理解しよう。
値引き販売
コンビニの深夜営業をすると売上げが激減する……としばしば言われている。しかし実際にやったら、売上げ減少はたいしたことがなかった……と報告された。
時短に伴う売り上げの減り幅は、2〜3割を覚悟していたが、今のところ1割で収まっている。消費期限が迫ったおにぎりや弁当を最大5割引きで売っている。そうした「見切り品」を目当てに閉店直前に来てくれる客が増えた印象だ。
大幅な値引きについて、本部は「店ごとの判断」というが、歓迎はしていない。
( → セブン、時短でも休めない 閉店後に倉庫で仮眠、未明に続々届く商品 実験店、店主は:朝日新聞 )
減少幅は、2〜3割を覚悟していたが、1割で済んでいる。営業時間が大幅に減少したのに比べれば、売上げの減少幅は小さくて済んでいるわけだ。深夜割り増しの労働コストを考えれば、差し引きすれば有益であったと言えるだろう。
ただし、その理由は、「最大5割引き」という見切り販売だ。これによって、廃棄食品の廃棄ロスをなくす。本来ならば廃棄することで 85% の損失が出るはずだったのに、50% を回収することで、損失幅が 35% に縮小する。赤字の幅がとても縮小するわけだ。
しかも、これにともなって、余分な食品の仕入れも減らすことができるだろう。(押しつけの拒否)……そういうふうにすれば、きちんと利益を出せるようになるから、深夜営業をやめても十分に有益になるわけだ。
24時間営業が成功するかどうかの決め手は、どうやら、値引き販売を認めるかどうか、ということであるらしい。
値引き販売を認めれば、閉店間際に、多くの客が寄せてくるから、売上げの減少も少なくて済むわけだ。
意外なる真実。
【 追記 】
コンビニ 24時間営業の問題は、本来ならば、自然に解消するはずだ。次のように。
・ オーナーが勝手に 24時間営業を始める。
・ 契約違反を理由に、コンビニ会社が契約を解除する。
・ 解除された店は、別のコンビニに乗り換える。
・ 24時間営業を認める別のコンビニは、シェアを増やす。
これはまあ、自然淘汰による優勝劣敗みたいなものだ。こうやって、まともな会社が生き残り、非道なコンビニ会社は淘汰されるはずだ。
しかし、そうならない。なぜか? 理由は二つ。
・ 契約解除された店は、違約金 1700万円を要求される。(上記)
・ 乗り換えるべき他のコンビニがない。どこも 24時間営業だ。
第1に、違約金が巨額だという問題がある。これは明らかに「優越的地位の濫用」による違法行為だ。そういう違法がまかり通っているという日本の法体制に問題がある。(要するに違法を放置する安倍首相が悪い。犯罪首相。マフィアの仲間。)
第2に、他のコンビニがいずれも 24時間営業をやめる気がない。ライバルを出し抜いてシェアを増やそうというより、たがいい協調して、労働者からの収奪体制を維持しようとする。仲間内でカルテルを結ぶようなものだね。腐っている。
実は、唯一、セイコーマートだけは 24時間営業をしないことを認めている。だが、セイコーマートは本州でのシェアが少なすぎて、どうにもならないようだ。
せめて、イオン系のミニストップが 24時間営業をしない方針を出せばいいのだが、ここの社長は逆に 24時間営業にゴリゴリにこだわっていて、どうにもならない。
簡単に言えば、日本はまともな文明国家にはなっていない、ということだね。だから西欧であれば通らないような非道な労働契約がまかり通る。
すべては安倍自民を選ぶような国民の自業自得だとも言える。そのうち自分の首を絞められるようになるが、それでも満足して死んでいくのだろう。(消費税増税も素直に受け入れるようだし。次の参院選では自民が勝利確実だし。)
【 関連項目 】
→ コンビニ 24時間営業の矛盾: Open ブログ
→ コンビニ 24時間営業は違法だ: Open ブログ
→ コンビニ24時間営業の規制: Open ブログ
> ・ オーナーが勝手に 24時間営業を始める。
> ・ 24時間営業を認める別のコンビニは、シェアを増やす。
「24時間営業」ではなく「時短営業」ですね。
それはさておき関連項目も含めて目を通し、この問題についてハッキリ認識することができました。ありがとうございます。