2019年07月11日

◆ 人工光合成とユーグレナ

 人工光合成という技術が進展している。となると、ユーグレナの出番はもはやなくなった、と言えるだろう。

 ──

 人工光合成という技術が進展している。太陽電池とは競合するような技術だ。光のエネルギーを利用するという点では共通する。
 太陽電池では、光のエネルギーを、半導体によって電力に変える。
 人工光合成では、光のエネルギーを、光触媒によって化学エネルギーに変える。水の電気分解に似て、水を酸素と水素に分解する。
 
 光のエネルギーを電子のエネルギーに転じるというのなら、難しくはなさそうだが、光のエネルギーを化学エネルギーに変えるというのは、かなり難しそうだ。しかし光触媒を使うことによって、その難しそうなことを可能にしてしまうわけだ。ちょっと錬金術っぽい不思議なことをやる。
( ※ 元素を変えるわけではないので、錬金術という言葉は不適だが。)

 触媒を使うとはいえ、いかにも無理っぽいので、効率は低そうだ……と予想したのだが、意外なことに、近年ではこの効率が飛躍的に高まっているそうだ。当初は 0.1% ぐらいの効率だったので、外国では研究がほとんど撤退のありさまだったが、日本ではいくらか成果が上がったあとで、オールジャパン体制で研究したら、大幅な効率向上が果たせた。
  → ある研究者の挑戦 「人工光合成」実用で日本元気に:朝日新聞

 最近では変換効率が 5.5% にまで達したという。
  → 太陽光の変換効率5.5%、有用な人工光合成に道 | 日経

 少し前には、3.7% という数値も出た。これは別の方式だ。下記。
  → NEDO:非単結晶光触媒で世界最高の水素生成エネルギー変換効率12.5%を達成
  ※ 12.5% は、水素生成エネルギー変換効率。

 ともあれ、毎年のように、大幅な効率アップが進んでいる。年間2割以上の技術改善だ。遠からず、太陽電池の 20% という数値に追いつきそうだ。

 「追いつくだけだろ」
 と思うかもしれない。だが、人工光合成は、太陽電池に比べて、決定的に有利な点がある。次のように。
 「電力でなく水素を発生するので、エネルギーの貯蔵が容易である」
 「太陽電池から水素を発生させることもできるが、その場合には水の電気分解の段階で大幅なエネルギーロスが発生するので、効率が低下する。最初から水素を発生させれば、その問題がない」
 「人工光合成では、大気中の炭酸ガスから酢酸やエタノールを発生させることもできる。(発生した水素を使うことなどで。。)……この方式だと、大気中の炭酸ガスを減らすことができるので、地球温暖化を阻止できる」


 世間では「地球温暖化が大変だあ」と大騒ぎしているが、人工光合成が実用化されれば、「空気中の炭酸ガスをどんどん減らしていく」ということも可能なのだ。
 そうなれば、温暖化の騒動などは、一挙に過去のものになる。
 「百年後には地球温暖化のせいで、異常気象が発生して地球は大混乱になる」
 「2100年の東京の気温は 43.6度になる」(zakzak

 なんていう予想もあるが、そういう予想を一挙に杞憂にしてしまえるのだ。

 ──

 それだけではない。現時点で 5%程度という効率の高さは、ユーグレナの効率をすでに圧倒的に上回っている。ユーグレナでは、油ができる効率で 0.1% 以下。さらに、この油を精製するためのコストを考えると、効率は0を下回って、大幅なマイナスとなる。マイナス 10000% ぐらいかな。
 ※ つまり、ユーグレナで1円分の油を得るためには、100円分の油に相当するエネルギーを、他の太陽光発電から投入する必要がある。1を得るためには 100を捨てる必要がある。
  → ユーグレナのエネルギー効率: Open ブログ
  → 東大総長が詐欺会社を賛美: Open ブログ

 こういうバカげた大赤字の技術に比べれば、効率が5%ぐらいある人工光合成の方が、ずっと上であろう。
 その意味で、人工光合成の技術にメドが立ちつつある現時点では、ユーグレナという選択肢はもはや完全になくなったと言えるだろう。
( ※ というか、ユーグレナには最初から技術的な可能性はなかったけどね。詳しくは下記。)



 【 関連項目 】

 → ユーグレナは詐欺か?: Open ブログ
 → ユーグレナのエネルギー効率: Open ブログ (前掲)



 [ 付記 ]
 書いたあとで気づいたが、実は、人工光合成については、前にも論じたことがある。
  → 人工光合成は可能か?: Open ブログ(2018年03月04日)

 ここでは、効率が3%という数値を見て、63%の太陽電池よりも大幅に低いので、いくら研究しても無駄……というふうに評価した。
 ありゃりゃ。ちょっと冷や汗を掻く。 (^^);

 現実的には、あと 10年ぐらいは、人工光合成は実用レベルにはならないだろう。関係者も 2030年の実用化を目指す、と言っているぐらいだし。
 しかしながら、上記記事を書いてから1年ちょっとで、効率は 5.5% まで大幅にアップした。1年ちょっとで倍近い効率アップというのは、私にとっても予想外だった。これほどにも急激に技術が進歩しつつあるのであれば、研究する価値は十分にあると言えるだろう。

 人工光合成については、前言を撤回して、「私の予想が外れました」とお詫びしたい。

 
posted by 管理人 at 23:59| Comment(1) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
人工光合成は民間主導の研究開発なんですね。
国立の研究所が主導するわけがないとは思ってましたが。
Posted by 反財務省 at 2019年07月12日 20:41
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