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プラごみ削減のために、政府は「レジ袋の有料化」を打ち出したが、これは効果が薄い……と先に述べた。
→ プラごみ削減の盲点: Open ブログ
そこでは「レジ袋を減らすより、食品のプラ容器やペットボトルの方を減らせ」と代案を示した。
関連した話だが、「プラごみ汚染の最大の原因はペットボトルだ」という話を前に書いたこともあった。
→ プラごみとペットボトル: Open ブログ
そこで、ペットボトルの回収を推進すればいいのだが、そのためには、デポジット制が有効だ。これを実行している国もある。下記に記事がある。
太平洋の島国マーシャル諸島の首都マジュロ。……「道端の空き缶や空のペットボトルが格段に減った」と聞いた。目線を下げると、確かにそうだ。
街の外れのごみ処分場に答えがあった。人々が袋を持ってくる。中身は空のペットボトルやアルミ缶。ここに持ち込めば、1本あたり5セント(約5円)を受け取れる。国際協力機構(JICA)の支援で昨年8月に始まった預かり金制度で、小売価格に上乗せされた金額が戻ってくる。人口3万の首都で6月までの10カ月間にアルミ缶770万本、ペットボトル540万本を回収。缶は輸出されてリサイクルされる。
( → (特派員メモ)南の島のおこづかい @マーシャル諸島・マジュロ:朝日新聞 )
というわけで、「レジ袋の有料化」なんかを推進するより、「デポジット制」を推進する方が、ずっといいのだ。
【 関連項目 】
事業系のプラごみを減らすべきだ、という話。
→ プラごみ削減の盲点 2: Open ブログ
【 関連サイト 】
→ レジ袋有料化「来年4月にも」 義務付け方針明かす tv-asahi
→ レジ袋有料化 コンビニは試行錯誤- 産経ニュース
→ ミニストップがレジ袋有料化の実験開始 千葉の2店舗で:朝日新聞
→ レジ袋有料化、スーパー先行 コンビニは代替品模索 - Sankei
【 追記 】
回収したプラスチックごみについては、どうするか?
これについては、「サーマルリサイクルではなく、ケミカルリサイクルをするべきだ」という見解がある。主として環境保護論者の見解。たとえば、下記。
「汚れたプラの処理方法として焼却・熱回収は過渡的にやむを得ない面はあるが、最終的な解決にはならない。発生を抑えることが必須だ」と話す。
( → 海洋プラごみ、G20で光明は 「2050年にゼロ」、途上国を考慮し期限遅く:朝日新聞 )
しかし、これについては先に否定的に述べた。
ケミカルリサイクルだと、「汚れた原料の精製(純化)」という無駄なことのために、大量の燃料が使用される。そのせいで、最終的な製品になる率が低い。これだと、資源が有効利用される率がきわめて低いのだ。
( → 汚れたプラスチックの処理: Open ブログ )
この通りなのだが、さらにもう一つ、別の理由を思いついた。こうだ。
「ケミカルリサイクルのために、食器トレイやペットボトルなどを分別して回収すると、輸送費が多額にかかる。つまり、輸送のための消費エネルギーが増えてしまって、回収効率が下がる」
似た例に、「ペットボトルのキャップを回収してケミカルリサイクルする」という方式がある。これだと、20円ぐらいのプラごみを回収するために、1000円以上の輸送費(宅急便料金)をかける。金がかかるだけでなく、輸送のために石油が消費される。これでは、20円分の石油を回収するために、50円分の石油を浪費する、というようなものだ。やればやるほど、エネルギー的に無駄になる。
同様のことは、食器トレイやペットボトルなどを分別して回収する場合にも、成立しそうだ。
これに対しては、反論も予想される。
「サーマルリサイクルにしたって、プラごみを回収するために石油を消費するだろ! どっちだって同じだろ!」
と。しかし、これは違う。
なぜなら、サーマルリサイクルの場合には、プラごみは汚れていてもいいので、ゴミ収集車で回収できるからだ。そして、ゴミ収集車の場合には、「プラごみを圧縮する」という手法が使える。
ゴミ収集車は、ウィーンというような音をたてながら、大きな金属板でゴミを圧縮して、内部に収容する。この方式を使えば、大量のプラごみを1台の収集車で収集できるから、回収コストが大幅に下がるのだ。もちろん、消費する石油の量も大幅に減る。(だから、サーマルリサイクルならば、ケミカルリサイクルのような問題は生じない。)
ゴミ収集車がプラごみを圧縮する、という件については、下記に報告がある。圧縮したプラごみの画像もあるので、見るといいだろう。
→ プラスチックごみ圧縮実験 ( PDF )
結論。
プラごみは、ケミカルリサイクルすべきではない。ゴミ収集車で回収して、サーマルリサイクルするべきだ。それが最も環境負荷が低い。
その理由は、ケミカルリサイクルだと、次の無駄が生じるからだ。
・ 精製のためにエネルギーが使われる。
・ 輸送のためにエネルギーが使われる。
サーマルリサイクルならば、この難点は大幅に減じるので、リサイクル効率がずっと高い。
「ケミカルリサイクルでは、輸送費が多額にかかる。つまり、輸送のための消費エネルギーが増える」……という話。