2019年06月28日

◆ 吸水ポリマーのリサイクル

 紙おむつに使われる吸水ポリマーをリサイクルするには、どうすればいいか?

 ──

 紙おむつには、紙(パルプ)や、吸水ポリマーが使われている。これらをリサイクルする会社があるそうだ。リサイクル自体では採算に合わないようだが、廃棄する業者からゴミ処理費をもらうことで、何とか採算に乗せているという。

 リサイクルの方法は、こうだ。
  ・ 紙(パルプ)は、普通の紙の再生と同じ。
  ・ 吸水ポリマーは、薬品処理をしてから、固形燃料にする。

 し尿を吸ってふくらんだポリマーは、薬品をかけてしぼませる。ナメクジに塩をかけるとしぼむ浸透圧の原理だ。
 紙おむつ用のパルプは繊維が長くて太いのが特徴で、外壁や内壁になる建築資材の原料などになる。ポリマーやおむつ表面のフィルムなどは固形燃料に。汚物は微生物で処理した後、肥料にする。
( → やればできる、紙おむつリサイクル、建築資材や燃料に:朝日新聞

 これを読んで、私は疑問に思った。「薬品処理をしてから、固形燃料にするというが、そんなことをしたら、手間とコストがかかりすぎる。得られる固形燃料に比べて、処理のコストの方がずっと高コストになるはずだ」と。

 そう思って読み進めたら、まさしくそうだと判明した。
 売り上げは1日100万円前後。業者らから紙おむつを引き取る際の料金とパルプの販売などで、「赤字ではない」という。
 ただ、吸水ポリマーなどを原料に作られる固形燃料は、業者にお金を払って引き取ってもらっている。
 同社はポリマーを固形燃料にせず、ペット用おしっこシートなどとして活用する技術を、16年度から経済産業省の補助金で研究している。新たな収益源を目指す。

 やっぱりそうだ。「業者にお金を払って引き取ってもらっている」のだから、吸水ポリマーに限れば、事業は赤字になっているのだろう。(他の部材は黒字らしいが。)

 ただ、「ポリマーを固形燃料にせず、ペット用おしっこシートなどとして活用する」という方針もあるので、この方針ならば、いくらかマシになりそうだ。固形燃料としてリサイクルしても、ほとんど金にならないが、ポリマーとしてリサイクルするのなら、ちょっとは金になりそうだ。いくらかはマシになりそうだ。

 ──

 しかし、である。そもそも吸水ポリマーというのはたいして金がかかる品物ではない。石油などから作ったとしても、けっこう低いコストで作れるのだ。もともと安い物なのだから、リサイクルして作り出すというのは、もともと効率の悪い方法なのだ。
 では、どうすればいい? 

 ──

 ここで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
 実は、もともとうまい案を思い浮かべたのではないのだが、うまい案を捜して、ネットをググっているうちに、次の記述を見つけた。
 熱湯(約100℃)でも吸水はしますが、水分子が広がっていく速度も速くなるため、スポンジ状にやわらかい状態になります。(あまり吸水しない)
 150℃以上になると分子が切れて吸水しなくなります。
( → よくある質問 | 超吸水性樹脂 | 株式会社テックジャム

 100℃ ではあまり給水しなくなる。そして 150℃以上になると、分子が切れるわけだ。

 さて。そもそも、吸水ポリマーというのは、「分子の網」みたいなものである。「分子の網」の間に、水分子を収めることで、水をゲル状に固める。(プリンや寒天のようにする。)……そうすると、ポリマーの自重の 200〜300 倍の重量の水を給水するわけだ。
 とすれば、その成分のほとんど(99%以上)は水なのである。こんなものをいちいち再生して、1%以下のポリマーを取り出すというのは、いかにも効率が悪い。

 では、どうすればいいか? こうだ。
 「温度を上げて、150℃以上にして、ポリマーをバラバラにしてしまえばいい。そうすれば、水は崩れて液体状になるから、その水を水として捨ててしまえばいい。残ったポリマーは、フィルターで濾したあとで、焼却処理すればいい」

 
                 ポリマー → (焼却)
  吸水ポリマー → (加熱)
                 水 → (捨てる)


 これなら、薬品を使うこともなく、単に熱を加えるだけで、処理が可能となる。
 熱は、ゴミ発電の最終過程で出てくる排熱を利用すればいいだろう。発電には使えないような 300度ぐらいの熱源を使って、給水ポリマーを加熱して、分子を分解してしまえばいいのだ。
( ※ 単に熱を加えるだけでなく、力学的に揺さぶることで、ポリマー分子をたちきることができそうだ。)

 この方法で、「吸水ポリマーのリサイクル」は、可能になりそうだ。リサイクルというよりは、「安価な焼却処理」であるが。……ともあれ、これが最も低コストであろう。



 [ 付記1 ]
 大量の水を含むものを通常の形で処理すると、かなり高コストになる。朝日の記事には、こうある。
 使用後の紙おむつは水分を多く含む。焼却炉で燃やそうとすると温度が下がるため、燃料の追加が必要になるケースもある。


 [ 付記2 ]
 記事には、次の記述もある。
 焼却せずリサイクルすれば、紙の原料となる木材の消費を減らして二酸化炭素の排出を抑える効果もある。

 しかし、これは成立しないだろう。吸水ポリマーのポリマーと水とを分離するのに、通常の方法ではかなりコストがかかるからだ。
 記事のように薬品を使うのでは、薬品代がかかる。
 本項で述べたように熱を使うのであれば、コストは少なくて済むが、ゼロではない。
 こうして得た吸水ポリマーのポリマーをリサイクルすることはできそうだが、汚いものをきれいに精製するには、けっこうコストがかかる。犬猫用に使うにしても、それでもコストはかかりそうだ。(精製コスト)
 たぶん、石油から素直に作る方が、コストは低いだろう。
 
 なお、精製するためには、コストがかかるだけでなく、エネルギーも消費される。「リサイクルすればエネルギー消費なしで製品ができる」と記事では思い込んでいるようだが、そんなことはない。リサイクルで精製すれば、それだけで大量のエネルギーが消費されるのだ。記事はそこを失念しているようだ。
posted by 管理人 at 21:00| Comment(0) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ