コメディ・タッチのドラマがある。世間では批判されることが多いが、私は好きである。
※ 特に読まなくてもいい。
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《 この話は、前項のオマケとして、余談ふうに書いたのだが、書いていくうちに分量が増えてしまったので、別項仕立てで、ここに書くことにする。 》
三つのドラマの感想。
・ 集団左遷
・ 白衣の戦士
・ 下町ロケット
テーマは「コメディ・タッチの演技」だ。(演技論)
(1) 集団左遷
ドラマ「集団左遷」を見たので、感想を書く。
このドラマでは、福山雅治の演技(顔芸)が、いかにも大げさなので、「まるでコメディだ」という批判が多いそうだ。
→ 「演技でなく顔芸」!?「集団左遷!!」福山雅治の演技に寄せられる“疑問”の声
しかし私は、そうは思わなかった。むしろ、福山雅治のコミカルな演技が楽しかった。コメディタッチの演技は見ていて楽しい。
そもそもこのドラマは、コメディだ。これを「シリアス・ドラマ」だと思ったら、荒唐無稽な話(リアリティのないオモチャみたいなもの)ばかりだと感じられて、馬鹿馬鹿しくて、腹が立つ。荒唐無稽なインチキな話も、コメディだと思えばこそ、「どうせ嘘八百だろ」と見なして、許せるのだ。
仮に、福山雅治の演技がなかったら、つまらない脚本と、ありえないストーリーの連続で、ただの二級ドラマだ。見る価値はまったくない。ゴミみたいなストーリーの連続だ。
こんなゴミみたいなドラマでも、かろうじて見ていられるのは、福山雅治の顔芸が楽しいからだ。福山雅治の顔芸がなかったら、こんなゴミみたいなドラマは、誰も見ないだろ。
福山雅治の顔芸を批判するのは、イケメンに対するやっかみだろうね。 twitter を見たら、女性ファンは、みんな福山雅治めあてで見て、喜んでいたしね。文句を言っているのは、非モテの男性だけだろ。
(2) 白衣の戦士
似た例で、「白衣の戦士」というドラマもあった。これも、新人の女性タレントが顔芸で奮戦していた。何だかダチョウみたいな顔のタレントで、私は好きではないのだが、あまりにも激しい顔芸なので、楽しく見ていられた。どれほど下手な演技でも、コメディタッチの顔芸があれば、楽しんで見ていられる。ドラマなんて、たいていは楽しんで見ていればいいんだから、コメディ・タッチで十分だ。
ネットでは、「こんなこと現実にありえない!」と批判している視聴者も多いようだが、コメディに「ありえない」と言う方がおかしいだろ。昔のドリフターズの番組を見て、「リアリティがない」と批判するようなものだ。方向違い。
(3) 下町ロケット
ちなみに、世間では評判の高い「下町ロケット」シリーズは、見るに堪えないね。荒唐無稽な話ばかりなので、理系の知識がある人から見れば、突っ込みどころが満載だ。「バカげている! そんなこと、現実にありえないだろ!」と毎回毎回、怒り狂うハメになる。
これが、コメディタッチで表現されていれば、まだしも「コメディだから」と許せる。なのに、コメディっぽい演技はほとんどないので、シリアスドラマだと見えて、そのデタラメさ加減が、とうてい許せなくなる。
まあ、ドラマの出来としては、「下町ロケット」シリーズの方がずっと上みたいだが(原作のストーリーが練り上げられているが)、「集団左遷」の方は、福山雅治のコメディ演技が、すべてのアラを隠してしまっている、と言えそうだ。これがなければ、ただのゴミ・ドラマであって、何の価値もないしね。
[ 付記 ]
集団左遷では、最後の方で、悪の親分が善人ヅラをして、主人公にこう語る。
「あなたは私に反発していますが、私はあなたの実力を高く評価しています。支店の融資額を大幅に増やしたりして、実に立派です。だから、次の人事では、あなたを大幅抜擢して、優遇するつもりです。ほら、この人事予定表を見てください。これが証拠です」
こうやって、主人公を懐柔しようとする。これを見た視聴者は、「へえ。意外だ」と思うだろう。「悪の親分は、悪の限りを尽くしているのかと思ったら、本当は主人公のためを思ってくれる、優しい上役だったのか」と。
ただし、悪の親分は、続けてこう言う。
「ね? 私はあなたを高く評価しているし、優遇します。だから、手帳を渡してください」
手帳とは、悪の親分が悪をなした証拠のことだ。その証拠があると、悪の親分は一挙に没落する。だから、その証拠を回収したい。そのために、主人公を懐柔しようとするわけだ。
ここまで見れば、あとは明らかだ。悪の親分の懐柔策は、空手形である。「次の人事では、あなたを大幅抜擢して、優遇するつもりです」とは言っているが、いざ手帳を回収したら、前言をひるがえして、主人公を左遷させるつもりだろう。すべては口先だけの空手形だったのである。口先だけでだましているわけだ。(策略)
というのは、明らかであるのだが、ドラマでは放送されなかった。ここが一番面白いところなのに、放送されなかったのだ。バカげている。何やっているんだ、このドラマは。一番面白いところを放送しないなんて。
もしかして、原作からして、そのことが描写されていないのかも知れない。原作からして、ダメダメだったのかも。(どうもそういう感じだ。二級の作者だし。)
※ あとで調べたら、作者は東大経済学部卒で、銀行員の退職後に作家になった、という人。こういう経歴では、作家としては二流であるのもやむを得ないか。
ドラマでは、主人公は最後に、外部のセンター長に飛ばされる。なかば左遷みたいなものだ。肩書きは上がったが、主流からははずされて、傍流となる。自衛隊の将軍が、将軍の退官後に、「自衛隊学校長」みたいなのになるようなものか。
この結末には、「ありえないだろ」と不満になる視聴者が続出しているようだ。「何だこれ」という感じ。最後までゴミドラマだったな。
2019年06月27日
過去ログ
タイムスタンプは 下記 ↓
https://www.mbs.jp/mizusho/
http://j.mp/2ZSWeM7
深夜ドラマのせいもあって、視聴率はたったの1%だが、これほどにも視聴率が悪いのは、タイトルのせいだろう。「おミズの学校」または「都立 エロ学校」にしておけば、もっと視聴率は上がっただろうに。
内容は、とても良かった。今シーズンで屈指の出来映えだ。楽しくて、最後は感動して涙が出る……という、日本のドラマの良さが良く出ている。
こういうふうに感動を得るのは、日本ドラマの特徴だ。「自分のため」でなく、「人のため」ということで、広い意味の愛で人の心の琴線を揺さぶる。ハリウッドの「金とセックスとラブ」というエゴイスティックなドラマでは決して得られないような、深い感動が得られる。
作品としては、ちょっとチープな感じもあるが、役者の熱演と、基本のストーリーの良さで、見事に成功していた。
深夜ドラマには、こういう秀作が見つかる。前に本田翼の深夜ドラマもあったが、それと似た感じだ。
http://openblog.seesaa.net/article/464184081.html
※ まあ、玉石混淆なので、まとめて録画したあとで、取捨選択すればいい。