2019年06月27日

◆ 日産の保有するルノー株

 日産の保有するルノー株には、議決権がない。この問題をうまく解決する方法がある。

 ──

 まずは日仏首脳会談の話。
 フランスのマクロン大統領は26日、安倍晋三首相と首脳会談した。マクロン氏は会談後の共同記者会見で、日産自動車と仏自動車大手ルノーの提携関係について「アライアンス(提携)の強靱(きょうじん)さは崩れるべきものではないし、我々はアライアンスにこだわりを持っている」と述べ、関係強化に意欲を示した。日本政府の説明によると、首脳会談では両社の関係は議題にならなかったという。
 マクロン氏はこの日、会談に先立って都内のフランス大使公邸で開かれた在日フランス人らとの会合で、「単にアライアンスを維持するだけでなく、シナジー(相乗効果)を増やし、アライアンスをあらゆる意味において発展させなければいけない」と語り、両社の関係をさらに深めるべきだとの考えを示した。「アライアンスは、我々がとても大切にしている宝だ。両社の従業員はみな、フランスの大企業(ルノー)が日産を救ったことを覚えていると思う」とも指摘。倒産寸前の危機にあった日産に対し、ルノーが20年前に手をさしのべた過去を引き合いに、日本側に広がる統合圧力への警戒論を牽制(けんせい)した。
( → マクロン氏「日産とルノー、提携は宝」 日本側に牽制も:朝日新聞

 マクロンは「統合」という言葉こそ出さなかったものの、「アライアンス」の強化に言及することで、実質的には統合の意欲を隠さなかった。
 それに対して、安倍首相は何も言わなかった。マクロンが「政府の介入」という形で、フランス企業に介入し、さらには日本企業にも介入しようとしているのに、安倍首相は日本企業を相手政府から守ろうとしなかったわけだ。情けないね。
 安倍首相はまったく頼りにならない。困った。どうする? 

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
 まずは、現状認識だ。現状では、こうなっている。
 「フランス政府の持株は 15%。さらに、フロランジュ法で、2倍の効果を持つようになっている。一方、日産の持株は(フランス政府と同じで) 15%。ただしフランスの国内法の規定で、議決権行使できなくなっている」
 フランスの法律によって日産の保有するルノー株は日産が保有する間は議決権が行使できない。
( → ルノー・日産・三菱アライアンス - Wikipedia

 これはどういうことかというと、フランスの国内法では、親会社が4割以上の株式を持つ子会社は、親会社の株を持っていても、その株の議決権を行使できない……と決まっているからだ。
 【フランスの法律】
 40%以上の出資を受ける子会社である日産は、親会社のルノー株式を保有していてもルノーの株主総会で議案の賛否を決める議決権を持つことができない
( → 日産・ルノーの提携の行く末 | BIZVAL - 企業価値を最大化

 こういう形で、日産のもつルノー株の議決権は無効になっている。そこで、この議決権を復活させればいいわけだ。では、どうやって? こうだ。
 「日産のもつルノー株を、日産の子会社(ジヤトコや日産車体)に移転する」

 
 こうすれば、形式上は、ルノー株を持つのは日産以外の会社となる。それらの会社は、ルノーの出資を受けていないから、フランスの国内法の適用外となる。かくて、そのルノー株は議決権が復活する。しかも、日産の子会社の保有であるから、日産の意によって議決権を行使できる。つまり、実質的には日産が保有していることになる。
 ただし、これだと、いかにもあからさまで、「法律逃れ」みたいな姑息な手段と思われて、反発を受けるかもしれない。そこで、もうちょっとうまい案を出す。
 「日産のもつルノー株を、日産のグループ会社である三菱自動車に移転する」

 三菱自動車は、日産の出資を受けているとはいえ、日産の保有株は 34%だけだから、純然たる子会社というわけではない。こちらに株式を移すぐらいならば、別に差し支えはあるまい。

 かくて、この方法によって、「日産のもつルノー株の議決権を復活させる」ということができる。
 また、フロランジュ法の規定だが、これは「2年以上の保有で2倍」だから、三菱に株式を移してから2年後には、2倍の議決権を保有することができる。かくて、フランス政府と同等の発言権を有することができる。
 これで解決だ。めでたし、めでたし。



 [ 付記 ]
 ただし、実現の前には、障害が一つある。日産とルノーの間の協定文書( RAMA )だ。これは内容が極秘の秘密協定だ。
 日産自動車と仏ルノーの間には一握りの幹部のみが知る門外不出の掟(おきて)がある。
 全文30ページ弱の英文の書類で、「RAMA(ラマ)」と呼ばれる両社の合意文書だ。
 RAMA は Restated Alliance Master Agreement(改定アライアンス基本契約)の略。日産の首脳人事や取締役の数などを規定する重要な協定で、いわば統治のルールを定めた「条約」だ。にもかかわらず、ごく限られた者しか目にすることができない。
 ルノーが文書の概要を公にしているだけで、日産の公表資料からは文書の存在も確認できない。日産の元副社長でさえ、「見たことがない。重要な文書だけど、取締役会にも明らかにされていない」と話す。
( → 極秘協定、ルノー支配への盾 日産元副社長も目にできず [ゴーン前会長]:朝日新聞

 ここには、「日産がもつ 15%のルノー株については、日産が自由に処分できない」という規定が含まれているかもしれない。ひょっとしたら、だが。
 RAMA の内容については、次の記事に情報がある。
  → 3社協議、論点となる日産・ルノー協定の要点まるっと紹介

 伝聞の記事らしいが、日産の元副社長でさえ、「見たことがない」と言っているのだから、情報にどこまで信憑性があるか、知れたものではない。
 とはいえ、上の話からすれば、「日産がもつ 15%のルノー株については、日産が自由に処分できない」という規定は含まれていないのかもしれない。それだったら、日産が勝手に株を三菱に売却することもできるだろう。

 また、この件について、ルノー出身の取締役は、日産社内で発言権や議決権がない……というふうになりそうだ。今はともかく、将来的にはそうなりそうだ。ルノー会長が次のように発言している。
 (ルノーのジャンドミニク・スナール会長は朝日新聞などのインタビューに応じて)日産が、ルノーと利害が一致しない恐れのある事案を取締役会で話し合う際、ルノー出身の取締役らが審議や決議に参加できないようにする社内規定を導入することにも触れ、「どの会社でも行われているごく普通のこと。このことが日産とルノーの間に緊張関係を生み出すことはない」と述べ、許容する考えを示した。
( → 日産との経営統合「議論まだ」 ルノー会長が慎重姿勢:朝日新聞

 というわけで、日産がルノー株を三菱に売却することについて、ルノー会長たちは日産の社内で発言権や議決権がないというふうになりそうだ。(今ではなく、将来だが。)
 というわけで、日産がルノー株を三菱に売却することは、可能となりそうだ。( RAMA がどうなっているかが不明なので、断言するまでには行かないが、たぶん大丈夫。)
 


 [ 付記 ]
 「日産が三菱にルノー株を買わせる。その資金は日産が三菱に融資すればいい」
 という話を、前に書いたことがある。
  → 日産とルノーは統合すべきだ: Open ブログ

 ここでは、「日産の株を三菱に譲渡する」のではなく、「日産の持ち株の 15%はそのままにして、三菱には新たに 10% の株を買ってもらうだけにする」というふうに述べている。
 この方法でもいいかもしれない。ただし、費用は 15% でなく 25% の費用がかかるので、かなり巨額になる。
 15%の株を、日産から三菱に移転するだけなら、実質的にはコストがかからないのも同然だ。
 両者は、一長一短なので、どちらの方法にするかは、じっくり考えればいいだろう。



 【 関連サイト 】

 本項で述べた方法とは別の方法を考えている人もいる。
  → どうすればいい?日産がルノーから逃れるための「意外な処方箋」(下)

 日産は、時価発行増資をすることで、(自社における)ルノーの持株比率を下げればいい……という案を出している。だが、すぐに「ルノーが反対するから無理」と言って、その案を否定している。結局、うまい案が見つからないままだ。「困った」と言って、どうにもならないでいる。
 やっぱり、困ったときには、Openブログを読まないと。
posted by 管理人 at 21:00| Comment(0) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
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