2019年06月26日

◆ トランプが日米安保破棄に言及

 トランプ大統領が日米安保破棄に言及した、という報道がある。最近の話。

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 トランプ大統領が日米安保破棄に言及した、という報道がある。前にも言及していたので、そのことかと思ったら、最近また言及したそうだ。
 米ブルームバーグ通信は 24日、トランプ大統領が最近、親しい人物との私的な会話のなかで、日米同盟の基盤となる日米安全保障条約は不平等として、破棄する可能性について言及したと報じた。日本が他国から攻撃を受けると米国が防衛の義務を負うのに、日本には米国を防衛する必要がないことを「一方的」などと批判したという。
( → トランプ氏、日米安保破棄に言及か 私的会話で 米報道:朝日新聞

 日米安保破棄に言及した、ということ自体は、耳新しくない。大統領選のころにも言及していたからだ。
 しかしその後、日本だけが米国に莫大な金を払っていることを知った。参考で、次の記事がある。
 そうした日本の負担が、米軍が駐留する国の中で突出して高いことは、米国防総省が2004年に公表した報告書が示している。報告書によると、02年に日本が駐留米軍1人当たりに支出した金額は約10万6000ドル(約1155万円)。日本側の負担割合は74.5%でサウジアラビア(64.8%)や韓国(40%)、ドイツ(32.6%)などを大きく上回っていた。

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( → 【日米同盟が消える日(下)】「安保ただ乗り論」は本当? 駐留費負担、実は世界でも突出…米軍人を日本の傭兵にする気なのか - 産経

 こういう事実を知ったあとでは、「日本は金を払って偉い。韓国やドイツなどは、日本を見習って、同じように金を払え」というふうに転じた。

 今回、日米安保破棄を持ち出したということは、上記の経緯をすっかり忘れてしまったからだろう。頭がバカなので、過去の論議と自分の決断を、すっかり忘れてしまったのだ。認知症の患者だと思えば、納得できる。

 あるいは、頭がおかしくなって、強欲が止めどなくなったのせいかもしれない。
  → 米軍駐留経費、総額に5割上乗せ案 米報道 :日本経済新聞
 米軍駐留経費の 100%負担でなく、150%負担を求めるそうだ。頭がおかしいとしか言いようがない。

 もっとおかしいこともある。
トランプ氏は日米両政府が進める沖縄の米軍基地の一部返還について、「土地の収奪」として金銭補償を日本側に求める考えも示したという。特に、2022年度以降の返還で安倍政権とオバマ前政権が合意した米軍普天間飛行場(宜野湾市)の土地は、約 100億ドル(約1兆700億円)もの価値があると発言したという。
( → トランプ氏、日米安保破棄に言及か 私的会話で 米報道:朝日新聞

  100億ドルの価値があるというのは、それはそれでいいとして、「それを返還するから、金を寄越せ」というのだから、くちあんぐりだ。 100億ドルの価値があるものを、これまではタダで借りてきたんだから、どちらかと言えば、アメリカが日本に莫大な金を支払うべきだろう。なのに、タダで借りていたあとで、「返してやるから、金を寄越せ」だって。呆れるしかない。頭のネジがイカレている。暴力団よりもひどい。
 こんな理屈を言うのなら、トランプタワーの客だって、同様のことを主張できそうだ。
 トランプタワーに1泊したあとで、退去するときに、「部屋を返すのだから、部屋の価値に当たる1万ドルを寄越せ。ついでに、宿泊代も、タダにしろ。おれがせっかく宿泊してやったんだから、感謝しろ」と言い張るわけだ。
 もう、気違いですね。

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 とはいえ、こういう気違いを、まともに批判しても、馬の耳に念仏だろう。みしろ、相手の主張を逆手に取るといい。こうだ。
 「わかった。破棄してもいい。とりあえずは、横田と厚木を返還してくれ。さっさと出て行ってくれ」

 
 ここで、「横田と厚木を返還」というのは、数日前にも述べたことだ。
 なるほど。米軍撤退か。それはありがたいことだ。だから、それを実行してもらおう。つまり、こうだ。
  ・ 日本は米軍駐留費の負担を減らすと通告する。
  ・ 米国は報復として、米軍撤退をほのめかす。
  ・ それなら実際に、部分撤退してもらう。
  ・ 具体的には、横田基地と厚木基地を返還してもらう。
( → 陸上イージスは無駄: Open ブログ

 ここで述べたように、横田基地と厚木基地を返還してもらえばいい。ついでに、沖縄も返還してもらっていい。米軍は、さっさと出ていけ。
 ともあれ、これまではいくら「返還してくれ」と言っても無理だったことが、トランプ政権では可能になりそうなのだ。だから、災い転じて福となす。うまく相手の言質を取って、横田基地と厚木基地を返還してもらえばいいのだ。

 ──

 ここで、次の心配が出てくるかもしれない。
 「日米安保が破棄されたら、現実に中国やロシアが日本に攻めてくるかもしれないぞ。そうなったら、どうする?」


 その点は、大丈夫。まったく心配ない。
  ・ 現状は、そのような国際情勢にない。
  ・ 将来、戦争になるとしても、そのころにはトランプ大統領ではなくなっている。
  ・ トランプはバカだが、中国やロシアはバカではないので、日本を攻めない。
  ・ 仮に安保条約なしの状態で、中国やロシアが攻めたとしても、米国は日本を守る。


 このうち、最後の点が重要だ。米国が日本を守るのは、日本のためではない。米国自身のためだ。日本という戦略的に重要な国(高い技術水準の国)を、中国やロシアに占領されたら、米国は軍事的脅威が著しく増大するからだ。似た例は、第二次大戦の前のチェコに見られる。ドイツは先進工業国のチェコを占領したことで、国力を増して、軍事大国になった。仮に、ドイツがチェコを占領した時点で、イギリスやフランスがただちにドイツに侵攻していたなら、その時点のドイツを撃破できただろう。ところが、チェコが奪われても、黙って指をくわえているだけだった。そのせいで、チェコの工業力を利用して、ドイツは軍事大国になった。そうなると、イギリスやフランスは軍事的にドイツに劣勢に立たされて、もはや抵抗のしようがなくなった。最終的には、フランスはドイツに占領され、イギリスもかろうじてドイツの侵攻を食い止めるだけだった。(米国の参戦がなければ、イギリスも占領されていたかもしれない。)

 こういう教訓があるから、先進技術国である日本を中国やロシアに奪われることは、米国にとっては絶対にあってはならないことなのだ。もし奪われそうになったら、総力を上げて日本を守る。それ以外に、米国自身を守るすべはないのだ。
 だから、安保条約は、あってもなくても関係ない。たとえ安保条約がなくても、日本が中国や米国に奪われそうになったら、米国は日本を守る。
 それは、湾岸戦争を見てもわかる。クウェートがイラクに奪われそうになったら、米国はクウェートを守った。ここでは、米国とクウェートとの間に、安保条約があったから守ったのではない。クウェートを守ることが、米国にとって非常に重要だから、守ったのだ。
 その意味で、安保条約など、あってもなくても、大差はないのである。「安保条約がなくなれば、日本は米国に守ってもらえない」などと思うのは、杞憂にすぎない。
 中国やロシアだって、「安保条約がなくなれば日本を攻めよう」とは思わないはずだ。安保条約があろうとなかろうと、中国やロシアが日本を占領すれば、米国の多大なる反撃を受けて、中国やロシアが焦土と化する。……そのくらいのことはわかっているはずだ。トランプがいくらバカでも、中国やロシアはバカではない。だから、いちいち余計な心配はしなくていいのだ。

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 そもそも、トランプが「日米安保を破棄する」と言っているのは、本気でそう言っているのではなく、トランプのお得意の「交渉におけるブラフ」であるにすぎない。トランプは単に手持ちのカードを見せているだけなのだ。こんなブラフにまともに反応しているようでは、日本の外交の見識が疑われるね。右往左往して、うろたえるのは、みっともないとしか言いようがない。平然として、相手のブラフには無反応でいるのが最善なのだ。



 【 追記 】
 その後、トランプはインタビューを受けて、日米安保破棄について公的に言及した。
 「もし日本が攻撃されれば、われわれは第3次世界大戦を戦うことになり、あらゆる犠牲を払って日本を守る。しかし、もしアメリカが攻撃されても日本はわれわれを助ける必要は全くない。彼らはソニー製のテレビでそれを見ていられる」と述べ、不公平だと不満を示しました。
( → トランプ大統領 改めて持論 “日米安全保障条約は不公平” | NHKニュース

 要するに、「もっと金を寄越せ」と言っているだけだ。「日本を守らない」と言っているわけではない。間違えないように。

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 なお、「日本は米国を助けない」と思っているようだが、現実には、「日本はたくさんの兵器を生産して、米軍に供与することで、米国を助ける」というふうになるはずだ。
 日本の「武器輸出禁止三原則」というのは、法律ではなくて、ただの政策であるにすぎないから、いつでも撤回できる。米国が中国やロシアに攻撃されたら、日本は必ず助ける。トランプにそう教えて上げるといいだろう。
 ただ、現実には米国が中国やロシアに攻撃されるなんてことは、ありえないんだけどね。もしそうなったら、たがいに核攻撃をして、地球が全滅するだけだ。日本の自衛隊の出番はないのだ。……そういうふうに教えて上げるといいだろう。(お馬鹿なトランプに。)

posted by 管理人 at 21:00| Comment(2) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2019年06月27日 07:55
>日本という戦略的に重要な国(高い技術水準の国)を、中国やロシアに占領されたら、
>米国は軍事的脅威が著しく増大するからだ。

もうひとつ、地図上の日本を赤く塗りつぶすとすぐわかりますけど、
日本が米国の勢力でなくなった場合、太平洋の支配権が逆転しますね。

真珠湾攻撃時に、山口太聞の進言に従って二次攻撃を
かけて補給基地を破壊していたら、としばしば言われ
ますけど、兵器や戦術が当時とは比べようもなく発達
した現在でも原則論で言えばこの可能性もあるかもし
れません。戦後の今の視点から見れば(連合赤軍とか)
気ちがいじみた政治兼破壊活動もそこに淵源があった
のかもしれないと思いました。
Posted by 参考になります。 at 2019年06月27日 08:20
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