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プラごみ削減のために、レジ袋の有料化をしよう……という政府方針がある。
→ レジ袋「20年4月にも有料化」 経産相、G20会合で意向:日本経済新聞
しかし私は先に、これを批判した。レジ袋は回収率が高いので、これを削減してもあまり意味がない。むしろ、もっと回収率の低いものに着目せよ、という趣旨。
要するに、プラごみの削減を考えるには、「使用量を減らす」ことばかり考えていても駄目なのだ。「回収率を高めること」を重視するべきなのだ。
そして、個々の回収率を操作できないのだとすれば、「回収率の低い物品に限って使用量を減らす」というふうにすればいいのだ。
具体的には、こうだ。
・ 自販機のペットボトルを、金属や紙に変更する。
・ 弁当の容器を、プラスチックから紙に変更する。
これらの例では、「プラスチックの使用量を減らす」ということには、大いに効果があるだろう。いずれもポイ捨てされやすいものだからだ。
( → プラごみ削減の盲点: Open ブログ )
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さて。そのあとさらに考えるうちに、次のことに思い至った。
「回収率が低いのは、事業所のプラごみである。各種事業所で、飲食物の残りのプラごみが大量に廃棄されるが、それがまともに処理されていない」
このようなプラごみこそが、未処理のまま海外に輸出される問題をもたらすものだろう。
また、このようなプラごみを処理するには、(汚れていて際)再生が不可能なので、焼却するしかないのだが、焼却施設が足りないせいで、不法に輸出されたりするのだろう。
そう思って、調べたところ、まさしくそうであると判明した。
(1) 事業系のゴミ
事業系のゴミは、ゴミ業者へ出すのが原則で、自治体は受け入れない。
→ 処理方法2 事業系ごみ用指定収集袋での収集(可燃・容プラ)
(2) 中国がプラごみの受け入れ拒否
中国がプラごみの受け入れを拒否したせいで、各国にプラごみがあふれかえっている。(送り元である)日本も、米国も、欧州も、(送り先である)東南アジアも。
→ プラごみ「中国ショック」受け入れ停止で日本国内にあふれる「東京ドーム」3杯分
→ プラスチックごみ 世界最大の輸出国 アメリカは今||NHK
→ 焦点:行き場失った欧州の「廃プラ」、中国輸入停止で対応苦慮
→ 東南アジアにプラごみ殺到 先進国に“送り返す” - 産経
(3) 自治体で受け入れ
こうなると、プラごみを焼却するしかないが、焼却施設は容易には作れない。となると、自治体に委託するしかない。
→ 産廃プラ、自治体に焼却要請へ=中国禁輸で処理進まず−環境省:時事ドットコム
→ 東京新聞:産廃プラ 自治体焼却を 環境省要請、中国の輸入禁止受け
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結論。
近年、東南アジアではプラごみが大量にあふれかえっていて、プラごみによる海洋汚染が進んでいる。それを見て先進国では「レジ袋やストローなどのプラごみを削減しよう」という運動が起こった。しかしそれは筋違いである。
東南アジアでプラごみが大量にあふれかえった理由は、レジ袋やストローなどのプラごみが増えたからではなく、中国がプラごみの受け入れを拒否したからである。
対策は、中国に変わる輸出先を見つけることでもない。むしろ、事業用のプラごみを焼却することだ。そのためには、自治体が焼却工場での受け入れを増やせばいい。また、焼却工場を増設すればいい。特に、焼却工場ではゴミ発電を導入すればいい。……これこそが正解である。
ひるがえって、(レジ袋やストローといった)プラスチックの生産や使用を減らすことは、規模も小さいし、たいして効果はないのである。そもそもたいていのプラごみは、食品用のパッケージのプラごみであるからだ。ここをいじらないで、レジ袋やストローばかりを減らそうとしても、頭隠して尻隠さず、といったありさまだ。ほとんど無効。
【 関連サイト 】
横浜市のゴミ焼却工場。
§ 解説ページ
→ 焼却工場 ごみ焼却の様子 横浜市
§ 動画
【 関連項目 】
→ プラごみ削減の盲点: Open ブログ
→ プラごみは世界規模で: Open ブログ