2019年06月24日

◆ コンビニ 24時間営業の矛盾

 コンビニ 24時間営業を正当化しようとする主張には論理矛盾がある、ということを指摘する。論理の話。

 ──

 本サイトでは、「何が善か、何が悪か」ということを政治的に述べるよりは、「その主張には論理矛盾があるぞ」というふうに指摘することが多い。
 その一環として、「コンビニ 24時間営業は正当だ」という主張には論理矛盾がある、ということを指摘しよう。
 

convenience_store_24.png


 まず、話の発端は、本日の朝日・社説だ。
 公取委は近く、加盟店主からの営業時間の見直し要求を本部が一方的に拒んでいないかなど、実態を調査するという。問題の根底にある本部と加盟店主の関係に、厳しい目が向けられている。
 本部が優越的な地位を背景に自らに有利な契約を結び、加盟店主に負担を強いるようなやり方は、持続可能ではない。
( → (社説)コンビニ本部 時代に即した改革を:朝日新聞

 公取委の調査というのは、次の記事にある。
 コンビニ業界の実態調査に、公正取引委員会が乗り出す方針を固めた。人手不足と人件費の上昇に悩む店主から 24時間営業の見直しを求める動きが出ており、本部側が一方的に拒んで不利益を与えていないかどうかを調べる。値下げ販売や仕入れ、大量出店についても調べる可能性がある。
 公取委の幹部によると、調査入りを近く正式に決める。アンケートの形式で今夏にも実施し、結果は来年前半にも公表する。
( → コンビニの実態、公取委調査へ 24時間営業で店主疲弊:朝日新聞

 似た記事もある。
  → コンビニ「24時間」実態調査へ=今夏にも加盟店にアンケート−公取委:時事ドットコム

 朝日の記事では、
 「アンケートの形式で今夏にも実施し、結果は来年前半にも公表する」
 だって。何ともまあ、気の抜けたスケジュールだろう。保釈された犯人が逃亡したあと、逮捕されるまでには、2〜3日間がかかったようだが、それでもその程度だ。なのに公取委は、違法行為があっても、半年以上も是正しないつもりらしい。

 こんなバカげたことをしなくても、コンビニ各社に直接聞くことにすれば、数日間で結果は得られるはずだ。
 「当社では 24時間営業が原則であり、各店が時短することは認めておりません」
 というふうに、犯人が自白することがわかっている。(嘘をつくわけにも行かないからだ。)
 だったら、直接犯人に聞けばいいのだ。なのに、そうしない公取委は、間抜けにもほどがある。

 ──

 さて。それはそれとして、そもそもコンビニ 24時間営業というのは、法的に認められるのか? 独禁法違反ではないのか? 優越的地位の濫用ではないのか? ……こういう観点から、考えてみようとしたのだが、別の話題も思い浮かんだ。
 「フランチャイズ店のオーナーが、団体交渉をしようとして、自分たちは労働者であると認めてもらおうとしたが、中央労働委員会がそれを否定して、労働者ではないと認定した」
 という件だ。下記記事にある。
 コンビニエンスストアのオーナーは労働者なのかーー。
 コンビニの24時間営業に世間の関心が集まる中、業界にとって注目の判断が下された。
 労働組合と使用者の間の労働争議を調整する中央労働委員会は3月15日、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマートとそれぞれ加盟店契約(フランチャイズ契約)を結んでいるオーナーらが「会社側が団体交渉に応じなかったことは不当労働行為だ」として救済を申し立てていた事件について、オーナーらの申し立てを棄却する命令を出した。
 命令の中で中労委は「加盟者(オーナー)は、独立した小売事業者であって、労働契約に類する契約によって労務を供給しているとはいえない」「加盟者は、会社から労働供給の対価として報酬を受け取っているということはできず、加盟者の事業者性は顕著である」などとし、「加盟者は労働組合法上の労働者に当たると評価することはできない」と判断した。
( → セブン店主ら、「労働者」ではない判断に落胆 | 東洋経済

 まあ、これはこれで、理屈が通らなくもない。一概に否定するべきとは言えないだろう。

 ただし、である。私はここで考えた。
 「労働者ではないとしたら、事業者だ。事業者ならば、経営者としての権限があるはずだ。したがって 24時間営業をしないという権限もあるはずだ。ところがそれを認められていないとしたら、両者には矛盾がある」

 つまり、次のいずれかだ。
  ・ 労働者であるので、24時間営業を決める権限はない。
  ・ 経営者であるので、24時間営業を決める権限もある。

 そのいずれであっても、理屈は通る。しかし、その折衷型は、どうか? 
 「労働者ではない。かつ、24時間営業を決める権限はない」

 これでは、両方のつまみ食いである。一方では「労働者ではない」と言って、団体交渉の権利を奪う。その一方で、「経営の権限はない」と言って、「24時間営業をやめる権限を奪う」あるときは経営者のフリをさせて、あるときは経営者としては認めない。
 こんなのは二枚舌も同然であり、論理矛盾だと言えるだろう。

 ──

 では、どうすればいいか? コンビニ会社は、次のいずれかを選択するべきだ。

 (1) 直営店

 その店は、本部直営店である。営業時間については、本部が自由に設定できる(つまり、24時間営業が可能である)。値引きするかどうかも、本部が自由に決めることができる。
 一方で、店員はすべて労働者として、本部に雇用される。店員には労働者としての権利が認められるし、長時間雇用を命令されても拒否する権限がある。

 (2) フランチャイズ店

 その店は、フランチャイズ店である。営業時間については、オーナーが自由に設定できる(つまり、24時間営業をやめることが可能である)。値引きするかどうかも、オーナーが自由に決めることができる(本部は権限がない)。
 一方で、オーナー店長は、自分の労働時間を自分で決めることができる。長時間の就業をするかしないかも、自分で決めることができる。オーナー以外の店員は労働者として、オーナーに雇用される。

 上の (1)(2) のいずれであってもいい。つまり店長は、労働者であっても経営者であっても、どちらでもいい。
 だが、(1)(2) の混合はダメだ。労働者と経営者の、都合のいいところだけをつまみ食いすることはダメだ。なのに、それをやっているのが、現行の制度だ。
 現行の制度は、そういうインチキを認めている。「フランチャイズ契約」という形で。……しかしこれは、インチキを認めることであるから、禁止するべきだ。「優越的地位の濫用」ということで。

 とにかく、正当なことは、「労働者か、経営者か、どちらか一方として認める」ということだ。「あるときは労働者で、あるときは経営者で」というような、ヌエ的な運用は認められない。そういうヌエ的な運用は「優越的地位の濫用」なのだ。つまり、違法なのだ。

 これが問題だということは、わかりにくいかもしれないので、比喩的に示そう。
 人間は、男であるか女であるか、どちらか一方だ。なのに、あるときは「女である」と認めて、あるときは「男である」と認めるのは、ヌエ的な運用だ。そこでは、都合のいいところだけつまみ食いをしていることになる。
 これは架空の話ではない。スポーツのセメンヤ選手は、「自分は女性だ」と言い張って、スポーツ界で金メダルを大量にちょうだいした。その一方で、性染色体では男性であるという本質ゆえに、いかにも男性らしいふるまいをして、女性と結婚して、男性としての生活を送っている。都合のいいところだけつまみ食いして、金メダルを大量にちょうだいして、ボロ儲けしているわけだ。

 そこで、「こういうインチキはやめろ。都合のいいところだけつまみ食いするのはやめろ」というふうに主張しているのが、本項だ。「論理矛盾を指摘する」という形で。

 コンビニ24時間の問題も、また同じ。コンビニ24時間は、それ自体が問題なのではない。「都合のいいところだけつまみ食いする」という、一種の論理矛盾が問題なのだ。
 そして、その矛盾を犯さない限りは、コンビニ24時間は容認されるのである。「本部直営で、労働者を合法的に雇用する」という形で。
 一方で、現状ではそういう形にしないから、コンビニ24時間営業は「違法な低賃金労働・長時間労働」となってしまっている。そここそが、問題となる。コンビニ24時間営業それ自体が問題なのではなく、そこからもたらされる「違法な低賃金労働・長時間労働」が問題なのだ。

 どこに問題があるかという本質を、「論理矛盾の指摘」という形で理解できる。
 そして、それを理解しなければ、公取委がいくらアンケートを採ったところで、ただの「ご意見伺い」ぐらいにしかならないのだ。つまり、やるだけ無駄、無効、無意味。

 ※ 公取委はたぶん、「やっています」のポーズ取りをしているだけで、実効性のある措置を取る気はないのだろう。たぶんコンビニ会社から、安倍政権に圧力がかかっていて、安倍政権の命令で、公取委は骨抜きにされている。だから、スピードが圧倒的に遅いのだ。

posted by 管理人 at 21:01| Comment(2) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>安倍政権の命令で

『安倍「首相」の命令で』と言われてはいないのが流石です。

(もちろん安倍首相自身が目を届かせているのか、という可能性も含め)
行政組織全体の問題も暗に指摘されていますね。

繁盛店が出るとその地域に集中出店して本来オーナーが手にするべき
利益をむしり取るゆがんだドミナント戦略もそこに根本があるのかも
しれませんね。だとするとこの問題は歴代の政権にも渡る構造的なもの
なのかもしれません。
Posted by 参考になります。 at 2019年06月25日 02:59
 実は、本項にそっくりなことは、前にも述べていた。
  → コンビニ 24時間営業は違法だ (2019年03月03日)
    http://openblog.seesaa.net/article/464446950.html
Posted by 管理人 at 2019年06月25日 12:47
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