2019年06月20日

◆ 保釈者の収監に失敗

 実刑の確定した保釈者の収監に失敗して、逃げられた、という間抜けな事件があった。

 ──

 読売および朝日の記事から。
 神奈川県愛川町田代のアパートで、窃盗罪などで実刑判決が確定した無職小林誠・元被告(43)が、刑務所に収容するため訪れた横浜地検と県警の職員に対して刃物を振り回し、車で逃走した。刃物を持ったまま逃げているとみられ、県警などが行方を追っている。
 19日は、事前の通告なしに地検の事務官4人と、警察官2人の計6人が訪問。県警によると、小林元被告は室内で話をした後、外で包丁のような刃物を振り回し、アパート近くに止めてあった普段使っている相模ナンバーの黒色のホンダ「フィット」で逃走した。
 小林元被告は身長1メートル71の小太り。
( → 実刑確定男、収監に抵抗し刃物振り回し車で逃走 : 国内 : 読売新聞

 19日は午後1時ごろに地検の職員らが訪問し、室内で話をしていたところ、刃物を持ちだした。
( → 実刑確定者、東名高速を西に向かった情報 顔写真を公開:朝日新聞

 何ともまあ、間抜けな話である。そもそも、事務官4人が出向いて、話をしている、というのが、わけがわからない。犯罪者に出頭を求めて話し合いをする、なんて、間抜けすぎる。警察は犯罪者にお願いをする立場なのか? 警察はいつから、犯罪者にそれほど及び腰になったんだ? 

 では、どうするべきだったか? こうだ。
 「屈強の警察官が2〜4名で出向いて、制圧する」

 制圧して、手錠をかけたあとで、拘置所に放り込めばいい。その前に、取り調べ室で取り調べてもいいが。

 一方、現実には、こうだった。
 「体格の貧弱な事務官4名と、警察官2名が出向いて、事務官が話し合いをした」

 このあと、相手がいきなりナイフを取り出したので、制圧するどころか、制圧されてしまった。ここでは、次の難点があった。
  ・ 弱々しい事務官を犯人の目の前に差し出した。
  ・ 警察官には制圧能力がなかった。

 そのいずれも、「制圧する」どころか「制圧される」ためにあるような態勢だった。
 間抜けすぎる、というしかない。

 ──

 では、どうすればいいか? もちろん、上に書いたとおりだ。つまり、
 「屈強の警察官が2〜4名で出向いて、制圧する」
 というふうにすればいい。これなら、手間もほとんどかからない。別に、SIT みたいな特殊チームが出向く必要もない。地元の所轄の警官から、体力の強力な人が数名選抜されるだけで済む。

 ただ、そのためには、「制圧要員」がもともと確保されている必要がある。警察官というと、たいていはしょぼくれたおじさんであることが多いようだが、若手で屈強の体格の人も少なからずいるのだから、そういう警察官を選抜しておけばいいのだ。

 なお、ついでに、制圧術を学んでおくことも必要だろう。今の警察官は、犯人を制圧する際、相手を倒してそこに馬乗りになる、という方法を取ることが多い。そのせいで、相手を圧迫死させる事件が何度も起こっている。
 こんな馬鹿なことをしなくても、「腕ひねり」のような制圧術(合気道系)を学んでおけば、簡単に相手を制圧できるのだ。きちんと制圧術を学んだ人材を養成しておくべきだろう。その上で、きちんと配備すればいい。



 [ 補足 ]
 制圧術の基本を述べておく。

 (1) 坐らせる

 相手を座らせることを最優先とする。坐った状態では、ろくに抵抗できなくなるからだ。たとえば、頭を軽く押さえるるだけで、相手は立てなくなる。








 いったん坐らせたあとは、相手の後ろに回ってから、首を腕で締める。( チョークする。)
 この状態で、両手に手錠をかければ、逮捕は完了する。(要員は2名以上が必要。)

 (2) 足払い

 相手が坐るのを拒否した場合には、強制的に坐らせるしかない。相手を囲んでから、逮捕を告げる。ただし、逮捕するためではなく、相手を逃がすためだ。相手は、坐るのを拒否したとすれば、逃げる気があるからに決まっている。だから、相手が逃げ出すのを待つ。そこで、逃げ出した相手に足払いをすることで、相手を倒す。(こけさせる。)
 足元からいきなり邪魔物が出れば、その邪魔物は視界には入らないから、逃げ出そうとした相手は、こけてしまう。これが原則だ。ここでは、最初から足払いをすることが目的となっている。そのことを強く留意しておこう。

 以上、(1)(2) を示した。これが制圧のときの基本だ。
 一方、その逆のことをすることもある。
 「相手を立たせたまま、逮捕を告げる。相手が逃げ出そうとしたら、正面からつかみかかって、相手を押し倒そうとする」
 これは最悪だ。こんなことをすれば、優位性を確立できず、ほぼ五分五分の立場になるので、体格負けすることが多い。逃げられてしまうことも多いだろう。馬鹿丸出し。
 ところが、現実には、こういう馬鹿げた逮捕術が行われているらしい。テレビドラマの警察ものでは、こういうふうに「正面から制圧する形で逮捕する」という事例が多い。そのあげく、犯人に逃げられてしまうようだ。
 「それはテレビドラマの話だろ。現実は違うぞ」
 と思うかもしれないが、現実に逃げられてしまったのが、本件だ。( → 本項の冒頭に戻れ。)



 【 関連動画 】







 【 追記 】
 収監するには人員不足だ、という記事がある。一部抜粋しよう。
 抵抗する恐れがある場合は、各地検の判断で収容に向かう人数を増やしたり、警察官に同行を要請したりする。保釈率の増加で、収容現場の負担は以前より、大きくなっているという。
 だが、長期的な刑法犯認知件数の減少を背景に、検察事務官の数は年々減っている。ある検察幹部は「業務が急増しているのに職員数は減らされる。これは切実な問題だ」と危機感をあらわにする。
( → https://www.sankei.com/affairs/news/190623/afr1906230021-n1.html

 問題があるように見えるが、解決は簡単だ。逃亡した者については、保釈金が没収される。今回は 600万円。
  → https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20190624-00131203/

 この 600万円を使えば、担当人員の人件費にあてることができる。むしろ、大幅な黒字となる。だから、逃亡者が増えれば増えるほど、国は大儲けできるわけだ。
 没収金については、国庫歳入とするかわりに、自治体の警察や検察に還元すればいいわけだ。ここのところをうまく制度化すれば、問題は解決する。

 なお、実際には、検察の人員を増やす必要は少ない。派遣するべき人員は、検察官ではなく、警察官である。それも、多大な人員を雇用する必要もない。もともとたくさんいる警察官のうち、手すきの人を、1時間ほど借りる(派遣してもらう)だけでいいのだ。また、犯人の対象も限られる。今回のように「何度も出頭拒否している、凶悪犯(今回は、傷害・窃盗・覚せい剤)の場合だけでいい。暴力犯でもない人は、刃物を振りかざして逃亡する、というような粗暴なことはやらないはずだ。(やれば大きく罪になる。)
 今回の犯人については、公務執行妨害罪が適用される上に、傷害未遂や銃刀法違反も適用されそうだ。新たな罰が大幅に追加されて、懲役の期間が3年ぐらい延びそうだ。

 なお、不出頭罪という形で新たに刑罰を作れ、という意見もあるらしい。
  → https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20190624-00131203/

 しかし、さして必要ないだろう。そもそも、それは「保釈金の没収」という形で、すでに同等の効果が用意されている。逮捕時に暴れることについては、公務執行妨害罪や傷害未遂や銃刀法違反も適用されるだろう。
 上の記事にもあるが、今回の失態の根本原因は、検察と警察だ。制度自体は、すでにある制度で十分だ。あとは、制度を運用する組織を、まともに機能させるだけでいい。
( ※ 本文中でも述べた通り。)

posted by 管理人 at 20:00| Comment(5) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 続報。朝日新聞。
 以下、引用。

 ──

 検察幹部は「そもそも保釈された人は、逃亡しないという前提があった」と語る。
 今月19日、小林容疑者の所在地の情報提供があり、地検職員5人と厚木署員2人がアパートを訪れた。小林容疑者と対面できたのは判決確定後、初めてだった。署員は警棒を持っていたが拳銃は携帯せず、防刃ベストも着ていなかった。
 
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14065604.html

 ──

 間抜けというよりは、油断か。どこまで気を抜いているんだか。「たるんでいる」としか言いようがないほどだ。呆れるばかり。
Posted by 管理人 at 2019年06月22日 09:47
 産経の記事によると、「裁判所がやたらと保釈するせいだ」と検察は批判している。
  →  http://j.mp/2XraCh3 

 だが、これは筋違いだろう。裁判所が未決者を保釈するのは当然だ。
 一方、今回は、保釈取り消しのときに、検察が収監に失敗した。検察の失敗を、裁判所のせいだと、責任転嫁するべきではない。
 検察は、自分のせいで失敗しておきながら、それを利用して、保釈をなくそうとしている。盗人猛々しいというか。検察は、正義の味方であるどころか、悪の味方(むしろ悪党そのもの)になってしまったな。

 ──

 この犯人は、最終的には、逮捕された。
  https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190623/k10011965391000.html

 ともあれ、検察の間抜けさのせいで、国民には多大な被害が生じた。地元では、学校が大幅に休校になったりした。
 「厚木市と愛川町では全ての公立小中学校が休校」
 https://www.fnn.jp/posts/00046886HDK/201906202140_livenewsit_HDK
Posted by 管理人 at 2019年06月23日 09:47
 頭を軽く押さえるるだけで、相手は立てなくなる……という動画を二つ、挿入しました。
Posted by 管理人 at 2019年06月23日 14:45
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2019年06月24日 08:00
 続報がある。検察の間抜けぶりがいっそう際立つ。しかも、これまで嘘をついて事実を隠蔽していたことも告白した。以下、引用。

 ──

 横浜地検は3日、事務官が収容のために2月27日に小林容疑者の自宅を訪れたものの、明確な拒否に遭って断念していたと明らかにした。
 これまでは2月8日の判決確定後、手紙や電話で出頭を促し、何度か容疑者宅を訪問したものの、逃走された6月19日まで会えなかったと説明していた。
 甲南大法科大学院の園田寿(ひさし)教授(刑法)は「収容を拒否した時点で逃亡のおそれが確認できたと解釈すべきだった。そこから再度の接触までに数カ月経っているというのは信じられない」と話す。
 2月に接触した際、地検は手錠などで身柄を強制的に拘束できる「収容状」を発付していた。実刑確定者が出頭に応じない場合に、検察官が事務官や警察官を指揮して収容するためのものだ。

  https://www.asahi.com/articles/ASM6Y62X4M6YULOB01G.html
  https://www.asahi.com/articles/DA3S14081220.html

 ──

 「収容状」で収容し、抵抗されたら「公務執行妨害」で逮捕するべきだった。
 そのためには、初めから屈強の警察官を多数連れていくべきだった。本文中で述べた通り。

 なお、「明確な拒否に遭って断念していた」ということだから、強制的に収監する意思は最初からなかった と解釈できる。
 この「やる気のなさ」が根本原因だね。馬鹿としか言いようがない。
Posted by 管理人 at 2019年07月04日 07:59
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