※ 最後に 【 追記 】 を加筆しました。全面訂正ふう。
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健康な人が車椅子に乗って、都内の 15キロを走破する、という体験記事があった。
東京2020オリンピック・パラリンピック応援イベント「ジャパンウォーク in TOKYO 2019春」が5月25日、東京都江東区の豊洲公園発着でありました。障害がある人もない人も参加でき、誰もが分け隔てなく暮らせる社会を考える大会。約4700人の参加者にまじって、記者が車いすで街を歩きました。
記者(41)は、……15キロのコースに参加した。 スタートは午前9時半すぎ。初めての車いす体験。学生時代にバレーボールで鍛えた体力に自信はあった。 記者は身長183センチ。
「うわっ」 かすかな衝撃を感じた瞬間、前につんのめった。横断歩道を渡りきる直前の、車道と歩道との段差が原因だった。わずか1〜2センチほどの段差でも、ある程度速度が出ていないと超えられなかった。人通りが多い地区に入り、信号が増えると、横断歩道のたびに恐怖を感じた。段差につんのめったり、上り坂に苦労したりするたび、道行く人がすぐに近寄り、声をかけてくれて救われた。
再び臨海部に近付くと、二つ、橋を渡らなければならない。軍手をしていたが、手の皮がむけ、腕に力が入らず、上り坂の途中で前に進めなくなった。
( → 互いに声かけ、支え合って ジャパンウォークin TOKYO:朝日新聞 )
屈強の体格の男性でさえ、数時間後には、「手の皮がむけ、腕に力が入らず」というほどになる。とすれば、腕の貧弱な高齢者や病人だったら、どれほど困難であることか。そして、その原因の一部は、「横断歩道の段差」であるらしい。
横断歩道の段差。これが問題となるようだ。健康な人には、あまり意識されないが、車椅子の人にとっては、大きな障害物となる。困ったことだ。
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
「日本中の段差をすべてなくすことは、現実的ではない。そこで、車椅子が通れる程度にだけ、部分的に段差をなくせばいい」
具体的には、こうだ。
「高さ1〜2センチほどの段差を埋めるために、約 50センチの間隔で、幅 10センチメートルの斜面を構築する。そのためには、その部分だけ、コンクリートを流し込めばいい。段差を埋める形で」
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高さ1〜2センチの段差を埋めるために、奥行きが 5〜 10センチぐらいの段差を作ればいい。タンジェント( tanθ)が 5分の1( 0.2 )ぐらいの角度だから、決して急斜面ではない。元の「段差あり」に比べると、車椅子にとっては難易度が大幅に低下するはずだ。
これは、段差を削るような「完全なスロープ」に比べると、機能的には少し劣るが、何もしないでいるのに比べれば、ずっと改善しているはずだ。
この方式が何よりも優れているのは、「低コスト」であることだ。この程度の量のコンクリートなら、百円ショップでも購入できる。たいした額にはならない。
さらには、工事用の大きな袋入りで購入して、大量に処理することにすれば、コストはずっと安くなるはずだ。1箇所 50円以下でできるだろう。(材料費は)
問題は人件費だが、それは、(東京五輪前で忙しい)工事関係者に任せるかわりに、高校生や大学生のボランティアでまかなってもいいだろう。あらかじめきちんと講習すれば、高校生や大学生でも十分な戦力となるはずだ。
というわけで、費用の点でも、労働力の点でも、十分に調達可能となるので、「日本のすべての歩道の段差を解消する」ということが、十分に現実的に可能となるはずだ。全国漏れなく 100% というのは無理でも、(都会の)人通りの多い地域についてなら、ほぼ 100% で可能になるはずだ。
かくて、車椅子の人が歩道の段差で困る、という問題は、現実レベルでほぼ解決できるだろう。費用もたいした額にはならないだろう。(東京五輪の関連費用の 0.1%にもなるまい。事実上、無視できる程度の少額で済む。)
五輪の案内や交通整理のためのボランティアよりは、歩道のバリアフリーのために簡易工事をしてくれるボランティアを募集する方が、はるかに有益となるだろう。
( ※ このような段差の解消は、自転車に乗る人にとってもありがたい。)
[ 付記 ]
工事について、二点、注記しておく。
(1) 間隔 50センチぐらいで二つの斜面をつくる……というふうに述べたが、ちょっと危険性があるかもしれない。どうせなら、間隔をなくして、幅 70センチぐらいの斜面(スロープ)を作る方がいいだろう。コストが許せるのであれば、という条件が付くが。(といっても、たいした額にはならない。)
(2) 単に斜面を作ると、雨水が流れにくくなる。そこで、斜面の内部を貫通するような雨水トンネルを設置するといいだろう。工事の際には、段差のところにビニールホースを置いて、その上からコンクリートを流し込めばいい。ビニールホースの部分だけが、空隙となって、トンネルとして残る。
【 補説 】
補足的な話をしておこう。
実は、鉄板やゴム製のプレートを段差に置くこともある。個人住宅の車庫の前に置かれているような、歩道の段差を埋めるためのプレートだ。これを置くこともできる。そういう案もある。
通常は、鉄やアルミ製のものだ。数千円〜数万円もするので、かなり高額だ。
→ 【楽天市場】段差スロープ 鉄の通販
一方、安価なゴム製のプレートもある。
→ 段差プレート 【通販モノタロウ】道路用品
2000円ぐらいのものが多いが、安い物では 1000円以下となっている。ゴム製だと、とても安価で済むわけだ。
では、こういうものを使えばいいのか?
実は、これらのものは、(左右の幅でなく)前後の奥行きが 20センチぐらいあるので、自動車の通行に影響する。自動車の安全性を損なう。だから、このようなものは、違法であるようだ。
車道と歩道の段差を解消するために、鉄板やコンクリート製(または特殊ゴム製)の乗り上げブロック、ステップ板などを置いている光景もよく見かけますが、これらは多くの自治体で禁止しています。
また、車道と歩道が分けられている道路は、その大半が道路法の対象となる公道(国道、都道府県道、区市町村道)であり、自治体の条例などに禁止規定がないとしても、道路法によって乗り上げブロックなどの設置は認められていません。
鉄板やブロックなどを置くことは、多くの自治体で禁止している。
自治体などが強制的に撤去したり強く指導したりせず、ほとんど野放しの状態となっている地域もあります。
しかし、もし道路上のブロックなどにバイクや自転車が乗り上げて転倒し死傷事故が起きたとすれば、それを置いた個人が責任を問われる事態になることも考えられるでしょう。
ただし、車いすの通行のために置いているブロックなどもあるでしょうから、一概にすべてがダメだともいえず難しい問題を抱えています。
( → 意外と高い? 歩道の切り下げ工事費用 All About )
以上から言えることは、こうだ。
「高さが5センチ以上あって、奥行きが 20センチあるようなスロープは、危険性があって違法のようだ。一方、高さが1〜2センチで、奥行きが 10センチ以下であるようなスロープならば、車椅子対策として許容されるだろう」
というわけで、すでに本文中で述べたような「小さな段差を埋めるもの」ならばいいが、市販されているような大型のプレートはよろしくないようだ。
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なお、段差が1〜2センチでなく、3センチ以上もあるような大きな段差については、歩道の厚みを削って、歩道をうするすることが必要となる。これはかなり大がかりな工事となる。費用もずいぶんかかる。
歩道の切り下げ工事が必要なとき、…… 30〜60万円程度の工事費用がかかるでしょう。…… 場合によっては、100万円近いような金額になるかもしれません。
( → 意外と高い? 歩道の切り下げ工事費用 All About )
とはいえ、この手の工事は、たいていの交差点で、すでに完了していることが多い。歩道を設置している時点で、すでにこの工事も完了しているのが普通だ。この工事ができていない交差点というのは、私は見たことがない。何十年も前ならともかく、近年では。
というわけで、段差の高さは1〜2センチのものだけを考えればいいだろう。その点でも、すでに本文で述べたことだけで足りる。
【 関連動画 】
【 追記 】
あとでよく考えると、本項の提案は、ちょっとまずいようだ。次の問題が発生するからだ。
「通水路となるトンネルが、ゴミで詰まってしまう」
こうなると、雨水を流すことができなくなって、雨のときの水はけが悪くなる。直そうと思っても、詰まった通水路(となるトンネル)をきれいにすることは困難だ。
そこで、新たに次の提案をする。
「段差で、底面にコンクリを盛り上げて斜面にするのでなく、上面を斜めに削って斜面にする」
図で言うと、
__| ̄ ̄
を
_/ ̄ ̄
でなく
__/ ̄
にする。(斜面の位置に注意)
この方法なら、「通水路がゴミで詰まる」という問題はなくなる。また、車椅子が通れなくなる問題も、(完全解消とまでは行かないが)、問題の大きさが大きく減じる。(なお、斜面の角度は 30度ぐらいにする。)
費用の点では、工作機械による削除工事が必要なので、そこそこの費用はかかる。ただし、高価な部材を付け足すことはないので、特別に高額になることもないだろう。1箇所、数千円ぐらいでできそうだ。
これをもって、新たな提案としたい。
歩道ではなく、車椅子を改良するべきでは?
歩道は日本全国に無数にあります。
車椅子が段差を乗り越える機能をつけるべきです。
コスパの面からも現実性からもそちらを考えるのが先かと。
既にそういう車椅子は存在するかもしれません。
( 本音をバラしちゃった。)
車椅子をいくら改良しても、歩道の段差に悩む自転車にとっては何の意味もないので、その方法ではダメなんです。
※ セミファットタイヤは、凸凹道には有利だが、舗装路には不利です。走行抵抗が大きいので。
結論を大幅に変更しています。
歩道上のバリアフリー化の障害物として従来から散々指摘されている「点字ブロック」への対策も聞きたい。
私が考えなくても、ググるだけで解決策は見つかります。
https://webronza.asahi.com/science/articles/2018030500001.html
ただし、「音声誘導や携帯電波誘導などの新技術」というのは、平凡であって、うまい案ではなさそうだ。誘導方式は、領域が限定されるからだ。
そこで困ったときのOpenブログ。うまい案を出そう。
「自動運転技術を援用して、ステレオカメラやソナーを使いながら、どんな場所でも進行ガイドをする」
ちょっと身障者支援のロボット技術に似た感じだ。
技術的には、そう難しくもないだろう。自動運転技術の進展にともなって、この技術も進展しそうだ。
あとは、ヘルメットでもかぶるだけで、耳に進行ガイドが聞こえるようになる。
当面はどうするかといったら、盲導犬でしょう。あるいは、福祉介護士みたいな人の協力。
あるいは、もっとうまい案もある。こうだ。
「盲人の共同住宅を作って、そこに多くの盲人を住まわせる。周辺は盲人対策をして、さまざまなバリアフリー化を実現する。盲導犬や福祉介護士もたくさん用意する」
つまり、領域を限定した上で、そこでは十分な福祉対策がなされるようにする。これなら、範囲が限定されているので、莫大なコストは必要とされない。コスパがいい。
このような領域を、あちこちに分散的に用意すれば、全国各地で、同様な領域を作れるだろう。
つまり車いす目線で見た点字ブロックへののうまい案
コメント冒頭のリンク先に詳しく説明してありますよ。
内容は、「邪魔だから撤去しろ」です。
というわけで、最初に答えています。ちゃんと読んでください。
> 「日本中の段差をすべてなくすことは、現実的ではない。そこで、車椅子が通れる程度にだけ、部分的に段差をなくせばいい」
に類する「うまい案」が有るかとの期待値込みの質問だったのですがね