2019年06月16日

◆ 自動ブレーキの予測機能

 自動ブレーキには、( AI による)予測機能を付けるといいだろう。

 ──

 自動車の自動ブレーキは、正面にある物体との衝突を回避する。その物体は、「今まさしく正面にある」ような物体だ。
 一方、「今はそこに存在しないが将来はそこに存在する」ような物体も考えられる。

 たとえば、交差点の右方から(赤信号無視で)突入してくる車 B だ。

           ← B

        ↑
        A


 この場合、現時点では、交差点には何もない。だが、数秒後には、自分 A も、右方の車 B も、ともに交差点に来るので、双方が衝突する。
 だから、「今は何もないが、将来は衝突するだろう」ということを予測して、衝突回避のために、あらかじめ自動ブレーキを作動させることが好ましい。

 ──

 このような事例は、実際にあるか? ある。先の大津市の保育園児の事故だ。本サイトでも言及した。
  → 交差点の事故で園児死亡: Open ブログ

 この事例では、上で述べた想定とは少し違っている。右方の車 B と交差するという点では同じなのだが、その車は、直進してきたのではなく、右折してきた。
 つまり、「対向車線の車が右折して、直進してきた車と衝突した」という形で、事故が起こった。




 この事故では、右折してきた車だけが悪くて、直進してきた車は悪くはない(刑事責任がない)というふうに処分が決まった。
 大津市の交差点で直進車と右折車がぶつかり、信号待ちをしていた保育園児ら16人が巻き添えで死傷した事故で、大津地検は14日、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで書類送検された直進車を運転していた女性(62)を嫌疑不十分で不起訴処分にした。園児の列に突っ込んだのは直進車だったが、事故の主因は右折車にあり、刑事責任を問える過失は認められない、と判断した。
( → 大津の園児事故、直進女性不起訴 地検「過失認めがたい」:朝日新聞

 なるほど。人間には過失がなかった。しかし、この事故では、自動ブレーキを働かせることは十分に可能であったはずだ。もし自動ブレーキに将来を予想する機能があれば、の話だが。

 すると、反論が来るかもしれない。
 「そんな将来を予想する機能( AI 機能)を開発するのは、すごく大変だ」
 と。しかし、違う。
 開発するのは容易である。なぜなら、同等の機能は、「対歩行者の衝突回避」機能という形で、すでに部分的に実現しているからだ。
 横から歩いてくる歩行者についてなら、将来の衝突を予測して、衝突を回避することができる。それはすでにある技術である。
 とすれば、同様のことは、横から進んでくる自動車についても可能であるはずだ。
 いや、可能であるどころか、すでに一部では実現しているはずだ。自動運転技術の開発の途上で、この程度のことはすでに技術開発がなされているはずだ。
 とすれば、あとは、それを実装することだ。そして、そのためには、「将来の衝突の予測と回避」ということを、公的な衝突試験において導入すればいいのだ。

 結局、それが本項の結論である。
 横から来る自動車について、将来の衝突を予測して、衝突を回避すること。そのような技術を開発するべきだ、といいたいところだが、そのような技術はすでに開発されているはずだ。もしかしたら一部では実装されているかもしれない。だから、その実装を普及させることが大切だ。そして、そのためには、公的な試験にそれを組み込むことが必要なのだ。

 メーカーがどれほど優れた技術を開発しても、それが世間に周知されていないと、技術は普及しない。新しい技術については、開発するだけでなく、理解した上で、普及させる制度を整えることが大切なのだ。
 そして、そのためには、どのような技術が開発されているかを教え、かつ、どのような技術が社会的に必要とされているかを教えるという、そういう先導者の声が大切だ。
 その声は、ここにある。

( ※ 本項で述べたことは、広い意味の「自動運転技術」の一部である。ただし、運転する機能ではなく、停止する機能だ。その意味では、「自動ブレーキ」機能の一部であるとも言える。)



 [ 付記1 ]

 現在の対歩行者衝突実験の動画がある。





 これは、「将来の衝突を AI で予測する」というタイプではなくて、単に「検出対象を検知する画角が広い」というぐらいのことでしかない。
 旧タイプの自動ブレーキでは、「検出対象を検知する画角が狭い」というふうになっていたので、横から飛び出す歩行を検知できないまま、正面で衝突する……というふうになっていた。
 しかし最近の自動ブレーキでは、検出対象を検知する画角が広い」というふうになっているので、結果的には、将来の衝突を予測できるようになりつつある。
 上の動画では、予測の量が小さいのだが、メーカーのテストでは、もっと予測の量を大きくしても大丈夫であることもあるようだ。

 ただ、右方から直進する(歩行者でなく)自動車まで検知するには、現在のシステムでは不十分であり、右方の画角を大きく広げたセンサーが必要となる。
 そのようなシステムは、かなり価格が上がるが、今秋に発売予定のスカイラインの自動運転機能には、そのような機能が搭載されている可能性が高い。(実際、単眼カメラの画角がとても広い。)


propilot20.jpg


 日産の自動運転車については、下記項目を参照。
  → 日産の新しい自動運転車: Open ブログ

 [ 付記2 ]
 「衝突を回避する」と言ったが、完全な回避は難しいかもしれない。特に、右折車に対しては、間に合わないかもしれない。だとしても、直進する車に自動ブレーキがかかれば、速度が大幅に下がるので、事故の規模が軽減されただろう。
 特に、大津市の例では、直進する車が(衝突の直前から)ずっとブレーキをかけていれば、早めに停止していた可能性が十分にある。そうなれば、保育園児のいるところに達することもなかったので、あれほどの大惨事は避けられただろう。

 さらに言えば、大津市の例では、直進する車だけでなく、右折する車にも(予測型の)自動ブレーキが搭載されていれば、右折する車に自動ブレーキがかかるので、衝突そのものが回避されただろう。この場合にはたぶん、衝突は完全に回避されたはずだ。



 【 関連サイト 】

 → JNCAP|予防安全性能アセスメント

 新たに多くの車種についてのテスト結果が掲載されている。
 また、夜間の対歩行者の衝突回避テストもなされている。
 ただし、歩行者の下半身は、白っぽいズボンなので、ヘッドライトで容易に検出が可能となっている。赤外線カメラの機能の有無は、チェックされていない。(どうせ搭載されていないから、試験をすれば、全社が不合格になるせいだろうが。……あえて満点を取りやすくした、甘いテストとなっている。)



 【 関連項目 】

 もっと厳しいテストにするべきだ、という話は、別項で述べた。
  → 自動ブレーキと夜間歩行者: Open ブログ

 ここでは、次のようなテスト対象が考えられている。
  ・ 夜間の歩行者(白ズボン以外)
  ・ 横断歩道を歩行中の歩行者 (先行車は停止中)
  ・ 薄暮で西日に向かっている自動車
  ・ トンネルの出口に向かっている自動車

 これらのテストをすれば、現在の自動ブレーキ車は、ほとんどが零点しか取れないだろう。
posted by 管理人 at 23:19| Comment(0) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
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