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政府は「高齢者運転に限定免許」という方針を打ち出した。
→ 高齢者運転に限定免許 園児散歩エリアにキッズゾーン 政府検討:朝日新聞
これはこれでいいが、これを示す記事に、「自動ブレーキの義務化」(を検討する)という話も記されていた。
自動ブレーキの新車への義務づけも年内をめどに結論を出す。
( → 高齢者運転に限定免許 園児散歩エリアにキッズゾーン 政府検討:朝日新聞 )
自動ブレーキを推進することは、とても大切だ。本サイトでも何度も述べた通り。問題は、その手法だ。「義務化」という方針は正しいか?
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実は「自動ブレーキの義務化」というのは、ずっと前に決定していたことだった。(本年2月)
→ 40ヶ国が合意!2020年「自動ブレーキ義務化」とは?新制度で車はどう変わる?
→ 自動ブレーキ搭載義務化、40カ国が合意 国連発表 :日本経済新聞
記事にあるように、2020年初頭から義務化が実施されることが決まっている。日本も合意している。だから私は、そうなるものだとばかり思っていた。そのための法律もすでに成立しているものだと思っていた。
ところが、上記の報道によると、日本政府はこれまで何もやっていない。それどころか、やるかどうかも決めていない。「年内をめどに結論を出す」ということだから、2020年初頭から義務化はまったく不可能である。……驚くほどの無為無策ぶりだ。呆れるしかない。気違いじみているとすら言える。
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では、どうするべきか? 今から法律を考えて成立させるとしたら、何が最善か?
常識的に言えば、次のようになる。
・ 今から法律を練る。
・ 夏休み後の9月に法案提出。
・ 11月ごろに法律の成立。即時施行。
・ 義務化の対象は、1年ほどの猶予を見て、2020年11月ごろ。
これが最速のペースだろう。(期間を大幅に早めるとしても、2020年夏ごろになってしまう。)これでは、あまりにも遅い。
困った。どうする?
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そこで困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
「義務化は義務化として、別途、経済的な促進策を出す。自動ブレーキの搭載車には補助金を出し、非搭載車には課徴金を課す」
具体的に言おう。
搭載車の割合は9割ぐらいにはなるだろうから、搭載車には1万円の補助金を出し、非搭載車には 10万円の課徴金を課すればいい。これでおおよそ、全体としてはトントンとなる。
で、こうなれば、メーカーとしては8万円ぐらいのコストをかけても、自動ブレーキを搭載した方が安上がりになるから、せっせとあわてて自動ブレーキ搭載車を増やす。というわけで、自動ブレーキの搭載の普及は、最大限にまで早まる。
( ※ ひょっとしたら9割どころか 99%ぐらいが搭載車になるかも。それはそれでいい。そのときは、1万円という補助金を、途中で廃止すればいい。補助金の政策なんて、いつでも変えられる。)
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さて。以上で話は済むかというと、そうでもない。なぜなら、ここでは話は新車に限られていて、中古車は対象外だからだ。これはまずい。
が、だからといって、中古車に自動ブレーキを搭載することは難しい。後付けの自動ブレーキというのは、いまだに開発されていないからだ。
では、どうするべきか? 原理的には、こうするしかない。
「自動ブレーキの非搭載車から搭載車への買い換えを促進する」
そのためには、次のようにすればいい。
「自動ブレーキが非搭載である中古車には、課徴金を課する」
では、どうやって? それは、次のようにすればいい。
「自動ブレーキの非搭載車(中古車)には、定期点検のときに、課徴金を課する」
定期点検のときには、自動車関係の税金も取られるだろうから、ついでに「自動ブレーキの非搭載の課徴金」を徴収すればいいのだ。そうすれば、自動ブレーキの非搭載車に乗る人が減る。
しかし、である。上の方針には、大きな欠陥がある。こうだ。
「自動ブレーキの非搭載の課徴金を課すれば、非搭載車の価格は(市場において)低下するが、非搭載車の数は減らない。非搭載車の台数の総数が減らないのだから、自動ブレーキ車を促進する効果はない」
まさしく、その通り。非搭載車への課徴金は、価格を下げる効果はあるが、数を減らす効果はない。だから、「中古車への自動ブレーキの促進」なんていう方策は、意味がないのだ。
あれれ。困った。
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「中古車のうち、自動ブレーキ搭載車の総数は変わらないとしても、その配分を変えることができる。自動ブレーキ搭載車を、高齢者に多く配分して、若者には少なく配分することができる」
これならば効果があるはずだ。若者ならば、運動神経がいいので、事故が起こりそうなときにも、自分でブレーキを踏むことができる。だから、自動ブレーキがなくても、事故を起こしにくい。
一方、高齢者は、自分でブレーキを踏もうとしても、反応が鈍い。自動ブレーキの必要性が高い。だから、自動ブレーキ車を、高齢者に重点的に配分すればいいのだ。
ここまで見れば、正しい方策もわかる。こうだ。
「自動ブレーキの非搭載車(中古車)への課徴金を課するのは、高齢者ドライバーの場合だけとする。若者は対象外とする」
この案では、「イエス/ノー」型だが、途中に中間段階を入れてもいい。次のように。(非搭載車への課徴金の額)
・ 40歳以下 …… ゼロ
・ 41〜60歳 …… 5万円
・ 61歳以上 …… 10万円
別途、完全な義務づけもあってもいい。次のような。
「 75歳以上では、自動ブレーキ車を義務化する」
これは、本項の冒頭の案に似ているが、「新車に限らず中古車にも適用される」という点で、大きく異なる。これは、自動車を対象とした義務化ではなく、高齢ドライバーを対象とした義務化である。(車でなく人を対象とする。)
こういう形で、中古車を含めた義務化をすることこそ、暴走事故をなくすための有効策だ。
政府みたいに「新車だけを対象とする」のでは、暴走事故をなくすには足りないのである。(足りないのは、知恵かもしれないが。)
[ 付記 ]
自動ブレーキの性能レベルも、規制に含めるべきだろう。
性能がかなり劣る自動ブレーキも多いからだ。特に、数年前の古い自動ブレーキだと、性能が劣るものが多い。コストのかかっていない軽自動車では、特にそうだ。こういうものまでいっちょまえに「自動ブレーキが付いています」と名乗るのは、おこがましい。
性能が劣るものについては、装着車について、「課徴金を、免除しないで、半分だけかける」というようにするとよさそうだ。
( ※ 性能のレベルは、過去の JNCAP のテスト結果を援用すればいいだろう。 → 該当サイト )