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ノリが大凶作になっているそうだ。なぜか?
それを考える前に、私はかねてこう思っていた。
「近年は河川がきれいになっているが、きれいになりすぎると、栄養分が不足してしまうので、海では漁獲量が減ってしまうのでは?」
そう思っていたのだが、「海の環境改善にケチを付ける」というようなことをすると、環境保護派に文句を言われそうなので、黙っていた。
ところが、本日の朝日新聞の記事を見ると、この懸念が現実化しているらしいと知った。魚ではなく、ノリなのだが、生産高が激減しているそうだ。その理由は、河川がきれいになりすぎて、海が栄養分不足になったことだ。
値上げの背景にあるのは、全国で46年ぶりの水準というノリの凶作だ。
東京海洋大の二羽恭介准教授(応用藻類学)は「全国で共通するのは、高水温の影響とノリの色落ち」と語る。
ノリの生産減にもつながる色落ちを生むのは、窒素やリンといった栄養塩の不足だ。兵庫県の明石浦漁業協同組合の戎本裕明組合長(56)は「ひどくなったのは90年代後半。水が澄んでいかりまで綱が見えると、決まって色落ちして回復しなかった」と話す。県の担当者は「下水の処理能力の向上などで、水がきれいになりすぎた」。窒素やリンの濃度が国が定める環境基準よりはるかに低くなり、全国で初めて「下限」の目標値設定に動いている。
( → ノリ大凶作、出荷46年ぶり低水準 千葉・佐賀など各地 製造大手3社、値上げへ:朝日新聞 、おむすび海苔なしに? 大手値上げ、漁師「海変わった」:朝日新聞)
環境保護派は疑うかもしれない。
「水がきれいになりすぎて、漁獲高やノリ収量が減るなんて、あるはずがない。四万十川だって、清流だからこそ鮎が棲むんだ」
というふうな。
しかし、これは妥当ではない。昔から、こういうではないか。
「水清ければ 魚棲まず」
「白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋ひしき」
不思議に思えるかもしれないが、生物学的には妥当である。
水が清い → 栄養分がない → 植物プランクトンがない → 魚が増えない
という経路で、「水清ければ 魚棲まず」となるのだ。
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というわけで、冒頭に述べたような私の推測は、妥当であると判明したわけだ。
ただし、注意。このことは、ノリの生産だけに当てはまるのではない。魚にもまた当てはまるはずだ。
とすれば、次のことも、理由は同じかもしれない。
・ サンマの減少
・ イワシの減少
・ ウナギの減少
これらはいずれも、「水清ければ 魚棲まず」ということの結果かもしれないのだ。
人々は、「サンマ・イワシ・ウナギが減少したのは、海洋汚染と地球温暖化のせいだ」と思っているようだ。しかし本当は、環境保護で河川をきれいにしすぎたことが原因かもしれないのだ。
そしてまた、それへの対策は、河川に屎尿(しにょう)などを垂れ流すことかもしれない。あるいはまた、鉄分の散布も対策になるかもしれない。……そのいずれも、「海洋を汚染するので禁止」というふうに国際条約で決まっているのだが、そういう国際条約こそ、環境を破壊している原因かもしれないのだ。
【 関連項目 】
→ 海洋緑化計画: Open ブログ
※ 鉄分を散布するという案。
[ 補足 ]
海苔の凶作については、海水の高温化が原因だとも疑われているが、そうだとすると、西日本では凶作がひどく、北日本では逆に豊作になっているはずだ。しかし、そういうことはないようだ。
海水の高温化は、一因かもしれないが、主因ではないと思う。(漠然とした印象なので、断言はしないが。)