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喫煙をやめて禁煙にすることで、医療費は減る……と言われる。たとえば、厚労省だ。
たばこによる疾病や死亡のために、1993年には年間1兆2000億円(国民医療費の5%)が超過医療費としてかかっていることが試算されており……
( → たばこ|厚生労働省 )
同趣旨の意見は、他にもネットにたくさんある。
→ 禁煙で、カラダもお財布も健康に!|けんぽれん
→ たばこが原因で103万人が病気に 医療費は1.5兆円
→ 「禁煙支援」で下げられる「医療コスト」はどれくらいか
→ 「タバコの経済学」|けんぽれん大阪連合会
禁煙運動をする人は、以上のように「喫煙は経済的損害をもたらす」と主張する。
しかし私は疑問に思っていた。
「喫煙者は、早く死ぬのだから、その分、医療費は少ないのでは?」
なるほど、喫煙者は、生きているときには多くの医療費がかかる。しかし、喫煙者は早く死んでしまうのだ。だったら、生涯のトータルでは医療費はかえって少なくなりそうだ。むしろ、健康な人は、長生きして、何年もずっと医療費がかかるので、生涯のトータルでは医療費は多くなりそうだ。
こう思ったのだが、禁煙派の人々から反発を食いそうだし、具体的なデータもないので、黙っていた。「データもないくせに勝手なことを言うな!」と言われたら、どうしようもないからだ。
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ところが、である。その具体的なデータを示してくれる人がいた。まさしく私の考えたとおりなのである。本日の朝日新聞で、大きな特集記事がある。
《 (インタビュー)医療費削減の幻想 医療経済学者・康永秀生さん 》
「長生きすると、誰しもいずれは病気にかかります。その結果、生涯にかかる医療費は減りません。つまり予防医療は、医療費がかかるタイミングを先送りしているだけで、医療費を減らす効果はないのです。たとえば禁煙対策により肺がんになる人が減れば、短期的な医療費は減ります。でも寿命も長くなるので、一生にかかる医療費の総額はむしろ増えます。メタボ健診、がん検診なども同じことがいえます。これは専門家の間ではほぼ共通認識です」
( → 朝日新聞 )
というわけで、私の思っていたとおりだったのである。詳しい話は、上記記事を読んでほしい。細かな情報をいろいろと知ることができる。
専門家がきちんと証明しているので、私としては付け加えることは何もない。単に記事を紹介するに留める。
ともあれ、世の中に流布している善意の情報には嘘がある……という例が見つかったわけだ。「エコは何でもすばらしい」とエコを推進する過激な環境保護論者のように、「禁煙はあらゆる意味で素晴らしい」と禁煙を推進する過激な禁煙運動論者にも、部分的には虚偽が含まれるのである。(すべてが正しいわけではない、ということ。)
[ 付記 ]
上記は禁煙と医療費の話だが、他に「年金」の効果もある。喫煙者が早く死んでくれれば、その分、年金の支払額が減るので、その分、年金財政は健全化するのだ。
喫煙者が早く死んでくれるほど、生き残った非喫煙者は自分の取り分が増えるのである。
( ※ 何だか残酷なことを言っているように見えるが、私は善悪を言っているのではなく、単に数字の計算結果を示しているだけである。文句がある人は、私に文句を言うより、電卓に文句を言った方がいい。「電卓の馬鹿野郎。おまえはどうして正直に計算結果を出すんだ。少しは気を利かせて、嘘の結果を出せ!」と注文すればいいのだ。)