2019年06月09日

◆ 陸上競技の革命的事件

 桐生に続いてサニブラウンが 100メートルの新記録を出した。新記録ラッシュだ。では、そのわけは……?

 ──

 サニブラウンが 100メートルの新記録を出した。世間では大騒ぎだ。マスコミも持ち上げている。
  日本の男子短距離界に、また新たな歴史の一ページが加わった。
( → 9秒97、新たな歴史 サニブラウン日本新 :朝日新聞

 新たな歴史だって。何ともまあ、大げさな。
 という私の評価を聞くと、「だってすごいだろ。何十年もできなかった 10秒切りを、日本選手が立て続けに出しているんだ。これこそ歴史的快挙だ」と思う人も多いだろう。
 だが、待ってほしい。今回のサニブラウンは、全米選手権ではなく、全米大学選手権だ。22歳以下に限定されている。それでいて、優勝できず、3位であるにすぎない。1位の選手は、何と 9秒86 だ。サニブラウンのはるか先で、雲のかなたという感じである。
 これで驚いてはいけない。ウサイン・ボルトの記録をご存じだろうか? 何と、9秒58 である。





 ウサイン・ボルトがサニブラウンの年齢だったときには、 9秒86 と似たような記録だったから、その時点で、すでにサニブラウンよりもずっと優れていたことがわかる。

 実は、Wikipedia を見ればわかるように、9秒86 ぐらいの成績は、今日では珍しくない。かなり多くの人が記録を出している。ちなみにアジア記録は 9秒91 だ。
  → 100メートル競走 - Wikipedia

 ──

 さて。そこで問題だ。
 どうしてこのように、近年は記録の大幅な向上が起こるのだろう? カール・ルイスのころは、いくら優れていても、9秒9ぐらいが限界だった。そこに届くまでには長い年月がかかった。なのにどうして近年、そこから大幅な向上が起こったのか?

 これについてのヒントは、次のことだ。
 「マラソンでは近年、記録の大幅な向上が起こっている。それは、ナイキが特別なシューズを開発したからだ」

 たとえば、日本で特別な快記録を出した設楽悠太の履いていた靴は、ナイキだ。
  → 男子マラソン日本記録更新、設楽悠太選手の足元を支えたのは「ナイキ史上最速シューズ」

 同様に、設楽悠太の記録を塗り替えた大迫傑も、履いていた靴はナイキだ。
  → 大迫傑選手が2時間05分50秒で日本記録を更新! 着用していたのはナイキ
 最近では、新しいシューズで、さらに記録更新を狙っているようだ。
  → 「クッショニングがぜんぜん違う」大迫傑がナイキ新作"ネクスト%"を初体験

 こういう事情があるからには、100メートル走でも同様だろう……と推定して、ググってみたら、まさしくそうだと判明した。
 Zoom Superfly Eliteを、ナイキはついに完成させたのだ。このスパイクプレートの重さは61g。ナイキの前モデル「Ja Fly2」の118gから半減している。そして硬さは約4倍にもなった。
 プライスがZoom Superfly Eliteを履いて100メートルを走ったとき、タイムは0.148秒も短縮したのだ。
 「信じがたい結果です」とスクールミースターは言う。「0.148秒速くなれば、表彰台に届かないくらいの選手を金メダリストにすることができます」
( → ナイキの美しき「アルゴリズミック・シューズ」が、五輪の100M走を劇的に変える|WIRED.jp

 タイムで 0.148秒の短縮。10秒00 の選手であれば、9秒852になれる。それほどの劇的な効果があるわけだ。
 逆に言えば、これほど素晴らしいシューズを履いても、せいぜい 9秒97 ぐらいしか出せないのであれば、実力はたいしたことはないし、昔の日本人選手の方が実力はずっと上であったと判定できそうだ。

 結局、すごいのは、桐生でもなく、サニブラウンでもなく、ナイキのシューズだったのだ。これで騒ぐのは、大げさすぎると言えるだろう。
 こんなので騒ぐぐらいなら、ナイキのシューズでも買った方がいい。プロ選手向けでなければ、比較的安価に買える。

  → Amazon ナイキのシューズ

posted by 管理人 at 10:28| Comment(17) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
走り方が変わったからだと思います。
昔は、ももを上げて走るのが正しいと教えていた。
今そんなコーチはいない。
その結果、全国大会の標準タイム突破する中学生が増えすぎてる状況です。子供の数が減ったのに。

今すごい理由はライバルと東京五輪でしょう。
Posted by 天猫 at 2019年06月09日 14:47
> 昔は、ももを上げて走るのが正しいと教えていた

 その方式が変わったのは、最近ではなくて、伊東浩司選手のころ。1998年に10秒00の日本記録。このころすでに、新しい走法になっていた。その走法で 10秒00 に達した。
  → http://j.mp/2ZfSC6M

 しかし 10秒00が壁となっていて、長らくこの壁を越えられなかった。そいつはなぜか……というのが本項のテーマ。
Posted by 管理人 at 2019年06月09日 14:59
管理人さん ほんとうの事 言ったら 嫌われます

暁の超特急 輝かしかったな 私の年だと いい思い出だなぁ
Posted by k at 2019年06月09日 18:37
伊東は変な走り方だと言われ、嫌がらせ?があったとか読んだことある。
高野進が東海大のコーチになって、ももを上げない走り方を教え始めたら、学生の反発にあったそうだよ。
Posted by 天猫 at 2019年06月09日 19:05
伊東、高野進、末續と東海大だが、ももを上げない走り方は、伊東も高野も自分で探し当てた。

で、高野は末續のコーチだから教えている。

伊東はコーチ無しなのかな。高野の教えは受けてない。伊東も末續には教えてない。

あとね、1991年の世界陸上は日本開催だったが、その時にカメラを大量に配置して、世界的選手の走りを研究した。

東大の深代千之教授が、その結果として、ももは上げないとか言い始めたが、それが陸上界に浸透するのは、ずっと後。高野が東海大コーチになったは、1998年前後のはず。そのころは、高校で陸上部にいたのは、みなもも上げを練習してた。

世界の方は、モーリスグリーン以降変わったのかな、忘れた。
ルイスとは違い、今の選手はみな筋肉だらけ。

靴を否定はしないが、走り方の方が大きい影響があったと思う。
Posted by 天猫 at 2019年06月09日 19:28
てよか、サニブラウンはナイキのその靴履いているの?そういう情報がないようだよ。
桐生も違う靴履いてる。アシックスだ。
あと、硬い方が反発があって速いというのも、昔から言われていたことです。
ボルトの記録も2009年で、そのナイキの靴ではない。
Posted by 天猫 at 2019年06月09日 19:47
世界の方も、すでに1994年にリロイ・バレルが9.85まで出てる。

靴だけで0.15も速くなるなら、2019年なら、9.7以下は10人以上いてもおかしくないと思う。でも、9.7以下は3人だけ。

やっぱり、靴の影響はそこまでないと思う。
Posted by 天猫 at 2019年06月09日 19:56
 サニブラウンの靴は、ググればすぐに出ますよ。何の工夫もいらない。すぐに見つかる。
  → https://frog-style.site/sanibrown-shoes/
 《 サニブラウン選手が履いているスパイクは「ナイキ ズーム スーパーフライ エリート」! 》
 どんぴしゃです。

 ケンブリッジもナイキ。同上。
 山縣もナイキ。同上。

 桐生は違う。アシックス。とすると、まだ伸びる余地が大きい。

> 靴だけで0.15も速くなるなら、2019年なら、9.7以下は10人以上いてもおかしくない

 まさか。カールルイスの 9秒86 (1991)が傑出した値なんだから、傑出した選手でも 9秒71 が数年に1人、というところでしょう。9.7以下は、0人か1人が普通。
 
Posted by 管理人 at 2019年06月09日 20:27
スマホで簡単に見ていたので間違えた。重さが61グラムとあり、違うと思った。PCで見てよく読むと「プレート」が61グラムだった。名前も同じ。

山縣はそのモデルですね。
でも、2012年にすでに10.07出してます。そのモデルがそんなに速いのなら、なぜまだ9秒台でないのかと疑問になります。

ケンブリッジは、リオ五輪の時はアンダーアーマーでした。17年からナイキです。ベストは0.02上がったが、今は下がっています。

どうですかねえ、0.15上がるですか?

リオ五輪のためにナイキが作ったモデルのようですが、100の記録10傑はリオ以前のものです。

もちろん、その靴は速いのでしょう。新しい技術を否定する気はありません。

でも、競泳のレーザーレーサーのような大きな差はないと思いますね。

やはり、走り方の違いだと思いますね。昔は、伊東とか末續とか、ほんの少しだけがもも上げしない走りで記録を出した。

今は、短距離選手全てが無駄なもも上げしない。
で、日本人選手の多くが、9秒台間近になってるで、おかしくないと思います。

それに、地元の東京オリンピック直前です。どのスポーツでも、日本人選手が強くなっています。
短距離も同じでしょう。
Posted by 天猫 at 2019年06月09日 21:27
あと、思いついたのは、「1マイル4分の壁」です。
以前、人間には無理だとか言われていたそうです。長年切れなかったそうです。

でも、1人が4分切ったら、すぐに多くの選手が4分切ったそうです。

日本人の100m10秒も、同じようなものだと思います。
これは、もう他にも多くの人が同じことを言っていまs。
Posted by 天猫 at 2019年06月09日 21:46
サニブラウンも、いつからそのモデルか不明だが、記録的には、普通に伸びただけとも言える。

2014 高1:10.45
2015 高2:10.28
2016 高3:10.22
2017  :10.05
2018  :10.46
2019  :9.97
Posted by 天猫 at 2019年06月09日 22:01
というより、本当に0.15秒も速くなるスパイクがあったら、新聞で大騒ぎではないだろうか。

競泳のレーザーレーサーは大騒ぎだったじゃん。

単にナイキの大袈裟な性能表示なだけでしょ。
Posted by 天猫 at 2019年06月09日 22:39
 0.15秒 という数値は問題じゃない。その5割か3割であってもいい。ここ数年の大幅な記録向上が続出していることには、その背景としてシューズの改善が大きな要因・理由であったということがわかればいい。
 なお、五輪は関係ない。五輪の決定する前から、各選手の記録改善は起こっていた。それはシューズの技術の改善によるとしか思えない。
 しかも同様のことは、日本に限らず、世界的に起こっていた。外国では、東京五輪の効果はゼロ。いや、むしろマイナスだろう。
Posted by 管理人 at 2019年06月09日 23:24
ずいぶん話が変わったような。

桐生がナイキでないので速くなる余地が大きい。とか、
「結局、すごいのは、桐生でもなく、サニブラウンでもなく、ナイキのシューズだったのだ。」とか
革命的とか書いていたのに

シューズ全体の話で、ここ数年の話に変わったのですか?

Posted by 天猫 at 2019年06月10日 21:40
 別に変わっていないですよ。もともとここ数年の話だし。あなたが勘違いしていただけ。
 ナイキがすごいが、アシックスも少しはすごい。ナイキほどじゃないが。……それだけのこと。
Posted by 管理人 at 2019年06月10日 21:57
また、勘違いですねwww
いつも、読者の勘違いや誤読です。

革命的事件というタイトルはどこに行ったのだろうかwww

そうか、クリック数を稼ぐためだったんですねwww

なぜ速くなったで、あとはトラックも言われますね。高速トラックとか言われます。もちろん規格があるので特別に速いトラックなんてありません。
ただ、きれいな新しいトラックは速いでしょう。手入れの雑なトラックは記録が出ないそうです。昔はヨーロッパでも、手入れが雑で記録が出なかったが、手入れの行き届いた日本だと記録が出やすいとかあったそうです。
今は、世界中にきれいなトラックがありそうな気がします。

あと、最近速いと言っても、2000年以降?はしばらく遅くなったとか言いますね。ドラッグ検査が厳しくなったからとか聞きます。
Posted by 天猫 at 2019年06月10日 22:54
 革命的というのは、タイトルだけ。長い本文を3字に要約するだけの言葉なんだから、そんなのにこだわる必要はない。
 正確な話は本文に書いてある。そこには「革命的」という言葉は出ていない。
Posted by 管理人 at 2019年06月10日 23:36
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