2019年06月09日

◆ 体操女子のゴタゴタ(村上茉愛)

 体操女子でゴタゴタ騒ぎが起こっているが、その病根を調べると、意外にも深いとわかる。

 ──

 体操女子でゴタゴタ騒ぎが起こっている。村上茉愛(むらかみ まい)(22歳)選手への特例救済(病欠救済)を認めなかったこと。
 日本体操協会は8日、東京都内で理事会を開き、5月のNHK杯をけがで棄権し、世界選手権(10月、ドイツ・シュツットガルト)の代表権を逃した村上茉愛(まい、日体ク)を特例で選べるようにするかを議論したが、事前に決めた選考ルールを守り、救済しないことを決めた。
 村上はNHK杯を棄権したため、条件を満たしていない。
 「アンフェアな形になり、チームの結束力に影響が出る」などと意見が出て、出席理事15人のうち、8人が反対し、認められなかった。日本はエース抜きで、昨年は6位だった世界選手権に挑むことになる。
( → 体操・村上茉愛が世界選手権代表外れる 特例で救済せず :朝日新聞

 「ルールなら仕方がないな」という気もするが、「エース」という言葉が気になった。本当にエース? 日本で一番の選手を出場させない? まさか。そんなバカなことがあるはずがない。そこで調べると……
  ・ 2017年に全日本選手権の個人総合で2連覇し、NHK杯の個人総合で初優勝し、2017年世界選手権代表に選出された。
  ・ 2017年世界選手権は……1954年世界選手権の平均台で田中敬子が初獲得して63年後に、日本人女子選手として種目別金メダルを獲得した。
  ・ 2018年はFIG体操ワールドカップの女子個人総合で初優勝すると、全日本選手権の個人総合で3連覇を果たしNHK杯の個人総合を2連覇した。
( → 村上茉愛 - Wikipedia

 まぎれれもなく、傑出したエースだとわかる。ここ半世紀で最高の選手だとも言える。男子体操の内村航平にも匹敵するほどの傑出した選手だと言える。
 仮に内村航平が、腰痛で1大会を欠場したからといって、世界選手権に出場させないということがあるだろうか? まさか。しかし体操女子では、そういうことが起こっているのである。 では、なぜ? 
 上の朝日の記事では、次の記述があった。
 出席理事15人のうち、8人が反対

 半数を 0.5人、上回っただけだ。たった1人の違いで賛否が決まったことになる。
 さらに、次のことが決定的だった。
 塚原光男副会長から「後付けでの選考はあってはならない」と意見が挙がるなどし、救済案は却下に。
( → 村上茉愛の代表入り“救済案”を体操協会が却下…塚原副会長「後付けでの選考はあってはならない」 : スポーツ報知

 塚原光男副会長が吠えた。「選考方法なんてのは絶対に後付けはダメ。スポーツの基本」
( → 村上茉愛は世界体操アウト、特例巡り塚原光男副会長吠えた― スポニチ Sponichi Annex スポーツ

 副会長が強硬に反対したのであれば、それに流される理事が多く出たのも当然だろう。ここでは副会長の意思が決定的であったと認定できる。
 では、副会長とは、どんな人物か? 
 リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江……は記者会見を開き、……塚原光男と塚原千恵子からパワハラや朝日生命への引き抜き行為を受けていたと告発した。会見の中で、宮川は塚原夫妻から「あのコーチはダメ。だからあなたは伸びない。私なら速見の100倍教えられる」などと言われて、恐怖を感じたと述べた
( → 塚原光男 - Wikipedia

 これはかつて世間をにぎわせた、塚原夫妻によるパワハラ騒動である。ところがこのあと、塚原夫妻にはまともな処分が下されなかった。(職務の一時職務停止のあとで解除)
 なぜか? 判定者となる第三者(弁護士)が、買収されていたからである。
 調査をおこなってきた第三者委員会が、パワハラは認められなかったと判断。それを受けて日本体操協会は、一時職務停止となっていた2人の処分を解除すると発表した。
 「第三者委員会のメンバーが発表された時点で、こうなることはわかっていた。結果ありきの調査だったということ」と憤るのは、ある体操関係者だ。
「第三者委員会は5人で構成されましたが、委員長を務める岩井重一氏は、塚原夫妻が経営する朝日生命体操クラブを協賛する、朝日生命が株主になっている『ブロードリンク』という企業の顧問弁護士です。
 委員の松田純一氏も、朝日生命本社ビルに入っている弁護士事務所の弁護士です。この人選では、『塚原サイドの息がかかっている弁護士を選んだ』と言われても仕方がない。
 さらに怪しいのは、きちんと調査をしたかです。宮川選手の代理人である山口(政貴)弁護士も言っていましたが、宮川選手が『この人に話を聞いてください』とお願いした人には、聴取をおこなっていないんです。
 パワハラを受けたと言っている人間が、話を聞いてほしいと名前をあげた人に、話を聞いていない時点でパワハラですよね。
( → 「塚原夫妻にパワハラなし」と判定 現場では不満が爆発か - ライブドアニュース

 これだけで済まなかった。あろうことか、協会は、告発した宮川選手を処分したのである。
 日本体操協会は9日、理事会を開き、リオデジャネイロ五輪女子代表の宮川紗江選手(19)が「パワーハラスメントを受けた」と塚原光男副会長(71)と塚原千恵子・女子強化本部長(71)を告発した問題で、宮川選手の一部の言動が千恵子強化本部長の名誉を傷つけたなどとして、宮川選手に反省文の提出を求めることを決めた。反省文はすでに提出されているという。
( → 体操協会、宮川選手に反省文要求 池谷幸雄氏に厳重注意 - 朝日新聞

 パワハラ被害があったときに、加害者を処罰せず、被害者を処罰する。そのすべては、協会のボスを守るためだ。これほどにも圧倒的な独裁体制が敷かれているわけだ。
 とすれば、冒頭の村上選手の問題では、「出場不可」という意見が圧倒的になってもいいはずだった。ところが、賛否はほぼ拮抗した。これはやはり、村上選手の実力が圧倒的であったからだろう。「独裁者の意見に従ってまでエースを外すのは忍びない」と思った人が多かったからだろう。それでも結局、両親を出した人は多数にならなかった。副会長以外の14人は賛否が同数だった。そして、残る1人の副会長の意思で、村上選手は外されることに決まった。

 ではなぜ、副会長は村上選手を外したか? その理由は、宮川選手と同じだろう。塚原夫妻が経営する朝日生命体操クラブに勧誘したのに、断られたからだ。そう強く推定できる。(それ以外には理由があるはずがないからだ。)

 結局、すべては金のためなのである。金のための利権が生じ、金によって独裁体制を維持する。そういう利権構造があるわけだ。そして、それに反する選手は、代表の座を外されてしまうのである。たとえどれほどの実力があっても、だ。



 [ 付記1 ]
 そもそもなぜ「 NHK杯への出場」が義務づけられたのか?
 推測だが、たぶん、村上選手がケガをしているという情報を得ていたからだろう。それで、彼女が出場できないようにと、わざとその時期の NHK杯 を狙って、「出場の義務づけ」を設定したのだろう。
 つまり、すべては仕組まれていたのである。独裁者ならば、それができる。

 [ 付記2 ]
 次の記事もある。
 山本宜史専務理事は「絶対に村上選手が必要なのは分かるが、ルールはルール」とした
( → 村上茉愛は世界体操アウト、特例巡り塚原光男副会長吠えた― スポニチ Sponichi Annex スポーツ

 反対派の理事でさえ、「絶対に村上選手が必要」と認めている。それにもかかわらず、ルールを建前として、何が何でも村上選手を排除したがっているわけだ。
 ここでは、物事の是非は議論で決まるのではない。「何が何でも村上選手を排除したい」という結論が最初にあったのだ。そのために、後付けで「ルール」という話が持ち出されたにすぎまい。
 そして、その「ルール」というのも、どうやら排除のために強引に作り出されたものにすぎないらしいのだ。

 [ 付記3 ]
 それでも、反論はあるかもしれない。彼女だけを特別に優遇するのはおかしい、というふうに。たとえば、下記。
  → 日本体操協会女子強化本部(※去年パワハラで揉めたとこ)が代表選考新解釈アクロバットを始めたので釘を深く刺しにいくの巻。 : スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム
 しかし、この人の言うような「村上茉愛さんを何とかして世界選手権の代表にねじ込むぞ」というのは、とんだ誤解だ。冒頭の朝日の記事には、こうある。
 世界選手権の代表には、個人総合で争う4月の全日本選手権とNHK杯で、上位4選手がまず選ばれた。残り1人は、NHK杯で12位以内に入った選手の中から、今月22、23日の全日本種目別選手権も含めた計3大会の得点で、最もチームに貢献できる選手を選ぶ。

 村上選手は、仮に今回選ばれたとしても、出場が決まるわけではない。単に「排除されなかった」というだけのことだ。最終的に出場するためには、「今月22、23日の全日本種目別選手権も含めた計3大会の得点で、最もチームに貢献できる選手を選ぶ」という過程が必要となる。
 ここで、NHK杯で出場しなかった村上選手は、3大会でなく2大会での成績しかない。だから、その2大会だけを見ればいい。
 2大会だけといっても、獲得したポイントの合計がそのまま評価ポイントになるわけではない。むしろ、
 「1位に10ポイント、2位に5ポイント、3位に3ポイント」
 というような成績ポイントを与えればいい。ここで、村上選手が2大会で1位を占めれば、20ポイントを獲得するので、2大会の成績だけでも最上位のポイントを獲得できる。1大会を欠場しても、なおかつ最優秀になれるのだ。
 要するに、1大会を欠場したならば、その分だけ不利になるようなハンディキャップを付ければいい。そのうえで、ハンディキャップを乗り越えて、最優秀の成績を得たならば、代表に選べばいい。
 なのに、そういうことをしないで、最初の段階で足切りの形で切り捨ててしまえ……というのは、もう、理屈ではない。ただの感情だろう。(その根底には、欲得まみれの金銭勘定がある。)



 【 関連動画 】











 段違い平行棒の最後には、ムーンサルトを決めている。これを見たら、塚原副会長(元祖ムーンサルト)は、何としても弟子にしたがるに決まっているね。




posted by 管理人 at 09:52| Comment(2) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に動画を4つ、追加しました。
Posted by 管理人 at 2019年06月09日 15:28
ぶっっちゃけ、体操協会もお金が無いいでしょうね。

体操やレスリングと同じく、大きな大会かオリンピックの時
だけしか注目されませんし、

>委員の松田純一氏も、朝日生命本社ビルに入っている弁護士事務所の弁護士です。

現在、保険業界最下位の朝日生命の顧問弁護士であるのなら、
他に金のある超大企業が相応の金と人材を出せば幾らでも
切り崩せそうな気がしますけど、宣伝効果を考えたら「体操」
というジャンルそのものに、そこまでの継続性のある価値は
無い、というのが実相のような気もします。

朝日生命体操クラブ自体が朝日生命の経営危機で本体が手を
引く予定だったものを塚原氏が自身の体操クラブに経営母体
を引き取って「(朝日生命)協賛」という形で継続させた
ものですから、委員会内部の権力争い・独裁も突き詰めれば
貧すれば鈍する、の事例のような気もします。

業界体質の浄化と言うより、この機会に自分の勢力を拡げて
やろう、と言う手合いもいるでしょうし。
Posted by 参考になります。 at 2019年06月10日 10:36
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