2019年06月08日

◆ 中国の対日攻撃のシナリオ

 中国の対日攻撃があるとしたら、どういうふうになるか? 「空母いぶき」は、あまりにも荒唐無稽なので、私がシナリオを考える。

 ── 

 「空母いぶき」では、中国の対日攻撃を想定していたが、これはあまりにも現実離れしている。そこで、私が揉もっと現実的に考える。

 (1) 離島攻撃?

 「空母いぶき」では、最初に日本の離島への攻撃・占拠があった。しかし、これはありえない。
 そもそも、離島を占拠しても、何の意味もない。一時的には滑走路を得ることができるし、本土への攻撃の橋頭堡を確保できる。
 しかしすぐさま、日本の本土からの攻撃を受ける。ミサイルや爆撃機が殺到する。それに対して、離島にいる中国軍はあまりにも小規模だ。だとすれば、あっという間に中国軍は負ける。(中国にとって)最悪の場合、跡形もなく消えてしまう。かくて、離島は再奪取されて、日本の手に戻る。
 結局、離島の占拠なんて、ただの一時の慰みであるにすぎないから、そんなことをするはずがないのだ。労多くして、益少なし。

 (2) 本土上陸

 では、本土上陸はあるか? 一応、考えられる。ノルマンディー上陸みたいなものだ。
 ただしこれは、戦争の終盤になってからだ。自軍の勝利が確定したあとで、最終的に敵軍の陣地をすべて奪い取るために、上陸する。
 したがって、その前に、自軍の勝利を確定させる必要がある。具体的には、制空権(圧倒的な航空優勢)を確率必要がある。仮に、そうなっていない状況で上陸作戦を実施すれば、上陸した軍力が「飛んで火に入る夏の虫」になってしまうからだ。
 自軍の戦力を無駄に消耗させないためには、あらかじめ敵の陣地内で制空権(圧倒的な航空優勢)を確立する必要がある。

 (3) 制空権(圧倒的な航空優勢)

 では、制空権(圧倒的な航空優勢)を確立するには、どうすればいいか? 次のいずれかだ。
  ・ 敵の航空戦力のほとんどを撃墜、破壊する。
  ・ 敵の航空基地を破壊する。(滑走路やレーダー)

 通常、その両方をやる。だから、戦争をするのであれば、このような「制空権の取り合い」こそが、もっとも中核的な争点となるだろう。
 そのためには、あらかじめ航空戦力を充実させておく必要がある。
 で、現実にはどうかというと、きわめてお寒い限りだ。
  ・ F-35 は、プロトタイプの段階であり、実戦配備できない。
  ・ F-4 は退役した。
  ・ F-2 は、対艦攻撃が主体であり、空中戦に向いていない。
     (数もきわめて限定的だ。)
  ・ F-15 は、当面の主力だが、旧式化している。中国の
     最新型の戦闘機には、負けそうだ。


 仮に日本にタイフーンが大量配備されていれば、中国の最新型戦闘機にも十分に対処できただろう。しかし現実には、未完成の F-35 が数機あるぐらいで、あとはポンコツしかない。現時点で戦争をすれば、日本の航空戦力はボロ負けするだろう。制空権はあっという間に奪われて、日本の敗北はほぼ決定的となる。

 (4) 米軍

 日本と中国がまともに戦えば、現時点では日本の完敗だろう。(海の戦力では勝てそうだが、航空戦力は完敗だろう。空母いぶきとは違って、F-35 は大量配備されていないからだ。)
 しかしながら、日本単独では負けるとしても、日本のほかに米軍がある。これが頼みの綱となる。
 とはいえ、中国だって、それはわかっている。日本をたたきつぶすためには、まずは米軍をたたきつぶすしかない。では、どうするか?

 (5) 沖縄攻撃

 そこで最もありそうなのが、沖縄の米軍を先制攻撃でたたきつぶすことだ。真珠湾攻撃という奇襲攻撃と同様である。潜水艦などを派遣して、何とかして、沖縄の米軍を先制攻撃でたたきつぶす。
 もちろん、沖縄の米軍をたたきつぶしても、それで米軍の善吉をたたきつぶしたことにはならない。しかし、日本の先兵となる位置にある沖縄米軍をたたきつぶせば、自軍への脅威は著しく減少する。
 つまり、沖縄米軍への攻撃は、日本を侵略するためにあるのではなく、日本を侵略するための中国軍への攻撃を減らすためにあるのだ。
 実は、石垣島や宮古島などの離島に不沈空母となる自衛隊基地があっても、中国艦隊にとってはさして脅威にならない。まして、ただの空母があったとしても、さして脅威にならない。しかし、沖縄米軍は別だ。これはものすごい脅威になる。だからこそ、中国の対日攻撃に当たっては、最優先の攻撃対象として、沖縄米軍が選ばれるだろう。
 「空母いぶき」では、離島への攻撃が最初にあったが、これは(労多くして益少なしなので)現実味が薄い。最も現実味があるのは、沖縄米軍への攻撃なのだ。ここに、地対地ミサイルや、艦対地ミサイルや、爆撃などの手を尽くして、集中攻撃を加えるだろう。また、あらかじめこっそり上陸して、ゲリラ戦を加えるかもしれない。
 とにかく、中国にとって「目の上のたんこぶ」は、沖縄米軍なのだから、ここが最優先の攻撃目標となる。

 (6) 勝敗は? 

 中国が沖縄米軍を攻撃したとしたら、勝敗はどうなるか?
 現時点では、米軍の方が優勢だろう。米軍の価値と判定していい。
 しかし数年後は、どうなるかわからない。中国の軍備は急激に増えている。沖縄米軍を圧倒する戦力になる日も、そう遠くはあるまい。
 また、沖縄米軍は、もともと米軍の一部であるにすぎない。その戦力はきわめて限定的だ。当面はグアムからの応援を待つしかない。その後は米国本土や世界各地の米軍を集めてもらうしかない。しかしそれには、すごく時間がかかる。そのまえに、沖縄米軍が陥落してしまう可能性は、とても高い。
 というわけで、数年後であれば、「中国軍の勝ち」と判定できそうだ。

 (7) 戦争の勝敗は?

 中国は先制攻撃で、沖縄米軍を壊滅させることができる。それはいわば、真珠湾攻撃で勝利したようなものである。
 では、その後はどうか? 中国は日本に上陸して、日本を侵略できるか? いや、できないだろう。なぜなら、日本の本土には、多くの米軍基地があるからだ。これらの基地にある戦力は侮りがたい。最終的には、在日米軍の力を結集して、迫りくる中国軍を撃退できるだろう。
 これはいわば、当初は優勢だった旧日本軍が、ミッドウェー以後は敗北していったのに似ている。最終的には、旧日本軍が負けたように、中国軍が負けるだろう。つまり、日本から撃退されるだろう。

 (8) 中国は開戦するか? 

 最終的には、中国は在日米軍に負ける。……そうわかっているなら、中国は対日攻撃に踏み切らないだろう。
 それが、以上のシナリオからわかることだ。
 
 (9) 限定攻撃は? 

 中国は対日攻撃に踏み切らないだろう、と結論したが、全面戦争の代わりに、限定戦争ならばどうだろうか? たとえば、離島攻撃のような?
 しかし、離島攻撃は(労多くして益少なしだから)無効だ、とすでに述べた。中国がやるはずがない。
 とはいえ、中国の頭がトチ狂って、それをやったら、どうするべきか?
 その場合には、先に述べたとおりで、(ミサイルや爆撃で)徹底的に攻撃することで、上陸した中国軍を壊滅させればいい。跡形もなく消してしまってもいい。
 しかし、もっとうまい方法がある。それは、「経済封鎖」だ。
 中国が侵略をしたら、クウェートを侵略したイラクみたいに、(世界的な)経済封鎖という制裁をすればいい。そのことで、中国は莫大な輸出先を失い、莫大な輸入先も失う。大量に生産したIT機器は、売り先を失い、ただの在庫の山(つまりゴミ)となる。というか、IT機器の製造用の材料や部品を輸入できなくなって、ITの生産そのものができなくなる。原油や LNG もなくなり、発電もできなくなる。食料も大幅に不足する。かくて、今の北朝鮮みたいになって、国家は(経済的に)崩壊する。数年もすれば、軍の兵器の生産もままならなくなるだろう。こうなれば、圧倒的な戦力差が生じるので、本格的な戦争をしたらあっというまに惨敗する。
 というわけで、「経済封鎖」をすれば、特に何の手間もかけずに、中国を惨敗させることが可能だ。だから、離島攻撃に対しては、「空母いぶき」なんかをもってくる必要はなくて、「経済封鎖」だけで足りてしまうのだ。
 その間、離島をどうするか? 何もしないでいい。放っておけばいい。ただし、周辺は囲い込む。すると、兵糧攻めとなって、敵は食糧不足のあまり餓死してしまうので、放っておくだけで自動的に勝ってしまう。
 というわけで、「空母いぶき」なんかがなくても、離島攻撃には簡単に勝利できてしまうのである。
 「空母いぶき」なんてものが、いかに荒唐無稽なものであるか、上記の話からわかるだろう。

 ※ しょせんは「空母なんてものは役立たずである」というのが、根源にある。この根源を無視して、戦争漫画を描いても、荒唐無稽な物語になるしかないのだ。「空母いぶき」は、いわば、現代の戦艦大和である。ただのファンタジーの世界にのみ存在するものだ。現実の世界では、ただの役立たずであるにすぎない。現実的な兵器というよりは、ガンダムみたいなオモチャだと思った方がいい。
 ※ とはいえ、こういうオモチャを、現実に配備しようとする政治家や軍備オタクがいるのだから、呆れるね。



 [ 付記 ]
 日本に空母を導入することには、決定的な難点がある。日本の空軍力が大幅に低下してしまうのである。
 なぜか? 空母を導入すると、艦載機は F-35A でなく F-35B にしなくてはならない。それにともなって、次の二点が生じる。
  ・ F-35B は多くの性能が1割前後、劣る。( → Wikipedia
  ・ F-35B はコストが 3割ぐらい高い。( → 出典


 性能で1割劣り、価格では3割劣る。合わせて4割ぐらい劣る。(かける費用を同一だと見なすと、機数は3割減る。)
 あまりにも戦力低下がひどいので、口あんぐりとなる。
 「空母いぶき」では、性能が上回る F-35B が、数では圧倒的に多い中国の戦闘機に苦戦する、という場面が描かれている。その通り。機数が少ないと、性能が少し上回っていても、かなり不利になるのである。

 とすれば、空母なんか導入しないで、離島に滑走路を建設した方が、ずっとマシなのである。そうすれば、性能は1割向上するし、機数は3割も増える。圧倒的に有利だ。
 逆に言えば、そのメリットをなくしてしまう愚策が、空母導入なのである。金をドブに捨てるのも同然だ。いや、もっとひどい。日本を戦いで敗北させるために金を投入するも同然だ。一種の自殺策。

( ※ 記事では「費用が3割アップするなら、国産化をやめて輸入にすればいい」という案も示されている。しかしそれは F-35A にも当てはまる。国産化をやめれば、機数は増える。どっちみち、F-35B が劣るのは同じ。)
posted by 管理人 at 17:19| Comment(1) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
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Posted by 管理人 at 2019年06月08日 18:12
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