※ 最後に 【 追記・訂正 】 を加筆しました。
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大豆が体にいい、という話はひろく知られているが、今回の番組では意外な情報が知らされたいた。2点ある。
(1) 筋肉量アップ
運動しなくても筋肉量がアップする……という夢のような素晴らしい話。番組では「そんなうまい話があるのか」「ある」という具合に述べられていたが、実はちょっと嘘っぽい。
大豆を食べた場合には、
「運動しなくても筋肉量がアップする」
ということ自体は、論理的には正しいのだが、正確には、
「運動しないときに限って、筋肉量がアップする」
というふうになる。
……と聞くと、「わけがわからん」と思う人が多いだろうから、解説すると:
「運動する人が、運動しないと、筋肉量がアップする」
のではない。
「運動しない人ならば、大豆たんぱくを取ると、筋肉量がアップする」
ということだ。
寝たきり老人とか、宇宙ステーションの滞在者とかでは、筋肉の使用量が激減するので、筋肉量が急激に低下する。まともに体を動かせなくなる。
こういう半病人みたいな場合には、大豆たんぱくを取ることで、急激な筋肉量の低下を防げるそうだ。
また、普通の高齢者も、運動不足で筋肉量が大幅に低下しているので、大豆たんぱくを取ることで、筋肉量のアップが実現する。
とはいえ、すでに筋トレをしている若者にも、同様の「筋肉アップ」の効果があるわけではない。あくまで、半病人や高齢者の「筋肉の縮小」を抑制するだけだ。
( ※ その意味では、番組は羊頭狗肉だ。嘘じゃないんだけどね。印象詐欺っぽい。)
なお、そうなることには、科学的な原理がある。
衰えた筋肉を修復するための IRS-1 がある。だが、運動量が低下すると、ユビキチンリガーゼ Cbi-b が IRS-1 を阻害するので、衰えた筋肉を修復する機能が働かなくなる。ところが、大豆たんぱくは、構造が Cbi-b にそっくりなので、ユビキチンリガーゼ Cbi-b は、 IRS-1 をつかまえるかわりに、大豆たんぱくをつかまえてしまうので、ユビキチンリガーゼ Cbi-b が IRS-1 の邪魔をすることがなくなる。かくて、 IRS-1 がまともに働くので、衰えた筋肉を修復する作用が健全化する。これで、筋肉量の低下を防げる。
( ※ これは、抗体の話にそっくりだ。同じ原理らしい。)
(2) 心臓病の予防
心臓病の予防という効果もあるそうだ。前にも聞いたことがある気がするので、「ふーん」と思っていたが、グラフを見てびっくりした。あまりにも顕著な効果がある。

横軸は大豆摂取量(対数目盛)。縦軸は心筋梗塞による死亡者数(らしい)。
調査者は、WHO の指定研究で世界各地の長寿食を調べるため、世界の 64カ国を調べて、あれやこれやと長寿村に行って、独自の食事を調べたそうだ。ヨーグルトとか何とか。
で、結局、どうなったかというと、上のグラフの通りだ。圧倒的に効果があったのは、大豆をいっぱい食べている日本であった、ということだ。(灯台もと暗しというか、幸せの青い鳥というべきか。)
実際、日本人は世界トップの長寿国だが、その理由はどうやら大豆であったようだ。塩分を取り過ぎて高血圧の傾向はあるのだが、それでも大豆の効果が大きいらしい。
[ 付記 ]
大豆にはビタミンB が含まれていて、これが非常に重要であるらしい。ビタミンB は、豚肉にも含まれているが、豚肉を毎日食べる人は多くないだろう。一方、大豆食品なら、毎日食べる人も多いだろう。(納豆や豆腐などで。味噌汁もある。)
ビタミンB は、人間にとってはとても重要な栄養素であり、これがないと、脳がまともに働かなくなるし、頭の疲れも取れにくくなる。だから毎日、一定量の摂取が必要だ。
というわけで、「ビタミンB を毎日摂取する」ということのために、大豆食品はきわめて有効なのである。
【 補説 】
かくて、大豆が健康にいいということがわかった。
番組によると、(大豆タンパクを)1日 25グラムを食べるといいそうだ。しかし現代人はそんなに大豆を食べ慣れていないという。だから、いろいろと工夫して、さまざまな大豆食品 を食べるといいそうだ。
さて。ここからは、私の話。
私の場合はどうかというと、毎朝、次のように大豆を食べている。
・ 納豆1箱( 40グラム の大豆。うち大豆タンパクが 7グラム)
・ 味噌汁1杯
・ 味噌汁に入れる豆腐
概算して、 7+4+4= 15 (グラム)。
これではとうてい 25グラムに到達しない。けっこう食べているつもりだったが、十分とは言えないようだ。
もっと食べるには、豆腐や油揚げや厚揚げなどをたくさん食べる必要があるようだ。しかし、大変ですね。
そこで、スーパーに行って調べたら……
大変重要なことがわかった。こうだ。
「豆腐や油揚げに含まれるタンパク質は、銘柄によって大差がある」
一般に、安物の豆腐や油揚げは、タンパク質がとても少ない。半分ぐらいしかないこともある。一方、高価な豆腐や油揚げは、タンパク質が多めだが、値段に比例するとは限らない。
実は、イオンで特別にタンパク質が多い銘柄を見つけた。相模屋の豆腐だ。値段は 65円で最安であり、手前に平積みされる形で大量に並べられていて、売れ線だ。これのタンパク質を見たら、木綿も絹も、21〜23グラムぐらいあって、標準の8グラムに比べて3倍近くもある。圧倒的にタンパク質の量が多い。
※ 上の話は誤りなので、記事の最後で修正します。
また、油揚げも、銘柄によってかなり差がある。安物はダメだが、トップバリュの手揚げふうとかいうやつは、トップバリュにもかかわらず高級品であって、タンパク質の量がかなり多い。(油揚げの量は少ないのに、タンパク質は 11グラムもある。)
一方、納豆は、どれもこれも大差がない。大豆の量がどれも同じぐらいなので、タンパク質もどれも同じぐらいとなるようだ。(銘柄の差よりは、1箱あたりの大豆の量に左右されるようだ。40グラム 〜 50グラムというふうに、銘柄ごとの差があるので。)
結論。
納豆はどれを採っても差は少ないが、豆腐や油揚げは銘柄ごとに大差が生じる。商品に記載されている成分表をよく読んで、タンパク質の多いものを購入するといい。特に、イオンで売っているものには、(安くて)高品質のものがあるので、それをうまく選んで買うといいだろう。
※ ヨーカドーや西友などは未調査。各人でお調べください。
【 追記・訂正 】
「タンパク質の量は、銘柄によって3倍もの差がある」
と記したが、これは誤りだったようだ。そんなに差があるわけがないと思って、調べ直したら、表示法が違っていたようだ。
次の二通りの表示法がある。
・ 100グラムあたりの量
・ 1箱あたりの量
豆腐だと、1箱 350グラムぐらいある。100グラムあたりタンパク質が6グラムだとすると、次の表示になる。
・ 6グラム (100グラムあたり)
・ 21グラム (1箱あたり)
つまり、表示の基準となる量に 3.5倍もの差があったから、数字でも3倍以上の差が出たわけだ。
その観点で見ると、イオンの安い豆腐は、(100グラムあたりだと)6グラムぐらいしか含まれていないので、タンパク質は少なめだ。他社の製品はもっと多く含まれている。だから、イオンの製品はお買い得どころか、ただの稀薄な安物であるにすぎない。表示の仕方で、ゴマ化しているだけだ。この会社だけが、(100グラムあたり)でなく(1箱あたり)で示している。ペテンだね。
ちょっとだまされていた。(イオンというよりは相模屋に、だが。)
※ ただしメーカーサイトでは「100グラムあたり 6.6g 」というふうに記している。これは正しい表示法。
→ 食卓 木綿|商品紹介|相模屋食料株式会社|とうふは相模屋
【 関連サイト 】
ガッテンの番組内容の紹介は:
→ 心臓病予防&筋力アップ!健康長寿をかなえるスーパーフード!? - NHK
→ 【ガッテン】大豆を食べるだけで筋力アップ!おすすめ食材&レシピも掲載
→ 食べるだけで筋肉筋力UP!大豆で寝たきりも40%増実証!心臓病にも!
高アミノ酸でとても効率的のように感じるけど
私の場合の、1日の摂取量を、
7+4+1= 12 (グラム)
と記しましたが、これを
7+4+4= 15 (グラム)
に訂正しました。
つまり、1日あたりの豆腐の摂取量を1から4に訂正しました。
理由は:
すでに示したように、成分表における数値は、100グラムあたりの数値。1箱あたりの数値は、その 3.5倍 ぐらいになる。最初に計算したときは、ここを勘違いしていたので、実際よりも少なく算出していた。それで約1グラムと算出していた。しかし実際にはその 3.5倍(約4グラム)ある。そこで、数値を 1 から 4に訂正した。
ま、騒ぐほどのことではないんだが。念のために。