──
話の発端は、これだ。
→ 会社から『男性育休の事例を作らないといけない』と言われ1ヶ月の育休を取得した夫が職場復帰したらパタハラに遭ってしまった話 - Togetter
男性の育休取得を会社から進められたので、実際に育休を取得したら、復帰時にいきなり転居を強要され、退職に追い込まれた……という事例。ネットで炎上している。
この会社は、株式会社カネカである。売上高が 5500億円で、従業員が連結で1万人。大企業だ。
この会社は、最近は業績が好調だ。特に、環境や福祉の分野で成長しているようだ。
→ 事業案内(キャッシュ)
《 加筆 》 ※ 一時、アクセス遮断していたが、その後に復活した。
環境や福祉の分野を事業にしているので、先進的なイメージが必要になったのだろう。「子育て支援もしています」というイメージを得るために、厚労省の「くるみんマーク」というものを取得した。2009年と 2013年。
→ 厚労省の告知:くるみんマークの取得会社(PDF)
厚労省は、これを大々的に推進しているようだ。
→ くるみんマーク・プラチナくるみんマークについて |厚生労働省

その推進方針に従って、カネカはくるみんマークを取得して、「育休取得を推進する優れた企業です」と告知したわけだ。
ところが実際には、育休取得を推進するどころか、阻害する企業である、と判明したわけだ。(冒頭の togetter)
──
以上をまとめれば、こうなる。
・ 厚労省は、子育て支援のために、くるみんマークを制定した。
・ カネカは、それに従って、くるみんマークを取得した。
・ しかしカネカは実際には、育休取得を阻害している。
つまり、嘘つきである。詐欺をしている。
・ 厚労省は、カネカの詐欺を見逃すことで、詐欺に加担している。
かくて、「厚労省は、カネカの詐欺に加担している」ということが判明したわけだ。政府が詐欺師の片棒を担いでいるわけだ。
これが結論となる。
[ 付記1 ]
この問題を避けるには、厚労省は「くるみんマークの取得を取り消す」というふうにする必要がある。しかし、マークの取得はあっても、マークの取り消しというのはないようだ。つまり、取り消しは制度化されていないようだ。
今後の政府の対応が注目される。取り消せば、問題はない。取り消さなければ、まさしく政府は詐欺に加担していることになる。……ちょうど昔、カネミ油症事件で、カネカの補償金逃れに加担したように。
[ 付記2 ]
カネミ油症事件では、カネカは過去には、カネミ油症の主たる責任者として話題になったこともある。
→ カネミ油症事件 - Wikipedia
原因については、カネカに大きな責任があると見なせるようだ。危険な PCB を「安全だ」と偽って販売していたからだ。
PCBを製造した鐘淵化学工業(現カネカ)の当時のパンフレットには、次のような記述がある。
「カネクロールによる金属材料の腐蝕は、高温、低温を問わず、実用上問題はなく、材質の選択は自由であります」
PCBによる金属腐食性も否定しているように読める。食用油に大量混入したPCB。
( → <カネミ油症50年>「カネカが回収すべきだった」 カネミ倉庫社長インタビュー CB処理負担に不満 | 長崎新聞 )
しかしカネカは補償金を払わずじまい。
全国のPCB廃棄物処理施設に多額の税金が投入されてきた点を疑問視。「その何パーセントかのお金で患者さんを救える。そもそもなぜ有害物質を製造し広く販売したカネカが回収・処理費を全額負担しないのか」と述べた。
加藤社長は、カネミ倉庫が認定患者の医療費自己負担分などを支払っていることなどから「曲がりなりにも責任を取ってきた」とする一方、「カネカは(見舞金などの)金を一度(過去の原告患者に)払って、その後、責任はないと言い張っている。それが50年目の姿」と強調。「被害者の救済問題を最終的に解決するにはカネカに何らかの形でコミットしてもらわなければならない」と主張した。
( → <カネミ油症50年>「カネカも救済枠組みに」カネミ倉庫社長インタビュー PCB製造責任を指摘 | 長崎新聞 )
今になって詐欺師としてふるまうのも、昔の経歴からすれば、当然かもね。(カネゴンみたいなものか。)
【 関連サイト 】
→ くるみん - Wikipedia
→ https://b.hatena.ne.jp/entry/3770313/comment/potoq