2019年06月02日

◆ クリムト展・大哺乳類展

 東京・上野で、二つの展覧会をやっている。クリムト展、大哺乳展2、だ。一日に両方を見ることができる。

 ──

 行ってみたので、感想などを記そう。

 クリムト展


 東京都美術館でやっている。
  → 【公式】クリムト展 ウィーンと日本1900

 まあ、予想したとおりである。美術史のなかでも得意な位置を占めるクリムト。ちょっと前のムンクに似ている位置づけだ。正統派の超大物ではなくて、異端で傑出している。
 名前は知っているし、絵もずっと前から知っているが、実物は見たことがなかったので、実物を見て、美術史的な観点から「とうとう実物を見たぞ」という満足感を得る……という感じだ。
 もちろん、欧州にまで出かけて美術館めぐりをするのに比べれば、時間も金も大幅に節約できる。お得感はある。
 満足感も、それなりにある。2流や1流半の画家の作品を見たときに失望感とは違って、「ちゃんと充実した時間を送れた」という実感はある。
 とはいえ、「天才の傑作に触れた」という感動はない。その点では、去年の「ビュールレ・コレクション」には遠く及ばない。あそこでは「天才の傑作に触れた」という感動があったからだ。
  → 四月の美術展(東京): Open ブログ(2018年04月27日)
 しかしまあ、あれは特別中の特別だった。生涯でも滅多にないような、超レベルの美術展だった。そういうのと比較しては仕方ない。
 クリムト展は、普通に満足できるレベルだった。今後はもう二度と見ることはできないのだな、と思うと、ちょっと残念な気もするが、あまり残念でもないかな。

 ※ クリムト展は混雑していました。絵画に近づいてみることはできなかった。目の前に並んでいる人たちの肩越しに見るだけだった。ま、ときどき割り込んで、2秒間ぐらいだけ、そばで見たけれど、そばでじっくり見るだけの余裕はまったくなかった。(せっかく平日に行ったのに。)(混雑を避けるには、なるべく朝のころに行くのがよさそうだ。天気も雨の日を選んだ方がよさそうだ。)

 ※ なお、絵はがきを購入しなくても大丈夫。出口のあたりと、美術館の出口の手前あたりで、美術展の宣伝チラシを配布している。そこにクリムトの絵画の印刷があるので、無料で入手できる。





 大哺乳類展2


 国立科学博物館でやっている。
  → 特別展 大哺乳類展2 | 国立科学博物館

 これは予想外の大ヒットだった。そこそこ期待して行ったのだが、期待していた以上にすばらしかった。
 基本的には、骨格と剥製が展示されているだけなのだが、これまでに動物園では見たことのない動物がいっぱいあって、圧倒された。たとえば、オカピ。また、量があまりにも多すぎて、見切れないぐらい豊富だ。お得感がある。
 知らない情報もいっぱい教えてもらえた。私は動物のことにはけっこう詳しいと思っていたのだが、まったく知らない情報をいろいろと教えてもらえた。
 最後のあたりでは、哺乳類の陰茎と子宮には何種類もあって、それぞれまったく異なるというのを知って、唖然とした。世界は広いね。妙齢の女性が各種の陰茎の標本をじっと見ているのも良い。マッチ棒みたいに小さいのやら、すごくでかいのやら。また、「一瞬だけ挿し込んで、それで完了」というのがあるというのも、「へえ」と思った。

 標本の数がたくさんある割には会場は狭くて、標本が見にくいことも多かった。(近づいて見ることができないので。)
 それがちょっと不満だったのだが、会場を出たあとで、すごいのが待っていた。常設展である。これもついでに見られる(別料金は不要)。
 特に、地球館というのがすごい。4つのフロアを使って、広大な面積で、剥製や骨格を示している。動物園でざっと見た動物が多かったが、間近で見ると、迫力が全然違う。
 熊はデカさに圧倒された。「こいつには絶対に勝てないな」と思った。
 草食動物も、巨体の動物が多いので、ちょっと驚いた。
 一方で、チーターはかなり小さめなので、意外だった。普通の犬ぐらいの大きさしかない。これだったら、まともに戦っても勝てるかも、と感じた。
 最後のあたりには(目立たない部屋で)恐竜の骨格もあった。すごい。
 ともあれ、分量がやたらとたくさんある。しかも、常設展なので、人があまりいなくて、(平日なら)ガラガラだ。のんびりとゆっくり見られる。分量も多いので、全部見るのにかなりの時間がかかる。本気で見ていったら、1日がつぶれそうだ。
 コスパはすごくいいですね。有休を取って平日を1日つぶして楽しみたい、という向きには、最高だ。
( ※ 休日は混雑しそうだ。というか、大哺乳類展の方は、平日でもけっこう混んでいる。)

 あ。そうそう。常設展では、途中の部屋で、360度ルームというのがあった。全方向型の映画。プラネタリウムに映像を投じる感じ。これがすごい。ティラノサウルスが他の恐竜に噛みつくというのを、至近距離で見ることができるが、2D映画ではなくて、全周全天なので、迫力がものすごい。まさにその場にいる、という感じだ。(ちょっと万博みたいだ。)
 これも無料。(別料金なし)
 すごくお薦めできる。
 (なお、ドーム型なので、中心点に立つのが最も有利である。私はそうした。)







 [ 余談 ]
 書き落としたが、国立科学博物館の常設展の「地球館」では、進化のフロアが興味深かった。特に、人類の頭骨の標本が興味深かった。人類の頭骨というのは、本サイトでも何度か記してきたが、その実物を見る機会を得た。

  ※ 以下はオマケ。

 進化のフロアでは、特に、旧人(ネアンデルタール人のこと)の頭骨が興味深かった。明らかに前後に細長い。また、眉骨の隆起は、旧人と新人とで異なるのだが、その中間的な事例もあって、これは「旧人から新人への移行過程にあるものらしい」というふうに説明が記してあった。
 しかし今日では、「ネアンデルタール人からホモ・サピエンスへの進化」という説は否定されている。とすれば、上の事例は何か? 
 たぶん、早期ホモサピエンスのものだと思えるが、それだと、時期的にちょっと遅すぎる。早期ホモサピエンスなら 50万年前ぐらいだが、上の事例は確か 20万年前ぐらいであったと思う。(うろ覚え)……となると、時期的に矛盾する。
 とすると、早期ホモサピエンスの末裔がかなり長く存続したのだろうか? どうもよくわからない。
 現代の進化論学者なら、「ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが混血したことの証拠だ」と言い張るかもしれないが、それはちょっとご都合主義っぽくて、信頼しがたい。



 [ 付記 ]
 国立科学博物館は、私は子供のころに何度も行ったものだ。そのときは、物理・天文の分野が充実していて、モデル的な装置がたくさん置いてあった。漏斗みたいな凹面にボールをグルグルとラセン型に落としたり、(原始的な)ロボットを動かしたり。……理系の少年にはとても楽しめる内容だった。
 今回は、そういうのを見なかったので、変だな、と思ったが、地下3階にそういうものがあるらしい。(私は時間がなくて行かなかったので、見落としたようだ。)
 なお、過去の展示については、Wikipedia に解説がある。
  → 国立科学博物館 - Wikipedia


posted by 管理人 at 09:00 | Comment(5) | 一般(雑学)5 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に [ 余談 ] を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2019年06月02日 11:15
科博は、何度行っても面白いです。
常設展も、何度見ても飽きません。
丸一日どころか、一週間通いつめても平気だと思います。

360度ルームは、愛地球博で展示されていたものを移設して、上映プログラムは逐次更新しているようです。

東京近郊に居るということは、それだけでアドバンテージなのだろうと思いますが、無関心な方も多くってモッタイナイなぁと。
Posted by けろ at 2019年06月03日 09:26
オカピって、上野動物園にいたような?
Posted by かーくん at 2019年06月03日 12:44
 大哺乳展のそれぞれの剥製には「上野公園で見られるものには   ◯  というマークが付いていて、オカピは  ◯  がありませんでした。空欄。つまり、上野動物園にはいない。

 今ググってみたら、先日、亡くなったばかり。

 2001年に上野動物園に来たそうだが、私が上野動物園に行ったのはそれ以前だった。
Posted by 管理人 at 2019年06月03日 12:59
そうか、あいつなくなったのか
半年前に私が行った時は普通に立ってたのに、命の儚さよ
Posted by かーくん at 2019年06月03日 20:16
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ