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地層に「チバニアン」という名称を国際的に登録しようとしたら、国内で妨害者が出ているという。
新たな地質時代「チバニアン」命名に向け、研究グループが進めていた国際機関への申請ができない事態になっている。反対する男性が、地層がある千葉県市原市の土地の賃借権をとり、申請に必須な「自由な立ち入りの証明」ができないためだ。期限の9月までに提出できないと、国際機関の委員会は審査ができないまま解散、認定の機会を失う。研究グループは「このままでは断念せざるを得ない。二度目のチャンスはない」と危機感を抱いている。
各国の研究者が、試料採取など研究活動ができる場所であることを証明しなければならないため、市原市は、公有地化と国の天然記念物指定に乗り出した。
ところが、ほどなく所有者は、申請に反対する「古関東深海盆ジオパーク推進協議会」の楡井(にれい)久会長に窓口になってもらうとして市との交渉に応じなくなった。7月には楡井氏が10年間の賃借権をとり、拒めば土地に入れない。楡井氏は市からの連絡に応じていない。担当の市原市ふるさと文化課は「当惑している」と話している。
( → チバニアンがピンチ 反対者が土地押さえ、申請に待った:朝日新聞 、全文記事リンク )
土地の賃借権をとって、土地を専有することで、実力行使しているわけだ。私権を盾に、公的な利益を制限しよう、というわけだ。
いかにもいやがらせふうである。これを批判する人も多い。
→ はてなブックマーク
しかしなぜ、こんなことをしようとするのか? あまりにも度を超しているように思える。ここには謎がある。
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そこで、謎を解消するために、調べてみた。
まず、上記記事には、次の文言がある。
楡井氏は茨城大名誉教授。地元の地質に詳しく、かつて研究グループのメンバーでもあった。しかし、15年に海外の研究者らが訪れた際、磁場の向きを説明する杭の位置がずれていたことなどをあげ、現在は申請の資料を「捏造(ねつぞう)・改ざん」と主張し、GSSP審査の関係者へ文書を送るなどしている。
過去には、次の記事もある。これもまた妨害工作。
地質学上の時代区分に「チバニアン」の名が刻まれる可能性があることで注目を浴びる千葉県市原市田淵の地層。その斜面に、地質学者らでつくる研究団体がコンクリートブロックの階段を整備した。
整備したのは地質学者らでつくる研究団体「古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会」(香取市)で、地層について解説する看板もいくつか設置した。「チバニアン」を国際学会に申請した研究チームとは別の団体で、この地層について長年、研究活動を続けてきたという。
一方、市の担当者は「天然記念物の指定後に、見学者への環境整備をしたいと考えている。だが、先行されてしまっては何もできない」と戸惑いを隠さない。
( → 「チバニアン」斜面に見学用コンクリ階段 市は困惑:朝日新聞 )
以上のことから、次のことがわかる。
・ 主導しているのは、楡井久・茨城大学名誉教授。
・ 自分たちは善意でやっている、と釈明する。
・ 自分たちのやっていることは正しい、と自己正当化する。
・ 是非を議論するのでなく、実力行使で阻止する。
・ 実力行使のために、かなりの金を投入する。(階段・賃借料)
これは、一見すると学術論争のように見えるが、
「是非を議論するのでなく、実力行使で阻止する」
という点からして、テロ同然の妨害活動である、とわかる。つまり、はてなブックマークでコメントした多くの人々が直感しているとおりだ。
ではなぜ、この人はこれほどにも妨害活動をするのか?
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ネットで情報を探すと、次のページが見つかった。
→ 古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会がヤバい?
→ チバニアン 続報 ( その他自然科学 ) - 瀬又科学研究所 - Yahoo!ブログ
→ チバニアンは見苦しすぎる内輪もめで落選確定か?
本人は「ドーピングだ」と主張しているようだが、これは理屈としておかしい。
毎日新聞の記事によると、「過去にドーピングをしたスポーツ選手が追放されるのと同じだ。チバニアンは諦めた方がいい」と主張したとのことである。
全く別次元のスポーツ選手のドーピング問題を持ち出して反対しているようだが、かなり苦しい主張である。
研究はある仮定を立てて、調査や実験を重ねたうえで正しい結論を出せば良いわけで、最終的なデータや結論に瑕疵やねつ造がなければ問題ない。
( → 奇々怪々、チバニアン騒動 )
ごもっとも。理屈にもならない理屈を持ち出す(そして実力行使する)のだから、これはもう、学術論争とは違うレベルにあるとわかる。
では、何が真相なのか? 上記のリンクを見ると、次の話が見つかる。
「楡井久教授は、もともとは自分がこの地層を取り上げて、チバシアンという名称をつけようとしていた」
→ 古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会がヤバい?
特に、2015年には久米宏のラジオ番組に出て、その方向で活動していたそうだ。この時点では、2015年に名古屋で開かれる国際会議で「内定」が出されることになっている、と述べているそうだ。
→ チバニアン 続報 ( その他自然科学 )
→ 久米宏 ラジオなんですけど 過去ログ(2015年07月18日 ゲスト:楡井久さん(地質学者))
ところが、その目論見は外れた。楡井久教授の主導で「チバシアン」という名称で登録されるはずだったのだが、別の人の主導で別の場所(少しずれた場所)が「チバニアン」という名称で登録されることになった。これではまるで、手柄を横取りされるようなものだ。(トンビに油揚げをさらわれるようなもの?)
なるほど。こうなると、怒り心頭に発する、となるのも当然か。自分が王様になれるつもりでいたら、別人が横取りふうにして王様になってしまったのだから。こうなると、徹底的に妨害したくなるのも、人情というものだ。
つまり、データが不整備だとか何とかは、まったくの後付けの理屈だ。「自分の提案が支持されず、他人の提案が受け入れられて、手柄を横取りされた」というのが気に食わないわけだ。
で、自分が勝てないのは今さら仕方ないが、他人(ライバル)が勝つのだけは絶対に阻止してやれ、というわけだ。
ここまで見れば、どういうことか、事情が判明する。これは決して、学術論争なんかではなくて、個人の私憤なのである。だからこそ、馬鹿げたイヤガラセみたいなことに、自分の人生のすべてをかけようとしているのだ。
[ 付記1 ]
両者の場所の違いは、次のように説明されている。
今話題になっているチバニアンは
千葉県市原市田淵の地層です。
楡井久氏の研究していたのは
千葉県市原市の養老川沿いで
場所的にはかぶります。
( → 古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会がヤバい? )
地図では、下記が示されている。(公式の方)
[ 付記2 ]
問題を解決するには、どうすればいいか? 「強圧的に押しつぶす」というよりは、「うまいアイデア」を期待する人が多いだろうから、そういうアイデアを出そう。
「この反対者の努力を認めて、顕彰して、提案者の一人として氏名を掲載する。階段設置については、協力者と見なす。土地の賃貸料についても、公共目的の先行確保と見なして、賃貸の資金提供に感謝する」
要するに、敵と見なして対決するかわりに、内部に取り込んでしまえばいいのだ。win-win になればいいのだ。「北風と太陽」に準じた、優しい方策だ。
[ 付記3 ]
問題の解決策はわかったが、それが実現可能かというと、そいつはまた別問題だ。
この解決策は世間では「和解」と言われる方法だ。経済的な紛争ではしばしば取られる解決策なので、珍しくもない。
ただし、理系の研究者にとっては、こういうことは珍しいことだし、不得手なことである。やれと言われても、まず無理だろう。実現不可能。その理由は、コミュ障だから。
したがって、「和解」を実現するには、交渉に慣れた人に任せるしかない。つまり、弁護士に依頼にするしかない。弁護士に依頼して、上述の方向で「和解」をめざせば、解決は可能だろう。
とはいえ、研究者は、そもそも「弁護士に依頼する」という発想がない。コミュ障であるだけでなく、自分がコミュ障であるということを認識できていない。だから問題がこじれる一方だ。
この問題が解決できないまま終わってしまうとしたら、研究者があまりにも世知が無いせいだ、と思うといいだろう。たぶん、(はてなーみたいな)理系の専門バカだらけだから、こういうことになる。
【 関連項目 】
余談ふうだが、この高齢者に似た例は、他にもある。
馬毛島の買収を徹底的に妨害しようとしている老人だ。
→ 馬毛島の買収の問題 : nando ブログ
https://macroscope.hatenablog.com/entry/20171119/1511090744
チバニアンという言葉は、語源を考慮するとおかしい、という話。
私も疑問に思っていたが、詳しく調べた人がいるので、紹介する。
ただし、(現実とちがう仮定ですが、もし)わたしが提案するのならば、「千葉」でなく「ふさのくに」にちなむものにしたかったと思っています。
また、わたしのブログのひとつまえの記事にかいたように、時代のかわりめの時点の模式地を、その時点からはじまる時期のなまえにするという学会の慣例についてならば、いささか「おかしい」と感じることはあります。それを否定すると千葉にちなむのは時点だけになって時期の名まえにならないはずですが。
「チバニアンという言葉は、語源を考慮するとおかしい」と書いています。
・ 提案ではなく、言葉について。
・ 語源を考慮した場合について。
の話です。お間違えなく。
なお、別の名前にするといいとは言っていません。「別の名前にしたくても、別の名前としてうまい名前は思い浮かばない」というのが、そちらの記事の趣旨でしょう。読めばわかるとおり。それを短く「おかしい」という1語で簡略表示しているだけ。
大事なのは、リンクを記したことだけです。
BBSには
「申請チームが地主に無断で地層の採取をした。怒った地主が古くから周辺を調査していた旧知の楡井氏に相談して、今の状態になった」とも書かれています。
マスコミが手柄云々に固執して、申請チームにこの疑惑について質問しないのが不思議ですね。
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1559887143/l50
まあ、頑固な地主が「無断で採取された」と怒るのは、わからなくもない。
しかし、楡井氏の方がチバニアンを妨害するのは、それでは説明できない。普通なら、「地主と調査チームの仲を取り持つ」というふうにするはずだ。あえて火をくべて大火事にする理由にはならない。
楡井氏の側に個人的な恨みが積もっていたとしか思えない。さもなくば、(全国民を敵にしてまで)こんなに攻撃的な行動に踏み切るわけがない。
https://www.megabe-0.com/archives/11921.html
たいした情報があるわけではないが、文科省が勘違いして、無為無策である、ということがわかる。せめて文科省が正しく対処できれば良かったのだが。
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そう言えば、地質学などの関連学会も何もしていないし。
また、当事者(被害者?)の人々も、攻勢を受けて、「唖然としている」と語るだけで、何も対処できないでいる。当事者能力をなくしている。
攻撃する側は気違いみたいに攻撃してくるし、けっこう有能なのだが、攻撃を受ける側は、無能な人々ばかりで、まったくの無為無策だ。
せめて、本項の[ 付記 ] に示したような対処ができれば解決できるのだろうが、そういう解決能力もない。ひどいものだ。
他にも、第4紀学会の現地討論会で虚偽の説明をしたり、マスコミに虚偽の情報をリークしたりでもうめちゃくちゃ。
一旦、仕切り直しが一番。
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「千葉時代」を意味する「チバニアン」として、地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」への登録を目指している千葉県市原市の地層をめぐり、申請に反対する研究者が土地の賃借権を得ている問題で、市は研究のための立ち入りを正当な理由なく妨げてはならないことを定める条例を制定し、登録が進むよう取り組むことになりました。
条例制定を目指す考えを示しました。
立ち入りを妨げた場合、5万円以下の過料を科すという罰則規定も定める方針です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190624/k10011967091000.html
> 「チバニアン」国際学会の第3段階審査を通過 最終審査へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191129/k10012196521000.html
https://www.sankei.com/life/news/191129/lif1911290058-n1.html
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参考:
http://openblog.seesaa.net/article/465950302.html
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3882312.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200117/k10012249251000.html
酸素同位体比のデータに捏造が
古地磁気データには都合の悪いデータを排除した
改竄の痕跡がありますね。
これがチバニアンに疑義を唱えた根拠なのではないでしょうか?
Suganuma et al.(2018)のグラフに
捏造と改竄と思しき点があるな。
Okada et al.(2017)の目立ったデータを変えちゃったり、Suganuma et al.(2015)には無いデータを「引用した」としているし。
ジオパーク認証推進協議会もこれに気づいたから問題視したんじゃない?