米国は対中制裁として、米国企業の対中輸出を制限している。一種の貿易制限だ。これは正当か?
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米国は対中制裁として、米国企業の対中輸出を制限している。
→ 米、ファーウェイへの部品輸出規制発表 米中対立激化も:朝日新聞
→ トランプ政権、中国により強力な武器検討か−AI技術も輸出規制対象
→ 米政府によるファーウェイ輸出規制のまとめ - INTERNET Watch
すでに Google のサービス制限などがなされている。そのせいで中国側にはいろいろと被害が生じているようだ。
→ コラム:グーグル依存の中国スマホ、無料技術に払う高い代償 - ロイター
では、このようなことは正当だろうか? 輸出制限というのは、一種の貿易制限であり、自由貿易には反する。とすれば、「自由貿易こそ望ましい」という立場からすると、米国の方針は正当ではないように思えるが。どうなのだろう?
これは一種の謎だ。(問題・課題と言ってもいい。)
そこで、「謎解きをしたい」という立場から、この問題に解答を与えよう。
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私の見解を言えば、以下の通り。──
米国のやっていることは、もちろん正当ではない。しかしながら、米国に輪をかけて、中国は自由貿易を制限しているのだ。
実際、Google のサービスは、原則として、中国内ではどれも使えない。Gmail も、 Google Maps も、Google Drive も、原則として使えない。(ただし、最近では使えることもあるらしい。日本人旅行者が使った場合だが。各記事を参照。)
→ 中国 Gmail - Google 検索
→ 中国 Google Maps - Google 検索
→ 中国 Google Drive - Google 検索
さらには、LINE や twitter も(原則的には)使えないそうだ。
→ 中国 LINE - Google 検索
→ 中国 twitter - Google 検索
これらは「原則的には使えない」ということなので、工夫すれば何とか(抜け道経由で)使える手もあるようだ。とはいえ、普通の中国人が普通に使う手段は解放されていないようだ。
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以上の事実をまとめれば、こうなる。
米国が輸出制限をする前に、そもそも中国自身が輸入制限をしている。だったら中国が「自由貿易を制限するな」と主張する資格はない。
これを比喩的に言えば、泥棒が他人に「泥棒をするな」と文句を言う資格はない、ということだ。自分が普段から泥棒をしていく背に、いざ自分が泥棒に入られたら、とたんに「泥棒はけしからん」というなんて、ご都合主義も甚だしい。そんな理屈は認められない。
中国も同様だ。自分の側が普段から自由貿易を大規模に制限しているくせに、相手の側に自由貿易を要求するのは手前勝手すぎる。
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結論。
この問題は、「何が正しいか」という問題ではない。「悪党には自分勝手な権利は認められない」ということだ。普段から悪の限りを尽くしているくせに、いざ自分が悪の被害を受けるようになったとたん、「悪はけしからん」と主張するなんて、ちゃんちゃらおかしい。そんなことを主張する前に、まずは自分が悪を正すのが先決だろう。
そういう問題だ。
( ※ 「悪人にも権利はある」という人権主義的な立場もありそうだが、中国は国家なので、国家に人権なんてものはない。悪があるだけだ。)
【 関連サイト 】
→ 規制が厳しい中国で使えないサイト・使えるサービスをまとめました
→ 中国のグレート・ファイアウォール(金盾)とは
→ グレートファイアウォールとは!世界最高峰のセキュリティを誇る中国の壁
→ 金盾 - Wikipedia
【 関連項目 】
→ 米中貿易摩擦の解決案: Open ブログ
【 追記 】
書き落としていたことがある。こうだ。
「自分の側で輸入制限をしておいて、相手の側の輸出制限を咎めるのでは、筋が通らない」
つまり、自己矛盾だ、ということ。
なるほど、中国が輸入制限するもの(自由な情報ツール)と、米国が輸出制限するもの(高度技術品)とでは、制限するものの種類が異なる。だから、その違いに着目すれば、論理的な矛盾は発生していない。しかし、原理(自由貿易を認めるか否か)に関して言えば、中国は一方では「認めない」というふうにしているのだから、もう一方で「認めよ」というのでは筋が通らない。
だから、原理を見る限りは、中国には自己矛盾が発生している。つまり、「いいとこ取りの、つまみ食い」というご都合主義だ。
このような「自己矛盾」「ご都合主義」が暴露された、と言えるだろう。……本項では、そういうふうに、中国の立場の問題点を指摘できた。
2019年05月25日
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