2019年05月23日

◆ 日産・ルノーと仏政府

 日産・ルノーの関係に、仏政府が圧力をかけているが、日本政府は静観している。これでいいのか。

 ──

 仏政府は「統合しろ」と圧力をかけているが、日本政府は静観しているだけだ。つまり、日産を守ろうとしない。前にも報道されたが、また新たに報道された。

 ルメール仏経済・財務相は22日、パリで世耕弘成経済産業相と約40分間会談し、仏ルノーと日産自動車の提携について意見交換した。会談後、記者団の質問に「(両社の関係の)現状維持はありえない。それはお互いの力をそぐことになる。(ルノー会長の)スナール氏が、日産とともに提携強化の方法を検討しているところだ」と述べた。ルノーが先月、日産に経営統合を提案したことを支持する姿勢を示したものだ。
 世耕氏は会談後、記者団に対し、「両社が提携関係を維持・強化していくという共通の意思について、強力にサポートしていくことを再確認した」と説明したが、議論の内容は「詳細は申し上げない」と明かさなかった。提携関係の現状維持に否定的な考えを示したルメール氏との温度差もにじむ。
( → 世耕氏、仏経済相と会談 日産・ルノー提携関係で温度差:朝日新聞

 ここでは、話の内容に矛盾がある。
  ・ 仏側 …… 現状維持はありえない
  ・ 日本 …… 維持・強化していく


 前者は「維持はありえない」と言っているのに、後者は「維持」を是認している。明らかに矛盾がある。
 では、どちらが真実かと言えば、もちろん、本人の言っていることが正しい。つまり、仏側は「現状維持はありえない」という方針を示した。なのに、その話を日本側は公言しなかった。つまり、隠蔽しようとした。

 では、その意味は? こうだ。
 「フランス政府が口出しして、日本の企業経営に介入しようとしているのだが、日本政府はその犯罪的な行為を隠蔽して、日本企業の権利を守らなかった」

 そもそも、フランス政府のやっていることは、日本では違法行為だ。それは憲法の規定に反するからだ。というのは、日本の憲法は私有財産を認めていて、不可侵のものとしているからだ。
日本国憲法第29条 第1項
  財産権は、これを侵してはならない。

 この規定ゆえに、外国政府が日本企業の経営に介入することは違憲となる。(あるいは、外国政府が日本企業の経営に介入するのを日本政府が是認することは、違憲となる。)
 当然ながら、こういう出来事に出会ったならば、日本政府はそのような権利侵害を咎めねばならない。
 「フランス政府は、日本企業に介入してはならない。そのようなことは断固、認めない」

 こう言って、フランス政府の要求を突っぱねるべきだった。

 なのに、世耕・経産相は、そういうことをしなかった。外国政府の不当な圧力に屈して、事実を隠蔽して、日本企業に対する権利侵害を許容した。
 これはもう、ほとんど「売国奴」に近い。国を売ったわけではないが、国民を売ったも同然だ。
 ま、安倍首相というのは、もともと売国奴だし、自分の利益のためであれば、北方領土をロシアに無償でプレゼントするような輩だ。そうであれば、売国的な行為も不思議ではない。
 とはいえ、不思議ではなくとも、許容するわけには行かない。こんな安倍首相の方針を、強く批判するべきだ。

 ──

 とりあえずは、日本政府は次のように声明するべきだ。
 「フランス政府が日本企業に介入することは、認められない。ルノーと日産が統合するかどうかは、会社に任せるべきだ。また、フランス政府がルノーに口出しすることは構わないが、フランス政府が日産の経営に口出しすることは許容できない」

 その上で、次のように方針を打ち出すべきだ。
 「フランス政府がこれ以上、日産の経営に介入するようであれば、日本政府はルノーに対して、何らかの制裁措置を取る。たとえば、日産自動車に命令して、マイクラの委託生産を止めさせる。それによって、ルノーの工場の従業員が解雇されるようにする」

 そのための方法は簡単だ。こうすればいい。
 「日産自動車に命令して、ルノーの工場へマイクラの部品を輸出することを禁止する」
 つまり、部品を輸出禁止にすることで、ルノーへの委託生産をストップさせるわけだ。こうすれば、フランス政府は青ざめるだろう。ちょうど、(部品輸出を禁止されて生産中止に追い込まれた)ファーウェイを擁する中国のように。

 中国の独裁政権と、フランスの独裁的政権は、よく似ている。どちらも強権的だ。
 トランプはそれに対して、対抗措置を取った。ならば日本政府も、同じように、対抗措置を取るべきなのだ。

( ※ 安倍首相は、対米追従のポチだが、フランスには尻尾を振る必要がないはずだ。とはいえ、ポチよりもっと悪くて、誰にも反抗できないような、ただの無脳であるかもしれない。)
( ※ あるいは、自分は普段から違憲のことばかりやりたがっているから、他者の違憲のことにも口出ししないのかもしれない。法律破りの悪党同士でつるんでいる。)



 [ 付記 ]
 本項で述べた「マイクラの部品輸出を禁止する」というのが露骨であるのなら、もっと穏便な方法もある。こうだ。
 「仏政府が自国民の雇用を守るために、ルノー・日産に圧力をかけるのであれば、日本政府も自国民の雇用を守るために、日産に圧力をかける。マイクラの生産を、フランスから日本に移管するよう、日産に要請する。フランス政府が日産に圧力をかけ続ける限り、日本政府も日産に要請の形で圧力をかける」
 「フランス政府が『統合せよ』と圧力をかけるのであれば、逆に、日本政府は『統合するな・独立性を高めよ』と圧力をかける」

 つまり、毒を以て毒を制す。

 ※ 似た趣旨の話は、前に述べた。
   → 経産省は日産を守れ: Open ブログ
   → 外交では反撃せよ: Open ブログ



 【 関連動画 】




posted by 管理人 at 21:04 | Comment(0) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
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