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米中貿易摩擦が世界経済に悪影響をもたらしている。あちこちで景気悪化という問題が生じている。しかも、さらに拡大しそうだ。
日本では、こうだ。
財務省が22日発表した4月の貿易統計(速報値、通関ベース)は、輸出額が前年同月より 2.4%減の 6兆6588億円で、5カ月連続で前年水準を下回った。米中貿易摩擦などの影響を受けて減速が続く中国向けを中心に、外需の落ち込みが鮮明となっている。
輸出では特に半導体等製造装置の落ち込みが激しく、前年より 15.1%減少した。中国向けの液晶製造用装置が減ったのが主な要因という。。
中国向けの輸出額全体は同6.3%減の1兆2329億円。半導体などの電子部品も大幅に減り、中国で製造業の生産が低調なことが映し出された。
( → 輸出額5カ月連続前年割れ 米中摩擦で外需落ち込み鮮明:朝日新聞 )
いろいろと、困ったことになっている。しかし、困っているからといって、「対中制裁をやめろ」ということにはならない。(現状維持の)制裁継続も大変だし、やめるのも大変だ。どっちも困る。
では、どうすればいい?
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さて。とりあえずは過去を振り返ってみよう。
私はこれまで、何を言っていたか? それは、nando ブログの過去記事を検索すればわかる。
実は、トランプが対中制裁を発動する前から、私は「対中制裁をしろ。課徴金をかけよ」というふうに主張していた。トランプばりに。
→ 中国 制裁|課徴金 - Google 検索
→ 中国 貿易黒字 制裁|課徴金 - Google 検索
私の主張は、トランプの方針と似ている。だが、違う点もある。
・ 制裁の理由は、「大幅な貿易黒字」と「民主的でないこと」だ。
・ 制裁の参加国は、西側諸国全部だ。(日欧を含む)
とすれば、トランプの方針を改めて、私の方針を採用するには、(共通部分を除いて)次の二点を追加すればいい。
・ 制裁の理由に、「民主的でないこと」を加える。
・ 制裁の参加国に、日欧を含める。(カナダや豪州も)
こういうふうにすれば、西側諸国が結束して、対中制裁をかけることになる。中国は、「米国がダメなら他国があるさ」というふうにはならず、世界経済の大部分から締め出される。(残るのはロシアと途上国だけだ。)
かくて、中国は否応なしに屈服するしかない。これまでの「世界最大の強国だ」という唯我独尊ぶりを改めて、「世界と協調する」という路線を取るしかなくなる。それも、否応なしに。
かくて、問題は一挙に解決する。米国と中国が長々と紛争を続けることもなく、あっさりと問題は解決する。「中国の一方的な屈服」という形で。
[ 補足 ]
この件を俯瞰的に考えよう。
紛争を解決するというと、たいていの人は、
「双方が譲り合って、妥協すればいい」
と思いがちだ。しかし、そうとは限らないのだ。どちらか一方だけが屈服するような形も、それなりに正しいこともあるのだ。……ちょっと発想の盲点だが。
このことに、人々は気づきにくい。たとえば、朝日新聞は、次のように論じた。
米国も中国も、相手に要求を突きつける前に、まずは自国の振る舞いを省みてほしい。合意への障害を、それぞれが取り除いていかねばならない。
米国は、一方的な制裁措置を慎むべきだ。
( → (社説):朝日新聞 )
しかし、こういう「喧嘩両成敗」みたいな方針では、真の解決にはならないこともあるのだ。
( ※ 中国みたいな一方的な「悪の帝国」に対しては、世界各国が協調して対抗することで、強大な「悪の帝国」を屈服させることができる。今回は、そういう例外的なケースなのだ。ここでは、「喧嘩両成敗」や「三方一両損」みたいな、一見公平に見える解決策は、かえって無効なのである。)
[ 付記 ]
解決の方法はすでに示した。
これで解決はできるが、実現性は不明である。これを実行するには、中国に対抗するだけの肝っ玉が必要だからだ。
他国を見ては、尻尾を振ってへいこらするだけ、という(ポチみたいな)某国の首相には、まず無理だろう。
正しいことがわかるのと、正しいことを実行するのとは、別のことなのである。
【 関連項目 】
前に別項でも論じたことがある。(別の観点から)
→ 米中貿易摩擦の本質: Open ブログ