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米国が(日本や欧州について)自動車の輸出規制をしそうだと報道されたあとで、輸出規制はしないと報道された。
→ 日本車、対米輸出制限の恐れ 高関税延期と引き換え 米報道:朝日新聞
→ 米政権、通商戦線を縮小 関税停止・延期、世論に配慮:朝日新聞
これで日本政府は一安心しているようだ。しかし、記事を読めばわかるように、輸出規制を「やめた」のではなく、「延期」しただけだ。朝日の記事ではこうだ。
日欧に対する輸入車への追加関税の発動判断の延期と、カナダとメキシコへの鉄鋼・アルミ関税の停止を相次いで発表した。
Bloomberg の記事ではこうだ。
トランプ米政権は日本と欧州連合(EU)からの自動車・同部品輸入に関し、関税賦課を遅らせる代わりに対米輸出を「制限ないし規制」することに応じるよう日本とEUに求めて180日間の猶予を与える案を検討している。ブルームバーグが閲覧した大統領令の草案で明らかとなった。
大統領は関税についての判断を最大半年先送りする見通し。
( → 米国案、日EUに180日の猶予−自動車輸出「制限・規制」要求も - Bloomberg )
半年間、延期しただけなのだから、半年後には、問題は再燃する。そのとき、どうするか?
朝日の記事によると、メキシコとカナダはこうした。
トランプ米政権は17日、カナダ、メキシコとの間で、安全保障を理由とした鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税措置を停止することで合意した。カナダ、メキシコも、米農産物などにかけてきた報復関税を取りやめることで合意した。
トランプ大統領は17日の演説で、「カナダとメキシコとの間で合意した。関税をかけられずに米国から輸出できるようになる」と述べた。米通商代表部(USTR)は、「報復関税を受けてきた米農家にとってすばらしいニュースだ」とする声明を出した。
( → 米、カナダとメキシコへの追加関税を停止 鉄鋼・アルミ:朝日新聞 )
メキシコとカナダは、米国農産物に報復関税をしていた。それを取りやめることで、自国の工業製品への関税を停止させた。そういう取引をした。
ここでは、「米国農産物に報復関税をしていた」ということが重要だ。ならば、日本もまた、将来の車輸出規制に備えて、報復関税を準備しておくことが必要だ。
「そんなことは当り前だろ」
と思うかもしれない。だが、日本がこれまで報復関税をかけたことはいっぺんもないはずだ。特に、米国に向けて報復関税をかけたことはいっぺんもない。(私の記憶に間違いがなければ。)
日本がこれまで取ってきた政策は、「 WTO への提訴」だけであって、報復関税をかけた例はないのだ。(たとえば、福島の海産物に対する輸入制限をした韓国などに対して、報復関税をかけたことはない。)
だから、今回は、これまでの政策方針を一大転換して、「不条理な輸入制限に対しては、報復措置を取る」(報復関税をかける)というふうにするべきなのだ。
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では、具体的にはどんな? 最も有効なのは、
「米国農産物への課税」
であろう。米国農産物は、(中国の報復関税のせいで)中国への輸出が困難になっている。そこにダブルパンチの形で、日本からも報復関税をかけられたら、手ひどい痛手になるだろう。だから今のうちに、報復としての「米国農産物への課税」をチラチラと見せつけておけばいいのだ。とりあえずは、いつでも発動できるように、法律だけでも立法化しておくといい。(相手国を明示しない形で、一方的な制裁には報復関税をするぞ、という制度を用意しておく。)
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もうひとつオマケで言えば、「米国の兵器の輸入の取りやめ」もちらつかせておくといい。現状では、次の二点だ。
(1) オスプレイは、導入計画があるが、一括大量購入の契約の予定を停止したあとで、現状では未定である。このまま購入の停止という状態を続けることを表明する。
(2) F-35 は、105機購入することを閣議決定した。
→ 空母向け含むF35を105機購入へ その裏側に苦渋の決断
だが、その後の続報がないようなので、正式契約はどうやらなされていないようだ。ならば、このまま「契約は未定」にしておくといいだろう。で、「車の輸出規制」がなされたときに、「 F-35 の 105機購入という決定を白紙にする」(購入停止)を公式表明するといいだろう。
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さらには、もっとイヤガラセをしてもいい。たとえば、ANA のボーイング導入を断念させる。(ボーイングの売上げを減らす。)
というのは、ANA がもともとボーイング導入の予定があるからだ。
大型フレイター・ボーイング777F型機を新たに導入し、……
また、ボーイング787型機シリーズの最新モデルであるボーイング787-10型機を東南アジア路線に投入……
( → 2019年度 ANAグループ航空輸送事業計画を策定|プレスリリース|ANAグループ企業情報:2019年1月23日 )
「そんなことは無理だろ」と思うかもしれないが、ANA はもともとエアバスを導入している。同じページには、こうある。
日本初となるエアバスA380型機をハワイ路線に投入……
別記事には、こうある。
ANAはエアバス機の中でも最大サイズのA380を3機購入。19年5月から順次ハワイ路線に就航する。
( → ANA対JAL「機材」の攻防、両社が相次ぎエアバス機を導入する事情 | ダイヤモンド )
JAL に至ってはもっと甚だしい。同じ記事には、こうある。
JALは主力機であるボーイング777機の後継機として、エアバスA350機(300席強)を導入し、19年夏ごろから国内主要路線に、その後、五輪を経て国際主要路線に置き換えていく。
ボーイングは、機体の製造を日本の会社に委ねるなどで、日本国内のシェアを高めているつもりだったが、いつのまにかてエアバスに牙城を切り崩されているのである。この状況をもっと後押しするように政府が推進すれば、ボーイングは大打撃となる。特に、先日の墜落事故のせいで生産が停滞しているので、状況はいっそう深刻となるはずだ。
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ともあれ、こういうふうにあれこれと報復措置をちらつかせておくといい。そうしてこそ米国とまともに交渉できる。
トランプ大統領は「ディール」という言葉が好きで、首脳同士の対談をゲームのように見なして、「ポーカーで勝つ」というようなことをしたがっている。そのために、脅し・ブラフなどの戦略を使いたがる。
こういうときに、安倍首相が「おもねる」というようなハト路線ばかりを取れば、「ハトがタカに一方的に食い物にされる」というふうになりかねない。
シッポを振ることしか能がないポチは、国同士の交渉には向かないのである。無能なワンちゃんは、さっさと退陣する方が国のためだ。それができないのであれば、せめて交渉は他人に任せる方がいい。シッポを振ることしか能がないポチは、交渉の場では有害無益だからだ。どうせなら、犬小屋に引きこもっていてほしいものだ。
ポチのいえ
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できるわけないでしょ。ポチなのに(笑)
ついでに言うと、韓国にもできないですよ。
実は安倍は韓国と仲良しだったりするらしいので。ネトウヨは認めたくないようですが(笑)
1) 保護主義に対し保護主義で対抗する事は、世界大恐慌後に世界各国が保護主義を採用した第二次世界大戦前の状況を再現することになりかねない。
2)トランプ大統領が延期を言い出す前ならともかく、言った後に報告関税を言い出した場合、日本は米国を交渉相手と認めないというメッセージに受け取られかねない。
日本はTPPや日欧EPAなど世界各国との自由貿易協定をもって、米国の保護主義に対抗すべきだろう。隠し玉として水面下で中国と交渉を進めるのもいい。
いずれにせよ日本政府がすでに進めていることであり、それがポチにしか見えないというなら、それはあなたの目が節穴なのでしょう。
日本だけが報復関税を実施しないのなら、日本だけが制裁を受ける。他の国は(報復関税の廃止と引き替えに)制裁を解除されるのに、日本だけがいつまでも制裁を受け続ける。
世界不況の心配をするなら、日本が報復関税をやろうがやるまいが、どっちにしてもほとんど影響しない。日本一国の方針だけで世界不況を起こすことはできない。
> 日本はTPPや日欧EPAなど世界各国との自由貿易協定をもって、米国の保護主義に対抗すべきだろう。
そんなことはとっくにやっている。その結果が、「米国からの一方的な制裁」です。
夢ばかり見ていたって、現状は何も改善しないんです。悪化するだけ。
そもそも、あなたは自分が経済的に正論を言っているつもりなのが間違い。経済的な正論は、こちら。
→ http://nando.seesaa.net/article/446339009.html
あなたが列挙している他国は自国の軍隊を持ち、かつその多くが核武装しています。
一方で日本は国防を米国に依存しており、憲法上軍隊を持っておらず、核武装もしていません。
しかもまわりはロシア、中国、北朝鮮と核武装した独裁国家だらけ。
米国と争うリスクに関して、他国と日本を同一視することがそもそもおかしいのです。
> そんなことはとっくにやっている。その結果が、「米国からの一方的な制裁」です。
> 夢ばかり見ていたって、現状は何も改善しないんです。悪化するだけ。
原因と結果が逆です。その結果が今回の「制裁の延期」です。実際、草案にあった数量枠などの厳しい表現は公式表明から削除されています。
> そもそも、あなたは自分が経済的に正論を言っているつもりなのが間違い。経済的な正論は、こちら。
あなたの言っていることは亡国政策です。米国に見捨てられ、今にも侵略されようとしている隣国の現状が見えませんか。