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5%引きといっても、現金値引きするわけではなく、ポイント還元するだけ。しかも対象は、専用のカード( nanaco、ポンタ)を使った人だけ。現金払いやクレカ払いは対象外。それでも「これで食費ロス対策になります」とセブンイレブンやローソンは自慢する。朝日新聞もそれを鵜呑みにして報道する。まるで提灯持ちのように。
《 食品ロス削減、社会の声でコンビニ本腰 》
まだ食べられるのに捨てられる食品ロスを減らそうと、コンビニ各社が取り組みを始める。定価販売へのこだわりを緩め、消費期限が迫った弁当やおにぎりを実質的に値引く。
(ローソンは)これらの商品を午後4時以降に買ってくれた「Ponta(ポンタ)」か「dポイント」の会員に、100円ごとに5円分をポイントとして還元する。還元分は本部が負担するほか、対象商品の売り上げの5%を子どもの支援団体に寄付する。
全国の約1万5千店から出る食品ロスは年4.4万トン。売り上げに対する廃棄費用の割合を、2030年までに半分にすることをめざす。
セブン―イレブン・ジャパンも、ポイント還元を、この秋から全国約2万店で始める。弁当など約500品目について消費期限まで4〜5時間を切った時点でセブンの電子マネー「nanaco(ナナコ)」で買ってくれた客に、定価の5%ほどを還元する方向だ。
( → 朝日新聞 )
「売り上げに対する廃棄費用の割合を、2030年までに半分にすることをめざす」
なんて言っているが、本気だろうか? 私が言いたいのは、こうだ。
「たったの 5% の値引きなんて、効果がない」
そのことは、スーパーの値引きシールを見ればわかる。古くなって、「 10%引き」というシールが貼ってある商品があるが、ほとんど売れない。たったの 10% 引きぐらいだったら、新しい方がいいに決まっている。まして、5% だったら、そんなものを買う消費者がいるとは思えない。(だいたい、そんなに値引きに敏感であるなら、もともとコンビニなんかには行かずに、スーパーか、まいばすけっとに行くはずだ。)
要するに、5%では小額すぎて、無効なのだ。
これが 20%になっても、まだ「普段の特売と同じぐらいだな」という感覚だ。
30%引きになってようやく、お得感が出るので、「これなら古くても買っていい」という気になる。つまり、30% が最低ラインだ。
さらに、スーパーなら半額になることもある。私が買ったばかりの商品を見たら、イオンのお寿司が「消費期限まで3時間」という段階で半額だった。これくらいだと、かなりお得感がある。
で、そういうことをしないのだったら、「スーパーなら半額になるものが、コンビニでは5%引き」となるんだから、消費者としては、馬鹿馬鹿しくて、買う気にはなれないだろう。
結論。
コンビニの値引きという方針それ自体はいいが、たったの5%では何の意味もない。効果はほとんどないだろう。馬鹿げている。無駄をなくそうとする努力自体が、ただの無駄。
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さらに言うと……
今回の方針には、実は、真の狙いが隠されていると思える。それは、こうだ。
「会社公認の値引き制度を確立することで、店の独自の値引きをやめさせる。5%の値引き制度を導入することで、店が独自に 30% や 50% の値引きを止めさせる」
つまり、値引きの導入ではなく、(店による)値引きの阻止が、会社の真の狙いなのだろう。……ゲスの勘ぐりみたいだが、実はこれが真相だ、ということになりそうだ。
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ついでだが、朝日の記事の後半には、こうある。
値引きの制限は独占禁止法違反にあたるとの判断を公正取引委員会が2009年に示した後も、各本部は定価販売を重視してきた。
大手3社のうちファミリーマートは「正価販売のなかで利益を確保していきたい」(広報)としており、ポイント還元に乗り出す考えは今のところない。
ここにこそ会社側の本音が見て取れる、というものだ。
[ 付記 ]
そもそも、独自カードしか利用を認めない、というところからして、真の狙いが「値引きをすること」ないし「食品ロスをなくすこと」ではない、とわかる。カードの利用者は現状では 25% ぐらいしかいないからだ。
セブン―イレブンでポイント付与の対象になるのは、おにぎりや弁当、生麺といった消費期限が1日の「デイリー商品」を中心に500品目ほどという。消費期限が4〜5時間後に迫った段階で買った客に、自社の電子マネー「nanaco(ナナコ)」のポイントとして定価の5%ほどを還元する方向で検討している。現金やクレジットカード払いでは還元されない。セブン―イレブンでのnanacoの利用率は25%ほどという。
( → セブン、期限切れ迫る弁当にポイント 秋から全国2万店:朝日新聞 )
ついでだが、セブンイレブンで「フライドチキンください。nanaco で」と注文すると、フライドチキンを7個わたされるそうだ。(料金も7個分)。
※ ダジャレみたい。