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自動運転技術では、Google が圧倒的に優位に立つと言われている。前に述べたとおり。
→ 自動運転の現状: Open ブログ
日産はこの分野では、大幅に出遅れて、
→ 自動運転業界ランキング:トヨタ自動車は9位、1位は? 米調査会社がトップ20発表
しかし、である。日産はこのたび、他社に先駆けて、高度な自動運転車を発売すると発表した。
→ 日産の新しい自動運転車: Open ブログ(前項)
しかも、2020年では世界最先端に立つ予定らしい。
トヨタやホンダが、2020年に高速道路での自動運転技術の実用化を目指しているのに対して、日産は2020年に、一般道路を含めた自動運転技術を実用化すると表明している世界で唯一の完成車メーカーである
( → 日経ビジネス電子版 )
日産は既に自動運転レベル2(部分運転自動化)相当のシステムを2016年発売の「セレナ」に導入している。
高速道路での自動運転レベル3の達成は2018年ごろを目指しているほか、2020年には一般道路での実用化も視野に入れている。
( → 自動運転車の実現はいつから?世界・日本の主要メーカーの展望に迫る | 自動運転ラボ )
さて。以上のことを合わせると、日産はこの分野で( Google をしのいで)圧倒的に優位に立つ可能性がある。なぜか? それは、次のことによる。
→ 自動運転は Google が独占か?: Open ブログ
ここでは、自動運転技術は、それ単体ではなく、実際に走行した大量の走行データが重要であり、それを蓄積しているのは Google だけだ、というふうに示している。これはいわば、「精密な地図情報を持っているのは Google だけだ」ということを意味する。となると、精密な地図情報を必要とする自動運転では、Google が圧倒的に有利だ、ということになる。
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実は、すぐ上のことは、本サイトでは数年も前から指摘していた。「実際に走行して精密な地図情報を得ることが大切だ」という趣旨。
→ 自動運転車と AI: Open ブログ
関連する話もある。「立体地図を作れ」という話。
→ 自動運転とビッグデータ: Open ブログ
→ トヨタの自動運転と地図作成: Open ブログ
( → 自動運転の現状: Open ブログ )
以上で述べたことを要約すると、こうだ。
「自動運転技術を向上させるには、単に単体の自動車の制御技術を向上させればいいのではない。周辺の立体地図などのビッグデータを得ることが大切だ」
その上で、次のことが指摘された。
「ビッグデーターを得るためには、トヨタなども努力しているが、先行して大量の走行距離を稼いで調査した Google が圧倒的に有利であって、他社は今さら追いつけない」
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ところが、である。ここで一挙に逆転の芽が出てきたのだ。それは、こうだ。
「日産が高度な自動運転車を先行発売した上で、そこで得られたデータを自動収集すれば、ビッグデータの獲得で一挙に優位に立つ」
これは、次のことを意味する。
「これまでは Google が少数の専用車でたくさんの距離を見て調べてきたが、日産が大量の市販車でビッグデータを自動収集すれば、数にものを言わせることで、大量のデータをごく短期間に取得できる」
Google は少数の専用車でたくさんの距離を見て調べてきたが、それはただの無駄だった、となりかねない。自社でいちいち調べなくても、市販車がいっぱい走って調べてくれれば、あとはそのデータを自動収集することができるのだ。
とすれば、日産は、自動運転車を発売することで、単にユーザーに便益を提供するだけでなく、自社で大量のデータを取得できるのだ。それも、いちいち車を走らせるコストなしで。うまいアイデア!
こうして、最下位またはブービーだった日産が、一挙に逆転して、トップに立つこともできるだろう。そしてそれは、「自動運転車を発売するメーカーの先行者利益」なのである。あとから他社が真似してやろうとしても、そのころには日産はすでに大量のデータを取得することで、技術をさらに発展させている。他社が1周の周回遅れをやっと追いついた、と思ったころには、日産はすでに2周先を行っていることになる。(そういう先行者利益)
かくて、日産は高度な自動運転車を先行発売することで、他社に対して圧倒的に優位に立つ可能性がある。
[ 付記1 ]
「本当にそうなるの?」
と思う人がいるだろうから、答えておこう。
「日産が本項を読んで実行すれば、そうなる。本項を読まないで何もしないでいれば、そうならない。その場合には、Google に負ける」
[ 付記2 ]
テスラやベンツやウーバーはどうなの? という質問には、こう答えよう。
テスラの技術は、まだまだ未熟である。首都高(のきついカーブ)をきちんと走れないそうだ。
→ ついに国内試乗! テスラ・モデル3の ロングレンジモデルで都内を
ベンツは、優秀だ。
→ テスラより優れているベンツの自動運転インテリジェントドライブ(一般道)
→ ベンツからレベル5完全自動運転EVのプロトタイプが公開
ただ、市販モデルは 2016年のままなので、現状や将来の市販品は不明。
ウーバーは、回転式の LiDAR を使って研究しているが、とても市販レベルにはない。なぜなら、回転式の LiDAR は故障しやすいからだ。固定式の LiDAR が十分に実用的になるまでは、市販は遠い。
→ LiDARのMEMS式とSolid State式、特徴や違いを解説
LiDAR については、日産は採用していない。
→ トライカムを採用、LiDARは現時点で不要
そもそも LiDAR を使うこと自体が間違っている、という見解もある。
自動運転において、LiDARを不要と論ずる技術者や経営者もいる。有名どころでは、米テスラ社CEOのイーロン・マスク氏が「レーダーとカメラだけで完全な自律走行車をつくれる」と豪語している。
( → LiDARのMEMS式とSolid State式、特徴や違いを解説 | 自動運転ラボ )
「ライダーは無駄な努力だ。ライダーに頼っている人たちに明日はない。将来性がないんだよ。高価なセンサーだし、そもそもあんなものは要らない」
( → 「ライダーに依存する自動運転車に未来はない」とイーロン・マスクが主張 | TechCrunch Japan )
実は、私も同じように考えている。レーダーとカメラだけで足りるはずだ。しかも、正面以外では、単眼カメラだけで足りるはずだ。(正面だけはステレオカメラが必要だろうが。)
[ 付記3 ]
ただし、カメラで済ませようとするなら、注意点がある。夜間における弱点(カメラでは見えないこと)を解消する必要があるからだ。
実際、ウーバーの自動運転車の走行実験では、夜間に歩行者を轢く事故があった。
→ Uberの自律走行車、衝撃的な「死亡事故の瞬間」の映像から見えてきたこと|WIRED.jp
ウーバーは、回転式の LiDAR を屋根に搭載しているはずなのだが、こうなった。
Uberの自動運転システムは、暗闇を見通せるレーザー光を使ったLiDAR(ライダー)システムを備えている。それなのに、自転車を押してゆっくりと道路を一定速度で横断していた歩行者との衝突を避けることができなかった。なぜなのか、この証拠映像から理解するのは難しい。
( → Uberの自律走行車、衝撃的な「死亡事故の瞬間」の映像から見えてきたこと|WIRED.jp )
Tempe Police Vehicular Crimes Unit is actively investigating
— Tempe Police (@TempePolice) 2018年3月21日
the details of this incident that occurred on March 18th. We will provide updated information regarding the investigation once it is available. pic.twitter.com/2dVP72TziQ
事故の原因は何か? はっきりとはしないが、次の可能性がある。
「歩行者は黒い上着を着ていた。そこにレーダー光が当たったので、レーダー光が吸収されてしまい、反射しないので、検知できなかった」
この場合、歩行者は明るい色のジーパンと白色のシューズをはいていたので、そこにヘッドライトの照明が当たることで、人間には見える。しかし LiDAR のレーザー光は、そこには当たらずに、黒い上着部分に当たるだけだったので、 LiDAR では検知できなかった、というわけだ。(推測)
となると、やはり、カメラで認識していないことが一因であったようだ。そして、この問題への解決策もわかっている。こうだ。
「暗視カメラとしての赤外線カメラ(単眼式)で、発熱する人間の体を検知する」
これなら、高精度で検出できる。このことは、前に述べた。
→ 自動運転と赤外線センサー: Open ブログ
実例も、そこでリンクを示した。
→ この赤外線カメラシステムは、自動運転技術を改善する
だから、自動運転車には、赤外線カメラを設置することが必須だ。そうでなければ、夜間の自動運転がまともにできない。
とすれば、日産の今秋発売予定の自動運転車も、赤外線カメラを搭載する必要がある。さもなくば、なかば欠陥品となる。
(こういうところでケチると、ゴーン流になって、大失敗するのがオチだろう。)
※ 現実には、どうなるか? 私の予想では、(日産は駄目会社 or ケチ会社なので)赤外線カメラを採用しない。そのせいで、なかば欠陥品のまま、自動運転車を投入する。そのあとはウーバーと同様に、夜間運転事故を起こす。ウーバーが実験停止に追い込まれたように、日産は自動運転車の発売停止と製品回収に追い込まれるだろう。そのときに「赤外線カメラを搭載しないのが原因でした」と釈明するはず。そして、「赤外線カメラを倒産した新モデルを将来的に投入します」と言うはず。(未来を予想する Openブログ。)
※ 悪口を言っているようだが、あらかじめ警告して、予防する方法を教えている。赤外線カメラなんて、LiDAR よりはずっと安価なんだから、さっさと搭載すればいい。それだけの話。
[ 付記3 ]
日産のカメラは三つあるということだが、ステレオカメラは採用せず、単眼カメラを三つ使っているそうだ。焦点距離や画角を変えたもの。
ハード面で特にキーとなるのは新開発されたトライカムと呼ばれる三眼カメラで、150度、54度、28度と3つの画角で前方の状況を幅広く把握できるようになった。
( → 日産がついに手放し自動運転を実現する! 今秋、まずは新型スカイラインから )
前方監視用のカメラは画角や焦点距離の異なる3つのレンズを並べた「トライカム」だ。画像処理はMobileye(モービルアイ)の最新チップ「EyeQ4」で行う。
( → 日産プロパイロット2.0、ステアリング手放しの実現には高精度地図が不可欠だった )
単眼カメラだと、遠方の認識が難しいので、高速に対応することは困難だろう。ただし高速についてはミリ波レーダーを併用することで、解決は付く。ミリ波レーダー5個を使っているということなので、あまり問題はなさそうだ。
( ※ ミリ波レーダー5個。……コストは相当、かかりそうだけどね。)
( ※ なお、単眼カメラ3個のかわりに、ステレオカメラ1式にしておけば、コストは安く済みそうだ。「単眼カメラだとコストが安くなる」という思惑・狙いは、はずれたようだ。)
[ 付記4 ]
日産のシステムは、カメラやレーダーがいっぱい付いていて、すごく先進的に見えたが、よく見ると、全然違った。
自動運転に関与するのは、前方レーダーが1個と、前方単眼カメラ3個の、計4個だけだ。あとのすべては、周辺を向いていて、自動運転には直接関与しない。ただの安全装置であることが多い。(衝突回避など。)
AVM カメラ4個というのもあるが、これは「自動パーキング用」であって、数年前から実用化して、日産車に搭載されているものだ。そこそこ便利ではあるが、あくまで限られた用途だし、本来の自動運転技術とは関係ない。
日産の宣伝はちょっと誇大広告気味だ。「自動運転に関わるのは、前方レーダーが1個と、前方単眼カメラ3個だけだ」とわきまえておいた方がいい。あと、「カメラやレーダーはいっぱい搭載されていますが、肝心の赤外線カメラは搭載されていません」ということも。
[ 補記 ]
話は変わるが、本項で提案したシステムは、ビッグデータの取得のほかに、個人的にも役立つことがある。
たとえば、自動運転のスカイラインが発売された直後では、田舎の道路を走るユーザーにとっては、すでに取得したデータが不足するので、いささかデータ不足気味だろう。
しかし、その人がいったんその道を通れば、そのデータがクラウドに蓄積されるので、2回目以後に通ったときには、過去のデータ(自分の通ったデータ)が有効に活用される。
たとえば、自宅と会社を往復するとして、1回目にはデータが何もないかもしれない。しかしそのときデータを取得したから、2回目以後には、1回目のときのデータが活用される。
こうして、「自分自身がデータを提供して役立てる」ということで、自動運転の能力が向上する。
そして、別の人が通ったときには、最初の人の提供したデータを有用に利用できるわけだ。
ビッグデーターを蓄積すると、このように有効に役立てることができる。その意味で、「先行して市販車を発売すること」には、とても大きな意義があるのだ。
( ※ たくさんのセンサーをもつ高度な自動運転車であることが条件だ。セレナぐらいのレベルでは、全然ダメだが。)
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では、現実のスカイラインは、そうなっているか? なっていない。
日産のシステムでは、精細な地図が使われているが、更新頻度は低いからだ。
ソフト面の注目ポイントは、日本の高速道路のすべてのレーンの区分線情報と速度標識、案内標識などの情報を含む3D高精細地図データで、これは高速道路の経緯上をcmレベルの細かさでデータ化した3D高精細地図データを持ち、その精度はおよそ横方向で5cm以内、前後方向1mという細かさだという。
このおかげでカメラで見える範囲より先の曲率や勾配などの道路形状を先読みでき、滑らかな速度制御が可能となっている。(地図情報は年に数回更新され、テレマティクスを通じて自動配信される。)
( → 日産がついに手放し自動運転を実現する! 今秋、まずは新型スカイラインから )
「年に数回更新」ということだから、ビッグデータの取得はなされていないことになる。
( ※ では、正しくは? データはリアルタイムで自動車から取得して、ほぼリアルタイムで配信するべきだ。配信の際には、全データを配信する必要はなく、自動車が進む予定地を先読みして、その周辺のデータだけを配信すればいい。)

引用している記事は「自動運転関係の大手20社を比較した」とし、11位以下にはBMWやボルボ、ヒュンダイキアなどの大手自動車メーカーもランクインしているのですが、「大手メーカーでは最下位」という記述は引用記事中のどこを指しますでしょうか?
タイムスタンプは 下記 ↓
本稿のタイトルとあなたの論拠を考えると、イントロのもっとも大事な部分でしょ。
もっと気をつけないといけない。
>あとのすべては、周辺を向いていて、自動運転には直接関与しない。ただの安全装置であることが多い。(衝突回避など。)
複数レーン自動運転に必要です。
自動で車線変更するのに使用されます。
法律面の問題で、ハンドルにドライバーの手が触れている必要がありますが、基本的には車が勝手に車線変更することができます。
> AVM カメラ4個というのもあるが、これは「自動パーキング用」であって、数年前から実用化して、日産車に搭載されているものだ。そこそこ便利ではあるが、あくまで限られた用途だし、本来の自動運転技術とは関係ない。
アラウンドビューモニターも走行中の周囲状況の認識に使用されます。
>「カメラやレーダーはいっぱい搭載されていますが、肝心の赤外線カメラは搭載されていません」
LiDARのことをおっしゃりたいのでしょうが、発表会では現状のLiDARは性能不足なので選択しなかったと説明されています。
なお、周辺状況の監視には、レーダーを使うはずです。カメラ4個で単眼カメラ式に別個に計算処理するのでは、コストがかかりすぎる。そこまでやる必要はない。
赤外線カメラは LiDAR とはまったく別です。ちゃんとリンク先を読んで、動画を見ましょう。赤外線カメラは普通のカメラと構造は同じです。波長が違うだけ。
LiDAR は性能不足なのではない。現状は回転式なので、まったく実用レベルではない。固定式にする必要があるが、それは超高価。
あなたは自分がわからないことについて、「相手が間違っている」と決めつけている。だから、相手の言うことをいつまでも理解できないし、自分の誤りにも気づかないんです。リンク先を読んで調べるという最低限の手間を惜しむから、「相手の話を読まないまま、理解できずに、相手を間違っていると決めつける。そして自分が利口だと得意になる」というふうになる。毎度毎度、その繰り返し。
日産の発表動画にもあるように、後方の車両を「トラック」か「乗用車」か判定してディスプレイに表示しています。
つまりカメラでも判定しているということです。
ちなみに現行車種のアランドビューモニターでも物体認識はやっています。
これに関しては誤解でした。
ただレーダーは原理的に近距離での信頼性が下がるのでカメラも併用するということなんでしょう。