2019年05月15日

◆ 簡易ハイブリッドが主流に?

 次世代の自動車は、電気自動車でもなく、ハイブリッドでもなく、簡易ハイブリッド(マイルドハイブリッド)になるらしい。

 ──

 次世代の自動車は、電気自動車になるとか、ハイブリッドになるとか、議論がかまびすしいが、ところがどっこい、技術の進歩はのんびりしていて、どちらも主役にはなれないらしい。内燃機関の次に来るのは、簡易ハイブリッド(マイルドハイブリッド)であるらしい。
 次の予測がある。


簡易ハイブリッド
出典:日本経済新聞


 この図で「簡易HEV」というのが、簡易ハイブリッド(マイルドハイブリッド)だ。
 これは、現在のありふれたタイプ(12ボルトタイプ)ではなくて、48ボルトタイプであるようだ。そのことで、従来よりも高性能化しているそうだ。また、本格的なハイブリッドに比べると、使う電圧が圧倒的に低いので、技術的な難点が少なくて、低コストで済むそうだ。
  → 48Vハイブリッドシステムのメリット

 しかし、である。簡易ハイブリッドには、難点がある。「効果が低い」ということだ。これは「エネルギーの回生が物足りない」ということに起因する。
 ハイブリッド車の効果は、減速するときに、フット・ブレーキをかけるかわりに、(エンジンブレーキみたいな)モーターブレーキをかけることによる。減速しながらモーターで発電することで、減速とエネルギー回生を同時になすわけだ。
 しかしながら、簡易ハイブリッドでは、巨大なモーターがない。小さなモーターがあるだけだ。自動車を減速するために発電しようとしても、モーターが小さいので、発電する効果も小さいし、回生する効果も小さい。これでは、回生の効率が低い。ハイブリッドとしてまともに機能していないことになる。

 ──

 そこで私は思いついた。こうだ。
 「巨大なモーターのかわりに、フライホイールを使えばいいのでは? 減速するときに、モーターを動かすのではなく、フライホールを動かす。その後、フライホイールをゆっくり減速させながら、モーターを動かせばいい」

 これだと、減速時に小さなモーターを動かすかわりに、減速時に続く長い時間帯にモーターを動かす(フライホイールを止めるために)というふうにすることができる。時間を分散させることができるから、発電のピークを下げることができて、モーターを小型化できる。簡易ハイブリッドの小さなモーターでも足りるだろう。

 これはうまいアイデアだ、と思ったのだが、「こんなことはすでに考慮済みだろう」と考え直した。そこで調べてみると、まさしくすでに開発済みだと判明した。
  → ボルグワーナーのフライホイール式 48V ハイブリッド

 とはいえ、これは米国の会社の方式だ。日本では研究しているという記事が見つからない。日本の 48V ハイブリッド技術は世界的に見て遅れているようだ。肝心のトヨタも、「本格ハイブリッドに比べて、マイルドハイブリッドは効果がない」と評価して、マイルドハイブリッドの研究に乗り気でないそうだ。トヨタいわく:
 「各国の環境規制にも影響を受けるので一概には言えないが、48Vマイルドハイブリッドについては、CO2削減の“費用対効果”という点であまり魅力を感じていない」
( → 「なんちゃってHV」とはもう言わせない!? マイルドハイブリッド流行の理由と実力

 しかし、冒頭に記したように、世界の主流は簡易ハイブリッドになりそうなのだ。そして、その立役者は、フライホイールであるのだろう。(私の予想)……なのに、日本メーカーは、ここを見失っている。そのせいで、世界の流れから取り残されかねない。
 なるほど、本格ハイブリッドは、性能がいい。しかし、本格ハイブリッドはコストが馬鹿高いのだ。日産のノート e-power は、本格ハイブリッドみたいだが、エネルギー回生機能は弱い(モーター・ブレーキが半分ぐらいしか効かない)。それでいて、コストが 25万円だ。セレナ e-power は、エネルギー回生機能が十分だが、コストが 45〜50万円だ。あまりにも高すぎる。その一方で、日産デイズのマイルドハイブリッドは、コストが5万円ぐらいであるらしい。格安だ。(もっとも、効果もたいしたことがないようだが。デイズは、マイルドハイブリッドにしても、カタログ数値の燃費はほとんど向上していない。)

 現状では、有効だが高価な本格ハイブリッドと、ほぼ無効だが安価なマイルドハイブリッドの二者択一だ。日本ではこのいずれかしか、まともに開発していないらしい。しかし世界の流れは、かなり有効なのに安価である 48V 簡易ハイブリッドになりそうなのだ。日本はそれに取り残されかねない。そして、その理由は、「フライホイールによる回生」という発想を知らずにいるからだろう。

 ※ フライホイールは、結構重たいので、運動性能が悪化するという問題が生じる。しかしそれを言うなら、本格ハイブリッドだって同様だ。
 ※ フライホイールは、本格ハイブリッドと似たような効果があるのだが、コストが激安というメリットがある。本格ハイブリッドみたいに 50万円もかかるわけではないのだ。



 [ 付記 ]
 冒頭のグラフでは、日産の e-power は HEV に分類されているようだ。しかし e-power は電池容量を増やすと、PHEV になる。どちらのタイプであれ、記事の予想よりは、もうちょっと増えそうな気がする。
 確かにコスト面だけで見れば、 e-power に勝ち目はないのだが、ドライバビリティの向上が著しいので、コスト面を超えた魅力があるからだ。
 その意味で、冒頭のグラフを私が鵜呑みにしているわけではない。



 【 関連サイト 】

 → 「なんちゃってHV」とはもう言わせない!? マイルドハイブリッド流行の理由と実力
 
posted by 管理人 at 21:00| Comment(3) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
既に示した欧州勢の技術開発の遅れとEU諸国の内燃機関廃止施策の圧力で、マイルドハイブリッド車を「電動車」と言い張って売ろうとしているだけです。だからマイルドハイブリッド車が増えるわけです。
トヨタのハイブリッドシステムはそのままだと欧州での速度性能が圧倒的に不足しているから欧州勢が導入するのは考えづらいですね。レクサス中心に搭載されている有段ギアとハイブリッドシステムを組み合わせたものは非常に評判が悪いですし。  
Posted by 細波 at 2019年05月16日 08:46
 自説を書く前に、客観的なデータを提示しましょう。

 事実は:
 欧州ではトヨタのハイブリッドが大人気、という記事。
 https://www.webcartop.jp/2018/07/259656
 https://response.jp/article/2018/01/12/304629.html
 https://response.jp/article/2019/04/11/321265.html
Posted by 管理人 at 2019年05月16日 12:58
何をそんなに噛みついているのかわかりませんが、私はこの記事に関しては管理人さんの主張を否定していないのですが。
私の主張は客観的事実しかかかれていません。
トヨタのハイブリッドが売れるようになったのは、ディーゼルの規制が昨年度から厳しくなり、販売そのものも制限された結果相対的に売れるようになった、というものですよ。
Posted by 細波 at 2019年05月16日 13:03
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