2019年05月13日

◆ 汚れたプラスチックの処理

 汚れたプラスチックの処理が国際的に問題になっているそうだ。輸出禁止。では、かわりに、どう処理する?

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 汚れたプラスチックの処理が国際的に問題になっているそうだ。朝日新聞が大々的に報道している。(夕刊と朝刊の1面で)
 有害廃棄物の国境を越えた移動を規制するバーゼル条約の対象に、汚れた廃プラスチックを加えることが10日(日本時間11日)、スイスで開かれていた同条約締約国会議で採択された。リサイクル資源として扱われる汚れた廃プラは、輸入国政府の同意がなければ輸出できなくなる。世界規模で廃プラの輸出入を規制する制度は初めてとなる。
 日本からバーゼル条約の規制対象を輸出する場合、条約に基づく輸入国の同意に加え、輸入国に日本国内と同等の処理体制がないと輸出を認めないことが、国内法令で定められている。輸出先のアジアなど途上国で日本と同じレベルの処理体制の国はほぼなく、日本からの汚れた廃プラの輸出は事実上、難しくなる。
 環境省は、汚れた廃プラの対象について指針を定める方針。たばこの吸い殻が入ったペットボトル、使い終えたままのシャンプーの容器、土や石が交じった状態の農業用シートなどが想定される。
( → 汚れた廃プラ、条約の規制対象に 日本からの輸出、困難:朝日新聞 2019-05-11

 国内でのリサイクル量を大幅に増やすと同時に、汚れたものを含む廃プラの排出量そのものを減らす必要にも迫られる。
 環境省が今後つくる指針で定める汚れの基準などによって、何が「汚れた廃プラスチック」に当たるのかや、その総量は大きく変わる。
 想定されるものは多岐にわたる。例えば、たばこの吸い殻が入ったペットボトルや、シャンプーが残ったままの容器、食べ残しで汚れた食品容器など家庭から普段出るものや、土がついた農業用シートや、ほこりにまみれた流通用梱包(こんぽう)材といった事業系で排出されるものなどだ。
 汚れた廃プラは扱いが難しい。洗うのに手間やコストがかかったり、洗浄でかえって環境への負荷が増したりしかねない。焼却を呼びかける自治体もある。
( → 汚れた廃プラ、世界規模で規制 輸出入巡る条約で 身近な生活ごみも一部対象:朝日新聞 2019-05-12

 リサイクルの仕方が問題となる。朝日新聞の報道によると、(欧州など)海外では、「ゴミ発電」(サーマルリサイクル)は「リサイクル」とは見なされず、ケミカルリサイクルおよびマテリアルリサイクルだけが「リサイクル」と見なされるそうだ。そのせいで、朝日新聞は「サーマルリサイクル」に否定的である。
  → (いちからわかる!)汚れた「廃プラ」、リサイクル難しいの?:朝日新聞
  → (いちからわかる!)汚れた「廃プラ」、リサイクル難しいの?:朝日新聞

 しかし、これは非科学的な発想だ。なるほど、目で見えるものだけを見るなら、目の前にあるプラスチックが別の形のプラスチックになることで、「リサイクルされた」ということがはっきりとわかる。一方で、サーマルリサイクルは、目の前にあるプラスチックが燃やされてしまうので、「リサイクルされずに消えてしまった」というふうに誤認される。
 しかし、サーマルリサイクルの場合には、物にはリサイクル避けないが、エネルギー(電力や熱源)にはリサイクルされるのだ。
 だから、問題は、「目に見えるか否か」ではなくて、「リサイクルによって有効に使われるか否か」だ。その指標としては、「どれだけ石油が節約されたか」で測ることができる。

 すると、どうなるか? 
 サーマルリサイクルなら、廃プラは熱源(ゴミ発電の電力源)としてそのまま使われるので、ほぼ有効に資源が使われる。
 ケミカルリサイクルだと、「汚れた原料の精製(純化)」という無駄なことのために、大量の燃料が使用される。そのせいで、最終的な製品になる率が低い。これだと、資源が有効利用される率がきわめて低いのだ。
 いや。低いどころか、下手をすると、エネルギー的に赤字になる。つまり、「ケミカルリサイクルを進めれば進めるほど、投入するエネルギーよりも取り出せるエネルギーの方が多い」というふうになりかねない。
 こういう事情については、前に下記項目で説明した。
  → プラごみを再生するな: Open ブログ

 結局、欧州や朝日新聞のように、やたらとケミカルリサイクルを推進するのは、雰囲気だけを見て、数字を見ないという、非科学的なものだ。それは、リサイクルというよりも、リサイクルのフリをした浪費(リサイクルごっこ)であるにすぎない。
 こういうこともわからない人々が、ケミカルリサイクルを進めている、というのが現状だ。

 ※ 朝日新聞は、前は エコキャップ というのを推進していたこともある。エコについては熱心だが、科学的に無知なので、やたらとだまされるタイプだ。詐欺に引っかかるタイプ。
 ※ この伝で言うと、「ケミカルリサイクル推進」というのは、「エコキャップ ver.2 」という感じかな。

 ──

 なお、「(汚れを含むような)不純なものを、純粋なものに精製するには、エネルギーが必要だ」ということは、「エントロピー」という概念で説明される。この件も、先の項目で説明した。
  → プラごみを再生するな: Open ブログ
 ここから一部抜粋しよう。
 「不純なものから純粋なものを取り出す」ということのためには、エネルギーが必要とされる。それは「エントロピー減少のためのエネルギー」である。
 いったん不純になったものを純粋なものに転じるには、エネルギーが消費される。
 一方、いったん不純になったものも、純粋なものも、燃焼したときに発生するエネルギーは同等である。
 ならば、いったん不純になったものは、そのまま燃焼させてしまうのが利口なのだ。それこそ最も効率的だからだ。

 上の記述では物足りないと思うようであれば、下記に詳しく説明してあるので、そちらを読んでほしい。
  → リサイクルとエントロピー: Open ブログ

 実例としては、同じような無駄(生成に余計なエネルギーを費やす無駄)の例が、二つある。それぞれ、別項で論じた。
  → モモでバイオディーゼル: Open ブログ
  → ユーグレナは詐欺か?: Open ブログ

 この二つの例では、「リサイクルでエネルギー源を得た」という研究が示されている。しかし、「そこでは不純な原料から純粋な燃料を精製する」ということのために、ものすごく大量のエネルギーを消費してしまう。つまり、とても非効率だ。そのせいで、ものすごくコスト高になる。
 ユーグレナの場合には、(精製コストが高くなりすぎるせいで)石油燃料に比べて 100倍ぐらいのコストになっているそうだ。
  → ユーグレナのエネルギー効率: Open ブログ

 これほどひどくはないだろうが、ケミカルリサイクルというのも、同様の傾向がある。特に、「ちょっと汚れている」程度でなく、「大いに汚れている」ようなプラスチックであれば、エネルギー的に赤字になるのは確実だろう。つまり、リサイクルすればするほど、エネルギーの浪費が増える。

 (例)
 100グラムのプラスチックから、石油 100グラム分のエネルギーが取り出せれば、(おおざっぱに)回収率は 100%である。
 普通のケミカルリサイクルでは、5%ぐらいしか取り出せない。回収率は5%だ。(ちょっと不純なプラスチック)
 さらに、大いに汚れたプラスチックの場合だと、回収率がマイナスになるだろう。たとえば、100グラムから、石油 100グラム分のエネルギーが取り出すために、精製のための石油が 150グラムかかるなら、100グラムの石油を得るために 50グラムのエネルギー赤字が出たことになるから、エネルギー効率はマイナス 50%となる。

 こういう馬鹿げたことになるのだが、それでも、愚かな人々は、数字を理解できないので、ケミカルリサイクルを推進するのだ。それが環境を破壊するばかりだとは気づかないまま。

( ※ 「星の王子さま」は、「本当に大切なものは目に見えないんだよ」と言った。だが、そこに気づかないで、目に見えるもの[形のあるもの]ばかりを重視するのが、愚かな人々である。彼らには「エネルギー」という無形のものを理解できないのだ。)



 [ 付記 ]
 参考として、ちょっと古い記事を紹介する。
 「リサイクルの推進のために、コンタクトケースを集めて、ケミカルリサイクルをする」
 という運動だ。これを朝日新聞は肯定的に紹介している。(2019年2月12日)
 毎朝つける人もいる使い捨てのコンタクトレンズ。レンズが入っていた空ケースが、リサイクルできることはあまり知られていない。私も毎回捨てていた。そんな空ケースを回収して再資源化する活動がある。1300を超える学校や企業が協力し、これまで約3億個のケースを回収したという。
 ケースは耐熱性のある素材「ポリプロピレン」でできている。色は白色のみ。分別する必要がなくリサイクル向きだ。だが、アイシティが会員6500人に行ったアンケートでは、約7割がリサイクルできることを知らなかった。
 そうした中、アイシティを運営するコンタクトレンズ製造・販売大手「HOYAアイケアカンパニー」(東京都)は、2010年から店頭に回収ボックスを置き始めた。学校や企業に協力の輪が広がり、17年度の回収量は、6年前の1.7倍の41.6トンに増えたという。
 聖心女子学院中・高等科(東京都)は1年半で約69キロを集めた。朝礼で何度も呼びかけ、家族の分も持ってきてもらった。
 HOYA社が9年間で回収した空ケース計約3億個は、リサイクル工場に売却され、プランターやヘルメットなどに生まれ変わった。売却益の総額約700万円は日本アイバンク協会に寄付された。
 個人で持ち込む場合は、全国に約300カ所ある「アイシティ」へ。購入先やメーカーは問わない。学校や企業で参加したい場合は「アイシティecoプロジェクト」のHP(https://www.eyecity.jp/eco/)の問い合わせ窓口から応募する。
( → (eco活プラス)コンタクトケース、再資源化 中高生らが協力/回収率は1%:朝日新聞 2019-02-12

 何だか立派なことをやっているように報道しているが、これはしょせんは「エコキャップ」と同じことである。わずかなプラスチックをリサイクルするために、配達費をかけたり、自分で持ち運んだりする。そのために無駄なエネルギーを消費してしまう。これではエネルギー的にほとんど有効でない。(むしろ自宅でプラごみとして出す方がマシだ。)
 しかも、このことで、生徒たちの莫大な時間を奪う。勉強時間や、クラブ活動や恋をする時間が減ってしまう。わずかな金を得るために人の人生を奪うというわけで、ほとんど悪魔的な企みだ。

 ──

 お馬鹿なリサイクル論者のために、真実を教えて上げよう。
 リサイクルのために最も有効なのは、「ゴミ発電」を推進することだ。現状では、プラゴミが単に燃やされてしまう例も多い。それをやめて、「ゴミ発電」の形でエネルギーを回収すればいいのだ。これなら、精製の手間やコストもなく、プラスチックをエネルギーとして回収できるからだ。
( ※ 回収効率は 13% ぐらいなので、あまり高くはないが、ケミカル・リサイクルみたいに低くもない。また、火力発電だって、古いタイプだと 35% ぐらいの熱効率なので、それと比べても、甚だしく劣るというほどでもない。)
( ※ ゴミ発電では、熱源をお湯として取り出すと、効率が大幅に向上する。そこで、温水プールや銭湯にも利用すると、効率アップを図れる。こちらの面も考えるといいだろう。)
( ※ ちなみに、スーパー銭湯は、各地でとても人気がある。あなたの近辺にもあるはずだ。 → スーパー銭湯[地図]



 [ 補記 ]
 それでもあくまで「燃やすのはけしからん」と思う人も多いかもしれない。しかしながら、人々が「ケミカルリサイクル」と信じている事例も、実はプラスチックを燃やしていることが多い。
 「何のこっちゃ?」
 と思う人が多いだろうから、説明しよう。
 ケミカルリサイクルの例として、次の事例がある。
 「製鉄所でプラスチックを、コークスや石炭のかわりに、還元剤として使う」
  → Google 検索
 これが、ケミカルリサイクルに分類されている。
  → Google 検索

 そこから一つのページを選んで、説明部分を画像で示すと、こうだ。


高炉還元

出典:日本容器包装リサイクル協会



 他にも同様の方法がいくつか示されている。(直接燃やすかわりに、ガス化してから燃やす方法、など。どっちみち、再生品化するのではなく、単に燃やしてしまう。)
 こういうふうに「単に燃やしてしまう」というものまで、「ケミカルリサイクル」に分類されているのだ。
 ここまで聞くと、「燃やしてしまうものがどうしてケミカルリサイクルなんだ」と疑問に思うかもしれない。そこで、説明しよう。
  ・ サーマルリサイクル …… 空気中の酸素で燃やす
  ・ 製鉄の還元剤 …… 鉄鉱石に含まれる酸素で燃やす

 前者の場合には、空気中の酸素で燃やすので、はっきりと「燃やす」とわかる。空気中に火も出るので、目でわかる。
 後者の場合には、鉄鉱石に含まれる酸素で燃やすので、はっきりと「燃やす」とわかりにくい。実質的には、

酸化鉄 + 炭素 → 鉄 + 炭酸ガス


 という式からわかるように、「炭素を燃やして、炭酸ガスを発生させる」ということをしている。
 なのに、「鉄鉱石の鉄分を還元する」つまり「鉄鉱石から酸素を奪う」ということを目的とするので、「鉄鉱石の酸素がコークスと結びつく」という面を見失っているのだ。明るい面ばかりに着目するので、暗い面を見失っているのだ。


白の部分に着目するか、黒の部分に着目するか。

in-you.png


 これを比喩的に言うなら、サーマルリサイクルでは、「空気中の酸素で燃やす」と言うから、サーマルリサイクルは悪と見なされるのだ。一方、残った窒素に着目して、「空気を還元して窒素を得る」というふうに着目すれば、「これは窒素を得るための還元剤として炭素を使うから、これはケミカルリサイクルだと言える」というふうになる。
( ※ 窒素を有効に利用する、という前提で。)

 要するに、サーマルリサイクルもケミカルリサイクルも、どっちも「プラスチックを燃やす」という点では同じなのだが、ケミカルリサイクルの方では、「鉄鉱石が還元される」ということばかりに注目させることで、「プラスチックが燃やされる」という点を隠蔽しているわけだ。一種の詐欺的な認識である。(上の図で、白ばかりを見せて、黒を見失わせる。)

 そして、こういう詐欺的な認識によって、「サーマルリサイクルよりもケミカルリサイクルの方がエコである」という妄想が助長されるのである。
 人々は、こういう詐欺的な手法でだまされる。ほとんど妄想を信じるも同然だ。
 そして、その真実を暴露してしまうのが、本サイトだ。

( ※ 環境保護論者からは恨まれそうだ。「よくも真実をバラしたな! 神への冒涜だ!」と。) 



 【 関連サイト 】
 普通のゴミ発電の効率は 10%程度だが、廃プラスチック専用のゴミ発電だと、27%にもなるそうだ。
  → 廃棄物発電 - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア
 これだと、古い火力発電の 35% に比べても、あまり劣らない。普通のガソリン車の熱効率と同じくらいだ。しかも、(プラスチックに戻す)ケミカルリサイクルに比べれば、圧倒的に高効率だと言える。

posted by 管理人 at 23:00| Comment(3) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
現状だってゴミ処理場で発電したり、熱利用のプールを併設していたりするわけで、無理に素材リサイクルなんぞする必要はありませんよね。
プラ不含ゴミが燃えづらいので石油をぶっかけて燃やすくらいなら、プラを混ぜたほうがずっと効果的。
Posted by けろ at 2019年05月14日 01:23
 最期に [ 補記 ] を加筆しました。かなり長い。
 ケミカルリサイクルというのが詐欺的な認識だ、という話。
Posted by 管理人 at 2019年05月14日 07:25
生ごみばっかりじゃ燃えないからね
温度も低くなるし
ダイオキシンのほうが問題は大きいいから
どうするかって
高温になるものを混ぜるのよ
Posted by 老人 at 2019年05月15日 10:30
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