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……という話を聞くと、「何を馬鹿な」と思う人が多いだろう。
「企業の経理こそ、IT化が最も進んだ領域だ。かつてはそろばんだったのが、コンピュータを導入したことで、正確かつ高速になった。こここそ最もIT化の効果があった分野だ」
というふうに。
私もそう思っていました。昨日までは。しかし、それは夢だったようだ。
5月2日の朝日新聞に、次の記事が掲載された。
企業統治をめぐり、経団連と関西経済連合会の意見の隔たりがはっきりしてきた。金融庁が手がけたコーポレートガバナンス・コード(企業行動指針)などを重視する経団連に対し、関経連は指針への反発を隠さない。
意見の違いは、上場企業に3カ月ごとの決算発表を義務づけている四半期決算の仕組みにも及ぶ。
経団連は「公表をためらってはならない」(中西会長)とするのに対し、関経連は義務づけの廃止を求めている。関経連の松本正義会長(住友電気工業会長)は「投資家は本当に利用しているのか。廃止すれば働き方改革にも有効」という。会員企業の経理部門が疲弊しておりアンケートでも見直しを求める意見が大半だった、という。
関経連の幹部は「経団連は、政府に近くてモノが言いにくい」と指摘。とりわけ四半期決算の義務づけ廃止については「言わないだけで、みんなそう思っている。何とか廃止に持っていきたい」と話す。
( → 企業統治、東西で隔たり 経団連、政府指針に同調/関経連「制約行き過ぎ」:朝日新聞 )
つまり、3カ月ごとの決算発表をするせいで、企業の経理部門が疲弊している、ということだ。
これは驚くべきことだ。なぜなら、経理をIT化しておけば、毎日の数字は自動的に集計されるからだ。当然、週ごとでも、月ごとでも、三カ月ごとでも、自動的に集計される。人間が介入する箇所はほとんどない。ごく簡単にできる。というより、何もしなくても、自動的にできている。
たとえば、下記。
→ エクセルマクロVBAで集計|月別合計のデータ計算を自動化|サンプル付
これに対しては、次の反論が来るかもしれない。
「経理で一番面倒なのは、毎日の入力なんだよ。ここはそう簡単には自動化できないし、すごく手間がかかるんだよ」
しかし、残念でした。毎日の入力は、どっちみち、毎日やることになる。三カ月ごとに集計するかどうかとは、関係ない。三カ月ごとに集計することの手間は、毎日の手間とは無関係で、独立している。(つまり、上の反論は、反論になっていない。)
さらに、次のことが言える。
「毎日の定型的な業務でさえ、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:別名は「ロボット」)で代行できる」
→ RPAで経理の仕事を変える!自動化できる業務と5つの効果
というわけで、十分なIT化ができていれば、四半期決算を公表することなんて、簡単にできるはずなのだ。
なのに、それができないとしたら、経理のIT化が十分にできていないことになる。
結論。
企業は経理のIT化が十分にできていない。だから、経理にITを導入せよ。そうすれば、四半期決算を出すのも簡単になる。
[ 付記 ]
経理がIT化されていないのは、四半期決算に異を立てる関西の企業だけかもしれない……と思ったのだが、関東の企業もそれに異を立てないのだから、同じ穴のムジナなのだろう。
あるいは、経理のIT化というものを、もともと理解できないような、もうろく爺さんばかりであるのだろうか?
( ※ 本当は、決算を出すのが面倒なんじゃなくて、発表するためのセレモニーが面倒なだけだろう。つまり、「数字は出ているんだけど、それを外部には公表せずに、内部に隠しておきたい」ということなんだろう。記事を読めばわかるが、関西経団連は、徹底的に「情報公開反対」という方針だ。それが本音。)
( ※ その意味では、本項の内容は、ピンボケかも。ただのイヤミだけかな。)
・よって、最低賃金で人力で処理させている現状のほうが雇用も守れてかつ安上がり
って考えている企業が多いのでは?
今日び、中規模以上の企業が経理を情報システム化していない、なんてまず
考えられないでしょうから、御指摘の通り「自社の経営内容をガラス張りに
第三者に見せるなんて御免だ」が本音でしょうね。
ただ、情報システムとしての安定性を考えたら、経理情報の集計・計算を
パソコンとエクセルで行うなんておっかなくてできませんから(企業の
情報処理と個人レベルでのパソコン使用ではハード・ソフトを含めシス
テム全体にかかる負荷が桁違いですから)、これは『現在運用している
経理システムから投資家への公表用にデータを抽出して、それを公表用に
標準化された仕様に自動加工する。』って話でしょうから、技術面から
言えば社内的にはとっくの昔に実現しているはずです。
ただ、『 公表は嫌だ。社員でもないよそ者に内情を見せるのは
真っ平御免だ 』なんでしょうね。
現物の個数や状態を調査する実地棚卸のコストが膨大だからじゃないの
調べたところ、次の通り。
「実地棚卸は最低でも年1回は行うべきです。中には毎月実地棚卸をしたり、四半期ごと、半期ごとに行ったりする会社もあります。」
https://keiriplus.jp/tips/jicchitanaoroshi_syori/
年1回でも済むんだから、理由にならない。
資産や債務の時価の把握やその消滅が面倒なんだよ
そんなの、推定して数字にすれば十分。
年にいっぺん、税務署対策のときだけ、きちんとやればいい。四半期なら、推定値でも、ほぼ正確な数値が出る。(ブレは小さい)
それより、他の項目の変動値の幅の方が、百倍ぐらい大きい。
年にいっぺん、税務署対策のときだけ、きちんとやればいい。四半期なら、推定値でも、ほぼ正確な数値が出る。(ブレは小さい)
管理人さんの非上場中小企業はそれで良くても、コーポレートガバナンス・コードと罰則付きの証券場規則に縛られた上場企業はそうはいかないかと。w
今の世の中、経理・財務の担当者は電卓なんか叩いてなくて、出てきた数字をどう解釈して決算書に反映するかで汗をかいている訳です。💦
それを言うなら、「決算の非公開」の方がよっぽど問題だと思うが。「一部非公開は不公正だから、全部非公開にする」というのは、「駐車違反は悪だから、殺人をするのが正しい」というような理屈。本末転倒。
税務署が相手じゃないんだから、ちょっとぐらいのズレは許容されるでしょう。
東芝なんか、数千億円のズレがあっても、ちっとも処罰されなかった。
相手は監査法人と株主です。厄介ですよこの人達は。
会計士監査であれだぜこれ出せお金も出せとなるので監査印を義務付けなければ割と出すのは簡単なはず
裏帳簿作成が大変なら知らない