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京都では観光客が多すぎて混雑がひどい、という問題は、これまで何度も指摘されてきた。前項(京都にモノレール?)でも言及した。
では、どうすればいいか? これまでいくつか、提案がなされている。
(1) 古都税
寺社への参拝客に課税する、という案がある。これはかつて「古都税」という名で実現した。しかし寺社の側が猛反発して、「参拝停止」という措置を取った。一種のストである。
これには自治体の側が屈服した。以後、寺社への参拝客に課税する、という方針は取られなくなった。
→ 古都保存協力税(古都税) - Wikipedia
これへの対策としては、「国が全国的に課税を実施する」という対策もあるが、宗教法人に弱い自民党が政権を持っている限りは、無理だろう。おまけに、公明党まであるし。
いくら正しくても、実現の可能性は皆無だ。
(2) 宿泊税
宿泊税はすでに実現している。2018年10月から。
京都市は1日から、宿泊税の徴収を始めた。旅館・ホテル、簡易宿所、民泊などの宿泊者から1人1泊当たり最高千円を徴収。年間45億6千万円円の税収を見込み……。
修学旅行など、学校(大学を除く)の行事で宿泊する生徒・児童や、その引率者は対象外とした。
税額は3段階に分かれる。宿泊料金が2万円未満で200円、2万円以上5万円未満で500円、5万円以上で千円を1人1泊当たり徴収する。
( → 2018年10月15日 )
しかし、200円では安すぎるね。前項のコメント欄でも示したが、民泊では1部屋に8人以上を詰め込んで、1人 2500円の宿泊料、というような劣悪な宿もある。金のない観光客ばかりを大量に詰め込むが、観光で金を落とすこともなく、混雑の迷惑ばかりがかかる。
だったら、「金のない観光客を排除して、金のある観光客を優遇する」というふうにした方がいい。つまり、こうだ。
・ 宿泊税は定額とする。
・ 宿泊税は高額とする。
具体的には、「1日1人 2000円ぐらい」が適切だろう。これなら低額の民泊は(相対的に)排除されていく。
さらには、1人あたりの最低の部屋面積を義務づける方がいい。そうすれば、二段ベッドで 2500円、なんていう劣悪な部屋は排除される。
なお、税金を払わないようなヤミ民泊も目立つそうだ。京都市はそういうヤミ民泊を摘発しているそうだ。
→ 遂に京都市でヤミ民泊初摘発!民泊の83%が無許可or不明という調査も
しかし、罰金の額が低い。
平成30年6月15日に住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が施行され、これに合わせて旅館業法が改正され、日本の民泊における新たな枠組みが整備されました。
この中で無許可営業に関する罰則が大幅に強化され、今まで上限3万円だった罰金額が最高100万円に行き上げられ、旅館業法に違反した場合の罰金額も上限2万円から50万円に変わっています。
こうした状況の中で京都市では、全国初のヤミ民泊の摘発、営業停止の緊急命令などが出されています。
50万円や 100万円だったら、1日〜数日間の営業で取り戻せてしまう。「違法行為のやり得」だ。これでは無意味なので、もっと厳しく摘発するべきだ。
・ ヤミ民泊には、永続的な営業停止
・ 営業停止に対する違反者には、家屋没収と懲役刑。
このくらい厳しくしないと、違法行為はなくならないだろう。上の記事では「民泊の83%が無許可or不明」ということだが、ひどすぎる。京都の民泊業は、犯罪の巣窟とすら言えるありさまだ。
罰金を高額にするとともに、摘発の人員を増やすべきだ。罰金をどんどん取れば、自治体の財政も潤う。人員を増やしても、ペイする。
(3) 通行税
宿泊税だけでは、宿泊しないで日帰りにする観光客からは徴税できない。そこで「通行税」という案がある。では、どうやって? 難しそうだが。
具体的には、ETC を使って自動車に課税する、という案がある。しかし ETC を使っていない自動車には無効だ。かといって、検問を設けて、いちいちチェックするのも大変だ。
→ 車の観光客に“通行料”鎌倉・京都で実験へ|日テレNEWS24
そこで、うまい案がある。「駐車場に課税する」という案だ。
鎌倉市は駐車場にかけるみたいな事を言っていましたよ。
地元住人はほとんど地元の時間制の駐車場は使いませんので、
大半は他所からのマイカーになります。
基本的に鎌倉はどのくらい渋滞とかが酷いのかわかりませんが、京都と同じで目的地が鎌倉というマイカーが大半みたいなので、鎌倉市の渋滞を酷くしている=鎌倉へマイカーで観光に来てる客、だからほとんどは駐車場を必要とするから、その駐車場に駐車料金+渋滞税?通行税?みたいな名目で一律400円〜600円ほどを微収するというやり方をとるみたいな事を言ってましたよ。
( → 質問!ITmedia - 京都市はマイカーに通行税をどうしてとらないの? )
これは、なかなかいい案だ。ただし、金額はもっと高くした方がいいだろう。また、バスについては、大幅に高額にした方がいいだろう。
100円/人 × 30人 = 3000円。
駐車場1箇所ごとにこの料金を徴収して、1日に3箇所に駐車するなら、9000円を徴収するわけだ。(バス1台あたり)
金を取られるのは観光バスだけで、路線バスは対象外だから、実質的には通行税になる。
寺社の参拝料に課税することはできなくとも、寺社の駐車場に課税することはできるから、古都税のかわりにもなる。
なお、ついでに、違法駐車に対しては高額の「駐車違反料金」を徴収するといいだろう。
さらに、歩行者に対しても「通行税」を取ってもよさそうだ。たとえば、嵐山のあたりの、観光客が過密すぎるような場所。
ここで、道路の一定領域を区切って、検問所を設けて、「入場券」を発行すればいい。
その根拠は? 公道なんだから、公道の管理者である自治体が「有料道路」にすることぐらいは、何の問題もないはずだ。自動車に対して有料なら、歩行者に対しても有料であっていい。
なお、この区間では、もちろん自動車も有料となる。
【 関連項目 】
この問題(テーマ)については、前に何度か言及したことがある。
(1) 民泊の問題
京都ではタコ部屋みたいな違法民泊が多い、という話題に絞って、詳しく述べた。本項の主題と、一部合致する。
→ 低品質な民泊の問題: Open ブログ
(2) 客の地方分散
観光客の、京都への一極集中をやめて、地方に分散させよ、という基本方針。
→ 観光業の問題: Open ブログ
実は、最近では、この方針は実現しつつあるそうだ。外国人観光客は、有名観光地以外の(めだたない)地方にもどんどん進出しつつあるそうだ。
→ 日本のSAKURA、人気満開 花見の訪日客で1600億円、地方に効果波及:朝日新聞
→ 行きたい温泉 心に残る名湯秘湯の思い出:朝日新聞
(3) モノレール
道路の混雑をなくすために、空中にモノレールを設置せよ、という案。先日の項目。
→ 京都にモノレール?: Open ブログ
(4) 風評被害
「原発事故の危険性を宣伝すればいい。『京都は原発事故の被害が生じる恐れがあって、とても危険です。命が惜しければ、京都に来るのをやめましょう』と宣伝する」
という案。
→ 京都の外国人観光客を減らせ: Open ブログ
これは、実効性のある政策というより、ただのイヤミ。観光客対策に名を借りた、原発政策の批判。 (^^);
一方、洛内にある商業施設の駐車場は一定額以上購入すれば2時間無料などにすると思われます。観光客はその限度額で商業施設、特に中規模生鮮品専用スーパーとかがの駐車場に停めるでしょう。そうすると洛内住民は車を使った買い物が困難になりそうです。
ま、これは会員カードで大規模割引とかすれば解決できるかもしれません。
根本にあるのは洛中の京町家とかの観光資源の維持にお金を払わないフリーライダー的な商人が跋扈していることだと思います。清水の参道や銀閣寺あたりも観光客狙いの一発屋が増えてひどいことになってます。
これらを駆逐することがなかなか難しいのが現状です。
そうか。そこには考えが及ばなかった。ご指摘ありがとうございます。
対策は……
(1) バスのみに、駐車場課税して、自家用車は除く。
(2) 無料駐車は除く。買い物客に無料にする店が該当する。この場合、買物が増えるから、外国人客もいっぱい買い物するようになる。
(3) 京都市民を対象に、駐車場課税は「月額 500円の定額制」にする。1日でも月額でも、どちらも 500円。相対的に、住民の課税額が減る。月額 500円ぐらいなら、自動車課税の一種だと思って、我慢してもらう。(エコカー減税の減税額の方がずっと多いだろうし。)
などがあるけど、どうせ実現性は皆無だな。考えるだけ無駄かも。
駐車違反の罰金を取る方が有効かな。