2019年04月26日

◆ 日産の CVT をどうする?

 日産は、不振の原因である CVT をどうするべきか? 

 ──

 日産の不振の原因は CVT だ、と前項で示した。
 ここでは、その原因を探って、「ゴーンのコストカット主義が原因だ」というふうに指摘した。
 では、原因はそうだとして、対策はどうするべきか? CVT をやめて、トルコンにするべきか?
 この問題について考えよう。

 (1) もともと傍流

 CVT はもともと主流になっていない。世界的に見て、(小型車でなく)中型以上に CVT を使っているのは、日産だけだ。他社はトルコンか DCT を使う。これらを使う車はとても多い。一方で、日産だけは CVT を使う。なぜか? CVT はコストが安いからだ。(性能は低いが。)

 (2) 性能上の限界

 いくらコストが低くても、CVT には性能上の限界がある。小型車には使えても、中型車以上には耐えられないのだ。だから他社は (小型車以外では)CVT を使わない。なのに、日産だけは使う。そのあげく、無理をして、評判を落とした。
 
 (3) 故障が多い

 他社は使わないのに、日産だけは使う。そのすえに、どうなったか? やたらと故障が多発した。異音や振動など。(前項で述べたとおり。)かくて、評判を落として、「低品質」というレッテルを貼られた。最近では、評判の悪さがすっかりひろまったので、業績が大幅に悪化した。(前項で述べたとおり。)

 (4) トルコンに転換? 

 結局、CVT は「安かろう、悪かろう」なのだ。日産みたいな二流会社は使うが、まともな会社ならば使わない。使えば、大幅に業績が悪化するだけだ。
 では、日産はどうするべきか? もちろん CVT をやめるべきだ。では、CVT をやめたとして、そのあとはどうするべきか? それが問題だ。
 常識的には、トルコンか DCT に転換するべきだ。しかし、そのいずれも困難だ。
 トルコンは、日産の子会社であるジヤトコには作れない。作ろうとしても、まともな技術がない。昔は作っていたが、ここ数年、日産が CVT 一辺倒でいたせいで、ジヤトコのトルコン技術はすっかり時代遅れになってしまった。開発費もないし、開発する技術者もいないだろう。自社開発は無理だ。
 となると、世界1であるアイシンから導入するしかない。しかし、それも困難だ。まず、行きがかり上、ライバルであるトヨタの軍門に降るわけには行かない。また、ジヤトコを見捨てるわけにも行かない。さらには、泣いて馬謖(ばしょく)を斬ったとしても、CVT 向けに設計された既存車種にトルコンを導入することは無理だ。やるとしたら、フルモデルチェンジと同時にやるしかないが、今さらトルコン搭載を前提としたフルモデルチェンジなんて、手間がかかりすぎる。常識的には、4年間がかかるが、意思決定を含めて5年はかかる。しかし、5年後にフルモデルチェンジしてトルコン式のガソリン車を導入しても、そのころにはすでにガソリン車が実質的に禁止に近い状態になっている。5年後にはハイブリッド車が標準となっているので、ただのガソリン式のトルコン車なんて、走っているとは思えないのだ。(あるとしても、ごく小さなシェアだけだ。)……要するに、トルコン式の新車を今さら新規開発することなど、ありえない。

 (5) DCT

 では、DCT を使えばいいか? これも望み薄だ。ホンダの開発した DCT は、トラブル続出で、解決にものすごく長い時間と費用がかかった。いや、いまだにまともに解決していないのかもしれない。DCT は、高温多湿である日本では、どうもまともに作動しないらしいのだ。日産は CVT で大きな痛手を負ったが、ホンダもまた DCT で大きな痛手を負ったのだ。こういう歴史からして、「 CVT が駄目なら、DCT にしよう」というふうには行かないのだ。
 別の道を探そうとしても、その道( DCT )は、しょせんは行き止まりなのである。

 ──

 結局、以上のように「別の道」を探そうとしても、どこにも「別の道」などはないとわかった。つまり、「 CVT にかわる変速機」を探そうとしても、どれも不適切なのである。少なくとも、日産という会社にとっては。(トヨタやホンダならば別だが。これらはすでに高性能のトルコン変速機を持っている。)

 では、日産には、なすすべはないのか? いや、ある。こうだ。
 「 CVT にかわる変速機を求めるのではなく、そもそも変速機をまったく使わなければいい」

 これは次のことを意味する。
 「日産は、今後はハイブリッドばかりを作るようにすればいい」

 なぜか? ハイブリッド車は、トヨタ式であれ、日産式( e-power )であれ、変速機を用いないからだ。トヨタ式ならば遊星歯車を使うが、日産式ならば(遊星歯車もなく)モーターだけを使う。モーターが変速機を兼用しているからだ。かくて、変速機なしの自動車となる。これなら、CVT も DCT も トルコンも必要ない。
 というわけで、日産の車は、小型車以外ではすべてハイブリッド( e-power )に転換するべきなのだ。そうすれば、「 CVT の故障で評判が悪い」という問題を回避できる。
 具体的に言えば、アルティマ、マキシマ、インフィニティの各車が該当する。これらはいずれもハイブリッド( e-power )に転換するべきだ。
 ただし例外的に、大排気量の大型車(北米向けの専用車)は、トルコンを使うといいだろう。といっても、トルコンはジヤトコではまともに作れそうにないから、アイシンから導入するといいだろう。(まあ、ジヤトコ製でもいいんですけどね。現状はそうだし。でも、評判はあまり良くない。多段ロックアップになっていないからだ。)
 ※ トルコン式は、多段ロックアップを採用することで、性能が向上した。
   → 参考記事

 ──

 さて。日産はそれでいいとしても、ジヤトコはどうなる? 日産が CVT の採用をやめて、トルコンをアイシンから購入したら、ジヤトコの生産するものはなくなってしまう。それでは、倒産か?
 しかし、日産の子会社であるジヤトコが倒産したら、日産そのものも困ってしまう。さあ。困った。
 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「ジヤトコは、CVT を生産するのをやめて、かわりに( EV や e-power 向けの)モーターを生産すればいい」

 CVT が減産されるのと、モーターが増産されるのとは、たがいに相補的な関係にある。前者が減った分、後者が増える。ならば、ジヤトコそのものが、作る品物を交替すればいいのだ。
 まあ、まったく同じ技術や生産設備や技術者を使うわけではないのだが、かろうじて転換が可能であるぐらいの類似性はある。だから何とかして、転換が可能だろう。
 というわけで、これを私のお薦めとする。



 【 関連サイト 】
  → ニッポンのガラパゴス変速機「CVT」の行方 | 「ベストカー」
  → この手があったか、トヨタの新型CVT:日経
  → 「トヨタ」 が 「マツダ」 を追い始めたようだ! | GAZOO.com



 [ 余談 ]
 「ジャトコ」の正式名は「ジヤトコ」だ。「キャノン」が「キヤノン」であるのと同じ。戦前の書き方だ。創立は 1970年なのに、昔の書法。
 一方、アイシンの正式名は、「アイシン精機」であるが、本項に限っては、その子会社である「アイシン・エィ・ダブリュ」が正式名である。こんな長い名前はいちいち書かないが。
posted by 管理人 at 22:16| Comment(11) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
CVTのセレナからe-powerに乗り換えた者だが、10万キロ走ったCVTでの問題はなかった。
ただしエンジンブレーキがほとんど効かないため海底トンネルの下りではアクセルOFFでも加速しブレーキを踏むこともあった。

一方e-powerはアクセルを戻すと強めの減速がかかるeペダルが秀逸で98%はアクセルベダルのみで運転できている。
電動モーターは加減速の制御性に優れ、急速に内燃機から移行するだろうとの感覚を持った。

ついでに書くなら自働運転(同一車線内維持機能)は強い横風の蛇行補正は現状では無理である。横風は脈動しており
それに過敏に反応していては急ハンドルになってしまう。

それを避けるべくフィルタリング制御をして敢えて緩慢にしてあるはずだ。
画像認識による補正と強弱のある横風では質が違い同じ制御ではできない。道路認識が完璧でない限りクイックに補正するのは危険だ。
(対向車線のある高速道で中央線を誤認識し、中央線の三角ポールにぶつかりそうになったことがある
これを急速に補正すればタコ踊りになる)
Posted by 検証家 at 2019年04月27日 04:13
 日産の自動運転はどんどん向上しているそうです。以下、引用。(デイズの試乗)

 ──

プロパイロットには車線の中央を走行できるようにパワーステアリングを制御する機能もある。これは、初期のプロパイロットを搭載しているセレナなどに比べて、大きく進化している。今回の試乗会で、新型デイズに搭載されている最新のプロパイロットを試すことができたのだが、操舵角が45°くらいに達しても、セレナと違って制御を終了させることはなかった。開発者は「以前に比べると制御が向上して、軽自動車のデイズでも正確な動きをする」とコメントする。新型デイズに搭載されているプロパイロットは、さらに進化している。

 https://kakakumag.com/car/?id=13616
Posted by 管理人 at 2019年04月27日 05:28
V37スカイラインへ搭載されたトランスミッションを調べてから出直せ。
このバカが。
Posted by 通りすがり at 2019年04月27日 10:34
 V37スカイラインへ新たに搭載されたトランスミッションは、確かに優秀ですが、これは日産製ではありません。

> トランスミッションもダイムラー・ベンツの7速ATを搭載している。

 https://autoprove.net/nissan/skyline/148570/

 ここには書いてないが、ベンツのトランスミッションは、基本はアイシン製です。
 「高級車にはアイシン製を使え」
 という本文の記述の通り。何もおかしくない。

 あなたはたぶん、スカイラインだから日産内製だと思ったのだろうが、そうじゃないんです。
 そもそも、エンジンがベンツ製なんだから、変速機も日産製のわけがないが。

 ──

 別途、V6エンジン車に搭載された7速AT もありますが、これは旧型から踏襲したものであり、多段ロックアップ機構のない、旧式化したものです。
  https://autoc-one.jp/nissan/skyline/report-187030/0002.html

 せっかくハイブリッドで省エネしても、AT で燃費が悪化するので、何にもなりません。
 ま、日産の高級車用 AT は、一昔前の旧式化したものだ、と覚えておきましょう。トヨタやホンダの最新式のものとは、大幅に違っています。

 ただし、将来性がないわけじゃない。本文の指摘にしたがって、全車 e-power 方式にすれば、日産は優位に立てます。ただしその前に、大型モーターを開発・生産する必要がある。その生産設備は、ジヤトコの工場を使えばいいだろう。……そこまでちゃんと考えてある。
Posted by 管理人 at 2019年04月27日 11:44
> 10万キロ走ったCVTでの問題はなかった。

 セレナの出力は 137PS なので、このくらいまでならば CVT でも大丈夫のようですね。
 V6 エンジン車だと、300PS 前後になるので、これだと CVT ではトラブルが出るようです。
Posted by 管理人 at 2019年04月27日 11:47
スバルの2LレヴォーグもCVTです。リニアトロックなのでジヤトコのそれとはちょっと違います。

詳細を述べるのは無駄なので、割愛しますが、悪くないです。

Posted by 京都の人 at 2019年04月29日 00:15
V37スカイラインのオーナーですが、V37のV6エンジン車はすべてハイブリッドで、多段ロックアップどころか、トルコンを持たない常時ロックアップとも言えるトランスミッションで、この部分については、制御も含めかなり先進的な物です。減速メカは確かに旧式な7段ATのものを流用しているのでしょうが、減速部のメカロスなど高が知れているでしょう。
燃費がフルハイブリットの割に良くないのは、主にエンジンが旧式のポート式燃料噴射であることと、完全なパラレルハイブリットであることに起因していると思われます。そのおかげで、直噴の欠点である黒煙微粒子の排出もないし、ダイレクト感のあるスポーティな走行が可能です。
Posted by murata at 2019年04月29日 06:39
> トルコンを持たない常時ロックアップとも言えるトランスミッション

 ご指摘ありがとうございました。
 忘れていたが、思い出した。
   https://www.webcg.net/articles/-/30661
 ダブルクラッチによるシステム。電子制御でエンジン回転とトランスミッションを同期させる、コンピュータ制御のマニュアルトランスミッションというタイプ。DCT よりも進んでいるかも。導入当初はギクシャクしていたが、やがてスムーズになった。
 売れてもよさそうだが、売れないのは、ハイブリッドシステムそのものが高価すぎるせいだろう。e-power みたいなメリットがあるわけでもないのに、やたらと高額すぎる。

 少し前のコメントで、V6 をトルコンと見なした記述は間違いだったので、取り消します。
 ただ、「日産には多段ロックアップAT の技術がない」という趣旨自体は、間違いではありません。別の技術を開発したせいかもしれないが。

 で、「ハイブリッド + ダブルクラッチ」と、「ガソリンエンジン + 多段ロックアップ」では、コスト面で、後者の圧勝になるようです。(パラレル・ハイブリッドが高額すぎるので。)

 なお、「ガソリンエンジン + ダブルクラッチ」というのも(理論上は)ありそうだが、意味がない感じもするので、実用化はしないでしょう。

Posted by 管理人 at 2019年04月29日 08:35
> 都合が悪いからってコメントを消さないでね。

何度か消しているけど、都合が悪いからじゃなくて、あまりにも初歩的で、馬鹿馬鹿しいから。
素人が生半可な知識で偉そうに書くのはやめましょう。ここはゴミを書く場所じゃありません。ゴミを捨てないで。

> 反論するなら、消さずに具体的におねがいします。

反論なんかしていません。1+1=2 みたいな初歩的なことを書くな、と言っているだけです。それに反論するはずもない。あなたが勝手に勘違いしているだけ。
Posted by 管理人 at 2019年05月04日 13:04
 お馬鹿な人が何度も繰り返して登校してくるから、教えて上げよう。
 CVT にもトルコンは使われることがあるが、それはクラッチのかわりのため。変速のときには、トルコンは使わない。
   http://www.team-mho.com/torque-cvt666/

 一方、多段ロックアップAT は、有段のギアがあるので、変速のときにトルコンを使う。

 ここでは、CVT とトルコンが対置されているのではなく、トルコン式多段ロックアップの変速装置が対置されている。クラッチ部分ではなく、変速機の部分が対置されている。

 私が本文中で CVT とトルコンを対置させているのは、部品としての CVT とトルコンを対置させているのではなく、方式としての CVT 方式とトルコン方式を(変速の方式として)対置させているだけだ。部品を比べているのではない。
 そこを誤読すると、馬鹿げた揚げ足取りになる。

 要するに、「相手は馬鹿だ」と決めつけた上で、「馬鹿なことを書いている」というふうに、故意に誤読するわけだ。で、勝手に誤読した上で、「相手は馬鹿だ」と決めつける。
 自分が勝手に自己流に誤読しているだけだ、ということには考えが及ばない。
 こういう人は、職場でも一人で浮いてしまうものだ。給料も上がらないし、まっさきにリストラの対象となるタイプ。かわいそうに。

Posted by 管理人 at 2019年05月04日 13:06
 スカイラインのV36 は、7段AT で、2段以上がロックアップ。6段ロックアップだから、多段ロックアップと言えなくもないが、6段AT は多段と言うほどでもない。
 ホンダやトヨタの最新型は、9段、10段のロックアップ AT なので、これらのことを多段ロックアップと言っている。日産には同等のものがない。
Posted by 管理人 at 2019年05月04日 14:29
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

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