──
戦後、通産省は日本の経済を長らく指導してきたが、高度成長期の終了後には、規制緩和の動きもあって、通産省の権限は縮小されていった。その後、経産省になると、政府権力が民間の私企業に介入することはほとんどなくなった。
通常は、それでいい。しかし、平和時にはそれでいいが、戦争時は話が別だ。特に、戦争ではないにせよ、日本企業が外国政府に侵略されるような場合には、話が別だ。こういう場合には、経産省が率先して、日本企業を守るべきだ。
今回もそうだ。フランス政府が日本の私企業(日産)を私物化しようとしている。それも、ペテンみたいな方法で。
「仏政府は、持株会社の少数株主であるだけで、持株会社の過半数の議決権を有し、さらには、日産とルノーの過半数の技議決権を有する」
こうやって、ペテンみたいな方法を駆使することで、日産とルノーを私物化しようとしているわけだ。
( → 日産・ルノー経営統合?: Open ブログ )
そして、こういうことが成立することの根源にあるのは、フランス国内法におけるフロランジュ法(議決権を2倍にする法律)だ。こういうペテンみたいな法律があるせいで、フランス政府による日本企業への侵略行為が起こる。
ならば、こういう場合には、経産省がペテンから日本企業を守るべきだ。
では、どうやって? これについては、前項の最後で、次のように述べた。
日本政府の立法によって、状態を正常化すればいいのだ。具体的には、こうだ。
「外国政府の介入によって、日本企業の経営が過度に左右される場合には、政府が外国政府の介入を認定することによって、親企業の株式保有を無効化することができる」
( → 日産とルノーは統合すべきだ: Open ブログ )
これは、原理的にはいいのだが、ちょっと乱暴かもしれない。「私企業の株式保有を無効化する」というのは、私有財産権の否定に当たるから、日本憲法に反する。また、道理も通らない。困った。
そこで、困ったときの Openブログ。よく考えたすえ、うまい方法が見つかった。こうだ。
「ペテンみたいな法律に対しては、ペテンを無効化する(相殺する)法律を制度化すればいい」
具体的にはこうだ。
「フロランジュ法で2倍になった議決権については、その効果を半減させればいい」
現実には、きっちり半減する必要はなく、懲罰の形で、過剰に減らしていい。具体的には、こうだ。
「フロランジュ法で2倍になった議決権を含む会社の議決権については、その効果を半減させる」
ルノーにおける議決権は、フランス政府の分が2倍になっている。実際には 15% しか保有していないのに、もっと多くの議決権を有するようになっている。(他の保有者もいるので、15% の2倍にあたる 30% になるわけではないが。)
こういう会社(つまりルノー)については、特別に指定会社とする。そして、指定会社(ルノー)の保有する株式(日産の 43.4% )については、その議決権を半減する。( 21.7% に下げる)。こうして、ルノーの議決権を大幅に減らすことで、フランス政府による日産支配を阻止する。( 43.4% だと実質的に過半数の効力を持つが、21.7% ならば過半数には程遠い。)
なお、フロランジュ法が適用されるのは、フランス国内の会社すべてである。それらのすべてについて新法(上記の半減措置)を適用するのは意味がない。
そこで、新法を適用するには、一定の条件を課する。次のように。
・ フランス政府の株式保有率が 15% 以上あること。
・ フランス企業による日本企業の株式保有率が 33% 以上あること。
この2条件をクリアした場合のみ、指定会社と見なされて、「議決権の半減」という措置が取られる。
それが実際に適用されるのは、もちろん、ルノーだけだ。
──
ともあれ、こういう形で、フロランジュ法というペテンみたいな法律の適用を回避することができる。つまり、フランス政府による日本企業の私物化を阻止できる。
これこそ、正義というものだ。経産省は、そういう正義を実現するべきだ。それが、経産省の役割だろう。「無用の長物」扱いされてきた経産省が、一躍、「日本の会社を守る、正義の味方」として名を上げることができるのだ。
ついでだが、こういう立法化は、自民党よりも立憲民主党あたりがやるべきだ。そうすれば、企業は「自民党よりも日本企業のためになるな」と思って、感心するだろう。そして、「自民党ばっかりに献金するのはやめよう。もっと野党にも献金しよう」と思うようになるかもしれない。
立憲民主党は、共産党じゃないんだから、大企業を敵視するよりは、「外国に侵略されかかった大企業」を守る方がいい。
ともあれ、経産省であれ、立憲民主党であれ、外部の侵略から日本企業を守ることで、正義のヒーローの役割を果たすべきだ。いわば、「トクサツガガガ」のエマージェーソンみたいに。
【 関連項目 】
→ 日産とルノーは統合すべきだ: Open ブログ
※ 本項の話と似た分野の話をしているように見えるが、実は、話している内容は、まったく別のことである。話は重ならないので、別のことだと割り切ってほしい。
[ 余談 ]
本文中には、(数字の計算で)間違いがあります。どこが間違いでしょう?
正解は、下記。
↓
↓
↓
43.4% が半減して 21.7% になる、というのが誤り。
この場合、全体は 100%ではなく、(21.7%を引いた) 78.3% である。したがって、株の価値が半分になったあとの保有比率(議決権比率)は、 21.7/100 でなく、 21.7/78.3 である。その値は 27.7% である。
したがって、43.4% から半減したあとの比率は、21.7%でなく、27.7%である。
今思えば、日産が傾いた時、ゴーン氏より豊田章夫氏を招聘して再建の舵取りを依頼するのも一つの方策だったかも。引き受けたかどうかは知りませんけど。
ただし、2〜3割の株を買うぐらいならできそうだ。ルノーの株は安いしね。ルノーの時価総額 2.2兆円ぐらいで、ルノーの保有する日産株の価値が 1.5兆円ぐらいだから、ルノー本体の価値は 0.7兆円ぐらい。トヨタなら、簡単に買える。
ただし、日産が融資して三菱が買う方がいい。前項に書いてある通り。
化学系の企業で、国内市場では寡占になっても国際的なシェアはさほどではないため合併が認められた事例があったような。
定かな記憶ではありませんけど。
国際的にも寡占同様になりますよ。
トヨタは、マツダやスバルやスズキとも提携していて、1400万台ぐらい。日産ルノー三菱は 1000万台。合計して 2400万台。次がGMとVWの 1000万台だから、大差になる。
日本で認められても、他の国で認められないでしょう。
あと、国内ではホンダ以外はすべてトヨタグループになってしまう。9割という、超寡占だな。
国際的な寡占が生じるようでは難しいのは確かです。ただ、軽自動車に限れば国内市場はトヨタ、スズキでシェア70%超との数字を見ました(他社OEM分含む)。
軽自動車という日本特有の車種についての話ではあります。ただ、これが独禁法上問題とされていないなら、国内的にはトヨタと日産の部分的な提携もありえない話ではないかと。仏政府による日産支配が更に進みそうな場合の、ホワイトナイト的な役割をトヨタに期待できないだろうか、ということです。
三菱や経産省より当てになる気がします。国内であってもそういった動きをチラつかせれば仏政府を牽制できるのではないかと。
ルノー、日産の対等出資による共同持株会社でルノー、日産を傘下に置くという提案がルノー側からあったようです。日産は拒否しているようですが、単体でどこまで抗えるのか...新たなスキームが必要です。
ダイハツとスズキは競争しているし、トヨタとスズキは資本支配の関係にはない。
> トヨタと日産の部分的な提携
ちょっとだけならあるかもね。だけど、日産が厭がる。阪神球団が巨人に助けてもらうようなものだ。むしろ、三菱を使う方がずっと賢明だ。