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Google マップが劇的に悪化した。これまではゼンリンの技術を使っていたのだが、新たに Google が独自の地図を使い始めたせい。
→ 「Googleマップが劣化した」不満の声が相次ぐ ゼンリンとの契約解除で日本地図データを自社製に変更か
→ 「日本の地図を作っているのは俺たちだ!」 グーグルマップ混乱でわかった「ゼンリン」の底力
ここまでは、大きく話題になったので、知っている人が多いだろう。
ただ、それとは別に、細かな情報を三つ加えておく。
(1) Yahoo 地図との差
「 Google マップは(業務用で)使い物にならないので、Yahoo 地図にした」
と述べた人がいる。では、具体的には、どういう違いがあるのか?
パッと見た目では、Google の方がずっと見やすい。色が見やすいからだ。( Yahoo の方は、色弱対策がなされていない感じで、どうにも見やすさが足りない。)
道の角は、Google はみんな丸い角になってしまって、実際には角張った角であっても、正確に反映されない。(航空写真で角張った角であることが確認できることも多い。)
だが、最も重要なのは、次のことだ。
「 Google マップでは、地番の建物番号が記載されていない」
たとえば、「1丁目22番地33号」という建物があったとする。Yahoo地図では、地図にこの番号が記載されているので、どの建物が該当する建物か、きちんとわかる。
一方、Google マップでは、「1丁目22番地」までは表示されるが、「33号」という建物番号は表示されない。
これじゃ、業務用に使えませんね。宅配するときなども、建物番号がわからないようでは、困ってしまう。
なお、検索で「**区**町 1丁目22番地33号」というふうに入力すれば、該当の建物にマークが表示される。その意味で、建物番号をGoogle 自身は持っている。たぶんこれは、ゼンリン時代のデータを横流ししているのだろう。(ひょっとしたら無断使用かも……と思ったが、そうでもないようだ。 → 参考情報 )
ただ、いくらマークで表示されるとしても、地図上には建物番号は表示されないので、その建物が本当に「1丁目22番地33号」という建物であるのかは、保証されない。
というわけで、建物番号まで知りたいときには、Yahoo地図を使うしかないようだ。
( ※ この意味では、Bing 地図 も物足りない。Bing 地図 は、見やすさの点では、Yahoo地図 よりもいいんだけどね。)
→ Google マップ
→ Yahoo地図
→ Bing 地図
(2) ゼンリンの新規提携先
ゼンリンは、Google とは別れたが、新たな相手とくっついた。米国のマップボックスだ。
《 米マップボックス、ゼンリンと協業 日本市場を開拓 》
地図作製サービスの米マップボックスは、地図情報大手のゼンリンから地図データ提供を受けると発表した。同社は地図を簡単に加工できるツールを提供しており、ソフトバンクグループ(SBG)の「ビジョン・ファンド」が出資している。ゼンリンと組むことで、日本市場を開拓する狙いがありそうだ。
( → 日本経済新聞 )
ただし、試しに使ってみたところ、現時点ではまったく実用レベルになっていない。地図データがまったく不足している。今はまだゼンリンの地図は使われていない。日本語には対応しているが、オモチャみたいな貧弱なデータしか入っていない。
(3) インクリメントP
Google マップやゼンリンに対抗するもの。パイオニアの子会社だが、この分野では初期から活動していて、(アップルなど)多くの企業にデータを提供しているので、非常に有望な企業である。
→ パイオニアの挫折:下 地球150周分のデータ、切り札:朝日新聞
アップルがどうして Google マップみたいな地図を手に入れたかというと、インクリメントPの地図を使っているからなのだ。
逆に言えば、アップルの地図を使えば、インクリメントPを利用できるわけだ。
ただし、アップルの地図を使える機種は、アップルの端末に限られる。( Windows や Android では無理。)
また、(私の手元の iPad で確認したところ)、建物番号が表示されないので、この点では Google マップと同じだ。ただし、角はきちんと角張って表示されるので、この点では少し上だ。
一方で、地図から航空写真に転換することができない、という重大な難点もある。
現状では、あまり有益ではないね。Yahoo地図には大きく劣る。
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結論。
「 Yahoo地図 を使え」
【 追記 】
ゼンリンのデータを使いたいときには、どうすればいいか? マップボックスのサービスを待てばいいか?
いや。実は、Yahoo地図は、ゼンリンのデータを使っているそうだ。さらに、アルプス社から引き継いだ人員が独自の改良をしているそうだ。
→ アルプス社時代からの“地図屋”が改良を重ねる「Yahoo!地図」のUIと図式、最新データは検索トレンドもとに独自更新
ゼンリンのデータが利用できるのだから、「 Yahoo地図 を使え」という結論で間違っていないわけだ。
ZENRINデータだし。