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小説「大聖堂」というのがある。全世界で 2000万部突破の、ウルトラ級の大ベストセラー。
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面白いという点では、私の生涯ベスト1だ、とも言える。「巻を措く能わず」という感じで、ページを繰るのももどかしい思いで、わくわくしながら読んだ。こんなに面白い小説は滅多にない。
文学性という意味では、ちょっと軽い感じがするので、純文学の大作とは違う。(文章や人間造形はやや甘い。)
一方、ストーリーばかりを追って人間性がおろそかになるエンターテインメントとも違う。人間の強い情念・情熱が圧倒的な迫力で描写される。その意味ではまさしく「文学」である。
文学とエンターテインメントの中間に位置するような作品という意味で、「ロマン」という言葉がふさわしい感じだ。
似た作品で言うと、……
「ジャン・クリストフ」は、かなり印象が似ている。ただしこちらは、文学性がかなりある。こっちはノーベル賞級だ。ただし、ロマンの雰囲気は弱い。
「嵐が丘」は、迫力が似ている。ただしこちらは人間性の深みが恐ろしいほどだ。文学としてのレベルは圧倒的に上で、ノーベル賞級を越えている。この分野では歴代1位。ただしロマンの雰囲気は弱い。登場人物も少ないし、巻数も少ない。
「ノルウェイの森」は、面白さの点では匹敵しそうだが、話があまりにも小市民的であって、ロマンの雰囲気は皆無だ。
「ねじまき鳥」は、ロマンの雰囲気があって、文学性も高いのだが、エンターテインメントふうの面白さは稀薄だ。「面白い」という言葉は適さない感じだ。
以上で、いくつかの小説を紹介したが、いずれも傑作ぞろいだ。生涯で是非とも読んでおくべき小説だ。(特に、若いうちに。)
※ 書籍は、昔は新潮社から出ていたが、その後に版権がソフトバンク文庫に移った。新潮社版は、今では絶版となっている。
※ ソフトバンクに移ったのは、小説「大聖堂」の続編が、こちらから出版されるようになったからだ。
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これ、私も買ったんだけど、忙しくて、読む時間がないまま、本棚で眠っている。年を食うと、読書の時間を確保しにくくなるね。特に、大作は大変だ。