2019年04月11日

◆ 経営は適材適所

 「経営は適材適所」とはしばしば言われることだが、その具体的な成功例。

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 「経営は適材適所」とはしばしば言われることだが、具体的にはどうするかは、あまり有益な話を聞かない。しかし朝日新聞に、それを示す記事があった。
  → (凄腕しごとにん)大塚三紀子さん 得意分野を見いだした社員数、300人以上:朝日新聞

 それぞれの社員の「長所」を調べて、その長所に適した部署に配置するそうだ。
 スタッフの面接の際に必ず聞く質問がある。「仕事で2人以上に褒められたあなたのいいところはなんですか」。その人の持つ長所を掘り下げ、採用後の担当を決める。
 店ごとの勉強会では、店員がお互いを観察して、ノートに長所を書き出してもらう。各店長はこれを参考に配置を考える。

 という方針だ。この方針の下で、具体的な例もある。
 注文取りや配膳をするホールスタッフとして入社した女性は、観葉植物や小物など店内を彩る雑貨の仕入れ担当に起用した。雑貨が大好きで、センスもよかったからだ。外部のデザイナーに高いお金を払うことなく、おしゃれな空間を演出できている。整理整頓が得意なスタッフには、店のマニュアルづくりを一手に担わせた。

 まさしく、長所を生かしている。「好きこそものの上手なれ」を地で行く感じだ。

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 「何を当たり前のことを」
 と思う人が多そうだが、実は、これは通常の経営方針とは正反対である。通常の経営方針とは、こうだ。
  ・ 各人をローテーションで部署異動させる。
  ・ その際、各人の個性や能力差は見ない。


 何を馬鹿なことをやっているんだ、と思いそうだが、やっている会社側は、これが合理的だと思っている。
  ・ 個人差を無視することこそ、公平かつ客観的である。
  ・ 単に「成功したか/失敗したか」だけを見る。
  ・ 成功した者は、優秀なので、高評価する。
   失敗した者は、劣悪なので、低評価する。
   こうして正しく能力を評価する。
  ・ 能力に応じて給料を与える成果主義・能力主義。
  ・ 優秀な者には高給を払い、無能な者には薄給にする。
   これによって競争原理が働くので、全体が向上する。


 これはつまりは、「市場原理」というやつだ。それを労働管理でもやろうとする。それによって確認の能力は最大限に発揮されて、会社の業績は向上する……というわけだ。
 こういう発想は、「能力主義」と呼ばれ、日本の経営者にとっては標準的なものだ。
 で、ここではもちろん、「個人の能力差」とか「適性」とかは考慮されない。単に「全員を海に突き落として、生き残ったものだけを選べば、適者生存でうまく行くさ」というような発想を取る。
 その結果は? ライオンやトラのような社員は、「海を泳げないから」という理由で排除される。サンマやマグロのような社員は、「陸上では干上がってしまうから」という理由で排除される。「ライオンやトラは陸上で活躍できるし、サンマやマグロは水中で活躍できる」というような「個別の適性」などはまったく考慮されないのだ。
 これが「日本式経営」というやつだ。で、その結果がどうなったかというと、富士通・東芝・NEC などを見ればわかる。
  → 電機産業の没落: Open ブログ

 そして、これと対照的なことをやるのが、冒頭の会社だ。この会社は急成長しているそうだ。
 大阪・阿倍野で創業して17年。4年前に東京・丸の内に進出した。どの店も昼時には行列ができ、多くの客でにぎわう。

 とのことだ。



 [ 付記 ]
 日本企業に特質的な経営の一つに、「転勤」というやつがある。全国各地を転勤させて、持ち家の所有を不可能にする。また、共稼ぎの家庭には、「単身赴任」や「妻の離職」を強制する。もう、メチャクチャであろう。こんなことをやっていれば、日本全体の生産性が低下するばかりだ。
  → 転勤なら辞めます!厚労省が企業に制度見直し指針活用呼びかけ | NHK
  → 転勤なら辞めます!厚労省が企業に制度見直し指針活用呼びかけ | NHK
  → 「異動させること」自体を目的にした人事異動が日本の生産性を下げている

 ちなみに、米国では転勤なんてものはない。転勤を命じられたら、さっさと退職して、同じ地域にある同業他社に転職するだけだ。ま、当り前ですね。

 日本では「終身雇用」が前提となっているので、離職しにくくて、転職もしにくい。そのせいで、転勤の強制がまかり通っている。その結果、その会社では自社の都合(人事の停滞を防ぐこと)を通せるが、日本全体では「生産性の低下」という弊害がひどくなる。
 そもそも、自社に限っても、単身赴任などのせいで、生産性が低下する。
 「人事の停滞を防ぐためには、生産性の低下が大きくても構わない」
 というわけだ。しかも、
 「一つの部局で専門的な人材を育てる」
 という発想もない。かくて、
 「どの分野でも半人前みたいな器用貧乏な社員」
 ばかりが大量に存在するようになる。ひどいものだ。これが日本経営だ。
 冒頭記事のような「長所を生かしている専門的能力の開発」というのとは、まったく逆だ、とわかる。
 こういう馬鹿経営者ばかりだから、日本企業はどんどんつぶれていく。



 【 関連サイト 】

 日本企業の駄目なところを全部集めたような事例もある。大評判を呼んだ記事。
  → 5年いた富士通を退職した理由 (増田)
スキルと無関係の異動  
本人の志向やスキルとはだいたい無関係に異動がきまる。

 これが日本企業というものだ。どこでもそうですね。
 
 別の例で、次の記事もある。やはり、駄目な例。
  → 富士通に入社して10年が経った - blog
  → 富士通に入社して13年が経った - blog
posted by 管理人 at 23:22| Comment(1) | 一般(雑学)5 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> 日本では「終身雇用」が前提となっているので、

現実問題として終身雇用が崩れているのに、「終身雇用前提の制度」が生き残っています。終身雇用と欧米方式の悪いとこ取りで、日本の経営者のオツムが知れます。
Posted by 名無しの通りすがり at 2019年04月12日 17:24
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