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朝日のコラム記事から引用しよう。
キャンペーンで離脱派は、テレビCMを使って「離脱すれば、英国がEUに拠出している週3億5000万ポンドを国営医療制度へ回せる」と繰り返し訴えました。ですがこれに対し、「EUから英国への払戻金を含めておらず誇張された額」という声も上がっていました。
実際、ジョンソン氏とともに離脱の旗振り役を務めていた英国独立党(UKIP)のファラージ党首(当時)は投票後、この過ちを事実上認めました。
( → (投資透視)教授の見方 どうなる?ブレグジット 「合意なき離脱」なら市場混乱:朝日新聞 )
払う金は勘定に入れるが、もらう金は勘定に入れない……というわけだ。
右手では 100円を払い、左手では100円をもらう。そのとき、「 100円を払ったから、100円を損したぞ。100円のマイナスだ。大損害だ!」と喚き立てる……というわけだ。
これが離脱派の論理だった。インチキ論理。
かくて、このインチキ論理に従って、国民投票では離脱が多数派となったわけだ。国民がペテン師にだまされたわけ。
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しかしまあ、イギリスを笑えない。
トランプというペテン師にだまされた米国民。
安倍というペテン師にだまされた日本国民。
どっちも似たり寄ったりだ。同病相憐れむという感じかな。
(安倍首相は)「雰囲気がどうであれ、その場において、政治家が語る言葉は真実を語らなければならない」と語った。
( → 朝日新聞 )
これには「おまえが言うな」「漫才かよ」と、はてなブックマークでは大批判の嵐。
→ はてなブックマーク
【 関連サイト 】
→ EUの財政 − イギリスの優遇策
これによると……
イギリスは、実際には、払う金の方がもらう金よりも多いので、赤字である。ただし、その額は不当な金額ではない。ドイツやフランスのような先進国と同等である。
これは単に、「先進国は損をして、スペインやギリシャの後進国は得をする」というふうになっているだけだ。その分の損得はあるが、ただの金持ち課税というのに等しい。イギリスが特に損しているわけではない。
【 補説 】
EU 離脱問題は迷走状態で、先を見通しにくくなっている。「合意なき離脱」という最悪の事態が現実化しそうだ。(誰もが反対している落とし穴に、あえて嵌まりそうになっている。)
その原因はすべて、メイ首相にある。1年前に、ろくに見通しが立たないまま、「1年後の離脱」を通告したからだ。
最終的に「合意なき離脱」に至るとしても、「わけもなくその落とし穴に落ち込む」わけではない。その落とし穴を設定したのは、自分自身である。自分で勝手に落とし穴を設定して、自分で勝手にそこに向かいつつあるだけだ。これはもう、ほとんど自殺行為みたいなものだ。
メイ首相が続投する限りは、その落とし穴に落ち込む可能性は十分に高い。そこを回避しようとするための行動を取ろうともしていないのだ。むしろ、あえてそこをめざすかのように、他の案をすべて否定しようとしている。
とすれば、現実的な解決策はただ一つ。メイ首相の退陣だろう。彼女がこれを決めるか、総選挙を決めるか、そのどちらかだ。(どっちにしても退陣と同じ結果になるだろう。選挙で勝てるとは思えないからだ。)
私の見通しとしては、「合意なき離脱」か「総選挙」かの、二者択一だ。それを決めるのはメイ首相の腹三寸だ。どっちにするかは、勝手にしてくれ。
もう一つ、最も合理的な策は、「長期の離脱延期」だが、メイ首相がこれを選択するとは思えない。(仮にそんなまともな選択ができるくらいなら[≒ それだけの思考力があるなら]、とっくに問題は解決しているはずだからだ。まともな選択をするために自説を曲げるくらいなら、首相の椅子を放り出すだろう。頭の堅い人間というのは、そういうものである。)
以上が私の見通しだ。