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朝日の記事にある。
紙の教科書の内容をタブレット端末などに取り込んだ、児童生徒用の「デジタル教科書」が4月から、全国の学校の授業で使えるようになる。積極的な学びにつながる効果があるとされ、障害がある子どもの学習支援にも有効なため、先進的に使っている学校からは評価する声が上がる。
( → デジタル教科書が解禁へ PC少ない埼玉、普及に課題:朝日新聞 )
今春から使用できる「学習者用デジタル教科書」は、紙の教科書と同じ内容がタブレット端末などに収められている。児童生徒が1人1台のタブレットを使うことが前提で、教師が使って見せる「指導者用デジタル教科書」や、教室の大きな画面で操作する「電子黒板」とは異なる。
教科書がデジタル化されることで、紙ではできない様々なことが可能になる。例えば、「拡大」すれば、スマートフォンの画面を拡大するように、教科書の文や写真を拡大して見ることができる。「マーカー」機能なら大切な部分に何度も違う色で印をつけられ、「書き込み」では繰り返し書き加えることができる。
さらに、「デジタル教材」とされるツールと一体的に使えば、より多機能になる。英語の教科書の会話などをネイティブ・スピーカーの声と同期させたり、理科実験の手順などを動画で見たりすることが想定される。アニメーションや3次元のグラフィックを使えば、紙の上では描けない複雑な構図も説明しやすくなる。生徒同士や、教師と生徒の間で情報を共有すれば、授業での発表やグループ学習などで、視覚的に様々な意見や解法を見せることも可能だ。
( → (教育考差点)デジタル教科書、変わる授業:朝日新聞 )
なるほど。いろいろと便利なようですね。
ただ、どうせなら、お仕着せのデータだけでなく、教師の自作データも使えるようにした方がいい。そうすれば、いちいち黒板の板書をノートに書き写す必要はなくなる。教師が板書のデータを公開するだけで済む。
黒板の板書をノートに書き写すのって、すごく効率が悪いんですよね。これをやめないと、学習効率が下がる。
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さらに、機械不足の問題もある。
ただ、端末などの整備状況は自治体によって異なり、普及には課題が残る。
課題は環境整備だ。デジタル教科書を使うためには「クラスで1人1台の端末」の条件をクリアしなければならないが、無償給与される紙の教科書と異なり、端末購入には自治体の予算が必要になる。戸田市は18年度から全小学校に3クラス当たり1クラス分の端末を導入したが、1人1台はないため、クラス同士で共有しなければならず、使える授業が限られる。
( → デジタル教科書が解禁へ PC少ない埼玉、普及に課題:朝日新聞 )
機械が不足するのなら、小学校の低学年での利用をやめればいい。どうせ体育や音楽や美術の時間には、ほとんど使う機会はないのだから、3分の2ぐらいの科目でしか使わない。
とすれば、小学校の全学年の半分(4〜6年生)を対象として、その3分の2の時間で使えば、全体の3分の1となるから、機械は足りている計算だ。
「戸田市は18年度から全小学校に3クラス当たり1クラス分の端末を導入したが、1人1台はないため、クラス同士で共有しなければならず、使える授業が限られる」
ということだが、こういう問題は発生しなくなるはずだ。
だいたい、小学校の1〜3年生にデジタル教科書なんかは使わせなくてもいい。機械がないのなら、無理に使う必要はない。機械を買える家庭の子供だけが使えばいい。
月額 980円でネット授業を受けられる、というサービスもあって、人気だ。家のそばの塾に通うよりも安上がりだから、これはこれで有益だろう。
→ 月980円で見放題のネット授業を生んだ「教育格差解消」というロマン
なお、中古のタブレットは、ソフマップ で 2万円前後で買える。あまり安すぎる物(1万円前後)だと、「安物買いの銭失い」になるが、中古で2万円ぐらいなら、何とか実用になりそうだと思える。
※ ただし Android に限る。Apple 製品はもっと高価になる。
>積極的な学びにつながる効果があるとされ、障害がある子どもの学習支援にも有効なため、...
について、障害がある子どもの学習支援に有用であるのは確かではあります。
ただ、一般的な児童への”積極的な学びにつながる効果”を挙げられても、それをどのように量るのか、甚だ疑問です。電子黒板も、佐賀県の高校のタブレット端末も、導入の効果は結局どうだったのか。
佐賀県県立高校タブレットその後http://decisionheight.hatenablog.com/entry/2017/03/24/171517
効果を量り、それを常にフィードバックしていく仕組みを整えない限り、何ら意味がないと考えます。目新しいデジタル機器さえ導入すれば効果が上がるとしていたら大間違いです。
例えば、学力差のある学校を二校用意してタブレット端末の導入で学力差は縮むのか、拡がるか、或いは、同一の効果を得るために必要な学習時間の評価など...
板書をノートに写すことは非生産的ですが、その程度ならプリントを配布するなどして補えるのではないかと。勿論、タブレット端末を教育に活用することの効果を否定するものではありません。ソフトやコンテンツ次第では有用であるのはその通りです。
ところで、中古のタブレットはどうなんでしょうか。学校へのPC導入について触れらtれた以前のエントリで、リース落ちの中古PCを提案した際、管理人さんは否定的でした。性能と台数が揃えられない、という理由だったと思います。
AmazonのKindle Fire HDあたりでは能力不足でしょうか。
そうですね。だから、学校でそろえるのではなく、個人で買う場合だけですね。
その少し前に「機械を買える家庭の子供だけが使えばいい」と書いてある通り。読めばわかるとおり。
Google のアプリを使えるようにするには、手間が必要だ。
https://nikko.us/18/149.html
Google 謹製のアプリは使えないことが多いらしい。地図は、もともと GPS がないので、まともに使えない。音声入力は、手間をかければ、可能だ。
https://diyjournal.net/3154.html
価格は激安だ。ただし Amazonでの購入を見込んで割引価格になっているので、ユーザーのクレカと結びつくことが必要となる。学校が大量購入することは不可能。
AndroidではないのでLinux系とはいえGoogleのアプリはそのまま使えないかもしれませんし、授業でGoogleのアプリを使うことは想定していませんでした。Fire OS向けに教科書ソフトを改変して、或いは新規に開発しての使用を想定していました。共にLinux系ですから移植は技術的には難しくはないだろうという認識です。Andoroid用とi-OS用を作り分ける程度かと。
>ユーザーのクレカと結びつくことが必要となる。
ヤフオクで結構出回っているのを見ると必ずしも必要ではないかと。購入に関しては、管理人さんの"中古のタブレット購入..."に対してのもので新品でも安価なタブレットが入手できるのでは、ということです。
大量購入に関しては、教育委員会とAmazonの交渉次第ではないでしょうか。かつてAppleは教育機関、学生向けに安価にPCをばらまきましたし、マイクロソフトはアカデミックパックという名でOfficeソフトを格安で販売しているはずです。両方共非ユーザーなので正確ではないかもしれませんが。いずれも未来のユーザー確保が目的だとみています。
Amazonが将来の顧客を囲い込むために、下手したら無償に近い価格で生徒にばらまくこともありえない話ではないと思います。
移植なんかしなくても、Android の OS は無償公開されているので、それをそのまま使っているのが FireOS です。だから移植の必要はない。
もともとが Linux なので、それを改変した Android OS も、無償公開が義務づけられています。それを少しいじった FireOS も無償公開が義務づけられています。
OS の上の付加機能が Android の独自機能で、ここは有償となる。そのとき Google が変な付帯条件を付けて、高額の料金をハードメーカーから取っていたので、米国で独禁法違反として訴えられたことがある。1〜2年ぐらい前に、話題になった。
FireOS は、もともと外部アプリを使う機能がないので、「移植」という概念そのものが成立しない。うまく裏口を開けて、Android の OS に直接つなぐことで、アプリが使えるようになる。
> 無償に近い価格で生徒にばらまく
生徒は法的にクレカが使えない(お小遣いも少額である)ので、アマゾンの商品を買ってくれません。したがって学校経由なら、3万円以上にするしかないでしょう。
親が買うなら、親はクレカを使えるので、Amazonはダンピング価格で売りつけることができます。安く売って、あとで別商品をいっぱい買わせる。特に、電子書籍を。
アプリについてです。Fire OSで動作しないGoogleアプリがあるという話だったので。GoogleプレイにあるアプリをFireタブレットのリポジトリに移植するのは難しくないだろう、という意味です。
大量購入に関しては自治体か学校単位が法人窓口となってAmazonから購入すれば、各個人のクレジットカード登録の必要はないはずです。その後各々がカード登録するかどうかは制限されない、こういった条件下ならAmazonも将来の顧客確保のために低価格での販売を受け入れるのでは。その判断はAmazon次第です。
今更ではありますけど。