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スルガ銀行とレオパレス21 は、近年になって発覚した詐欺会社。
スルガ銀行は、ひところは「優良銀行だ」と、金融庁から大きく持ち上げられたこともあった。金融庁が詐欺会社を称賛するという間抜けぶり。
→ スルガ銀行で、国が詐欺に加担: Open ブログ
→ スルガ銀行の不正と金融庁: Open ブログ
レオパレス21 は、偽装して建築したあげく、建物を補修する資金がなくなって、倒産間近であるそうだ。
→ レオパレス、破綻は秒読みか。オーナー会は「改修工事完了まで会社が持たない」と判断
こういう詐欺会社はひどいものだ。ただ、こういう会社があったからには、発覚する前に気づくべきだった。誰が? 私が。普段から「詐欺師の指摘・警告」を標榜しているんだから、こういう詐欺会社には気づくべきだった。
ま、たいして話題になっていなかったし、あっさり見過ごしていたのではあるが、今にして思えば、気づくチャンスはあった。
スルガ銀行については、「この銀行だけうまいことやっている」という状況だったのだから、「1社だけうまいことやれるような、うまい商売なんてあり得ない」と気づくべきだった。
レオパレス21 は、「長期の家賃保証」なんて、不確実なことについて保証することなんだから、そんな不安定なことにはリスクがある、と気づくべきだった。これはバブル(および不良債権)と同様だ、と気づくべきだった。(実際にはさらにひどくて、偽装まで含まれていたが。)
こういうことがあるのだから、あらかじめ気づくことは可能だった。今にして思えば、残念でならない。おのれの間抜けさ加減に腹が立つ、というようなありさまだ。猛省する必要がありそうだ。
今後は、自惚れたりしないで、おのれの馬鹿さ加減を自覚した上で、同じ失敗を繰り返さないようにしたいと存じます。
ともあれ、反省の言葉をここに記します。
一方で、日産ゴーンの話題もある。ここでは、新たに次の記事が出た。
日産自動車は、前会長のカルロス・ゴーン被告の子供4人全員が通った米スタンフォード大学の授業料を2004−15年にかけて支払っていたことが、事情に詳しい関係者への取材で明らかになった。
情報が非公開だとして匿名を条件に述べた関係者の1人によると、日産による授業料負担はゴーン被告が1999年に同社最高経営責任者(CEO)として起用された際の雇用契約で福利厚生に含まれていたもの。こうした福利厚生は最高幹部の間でも珍しく、スタンフォード大学が04ー15年時に公表していた授業料をベースに換算すると、4人分の金額は合計で少なくとも60万1000ドル(約6640万円)相当に上る。
米国の法律では幹部の福利厚生は課税対象の報酬とみなされており、米国で上場する企業は投資家への報告義務がある。米証券取引委員会(SEC)は日産が幹部報酬を適切に開示していたかどうかを巡り調査に乗り出した。
( → 日産自:ゴーン被告の子供4人の米大学授業料を負担していた−関係者 - Bloomberg )
「課税対象の報酬」ということだから、どうやら脱税でも摘発されそうな雲行きだ。
さて。このような「簿外報酬」というものは、どこが悪いのかわかりにくいようだ。
「どうせただの報酬だろ。記載したかどうかという違いがあるだけで、金を盗んだわけじゃない。たいして問題ではない。どうせ自分に報酬の決定権があるんだから、すべては合法である」
こういうふうに思っている人が多いようだ。(はてなブックマークでも同様のコメントがある。)
そこで、わかりやすく解説しておこう。
「最高経営者には報酬決定の権限があるから、勝手に決めていい」
ということはない。最高経営者が好き勝手に会社の金を使っていいわけではないのだ。
なぜか? その根源には、「会社は株主のものだ」ということがある。会社は株主のものなのだから、経営者が好き勝手にしていいわけではないのだ。経営者は単に経営を委託されているだけで、金を私物化していいわけではない。
経営者の報酬についても、株主総会に報告して、株主総会の承認を得る必要がある。なのに、ここで報告にゴマ化しがあれば、株主総会の承認を得ずに金を勝手に得ていることになる。それは、横領も同然である。
要するに、ゴーンは会社の金を私物化していたわけで、それは横領も同然であるわけだ。ゴーンは「会社はおれのものだ」とでも思っていたのだろう。しかし本当は、「会社は株主のもの」なのである。そして、株主に隠して金を得ていたからには、それは泥棒・横領も同然なのだ。
「単に報酬を記載していなかっただけだ」
というような理屈は成立しない。
比喩。
馬鹿息子が、親に隠れて、親の財布の金を抜き取った。それが発覚したら、こううそぶく。
「よその家の金を盗んだわけじゃない。自分の家の金を得ただけだ。自分の家の金は、おれのもの。おれのものである金を抜き取っても、それは犯罪じゃない。単に、親に黙っていただけさ。黙っていたことだけが罪なんだ」
馬鹿言え、と言いたくなるだろう。それが馬鹿息子みたいなゴーンだ。
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こういうゴーンであるが、ゴーンもまた、スルガ銀行やレオパレス21と似た事情にある。
「真実を隠して、ゴマ化す形で、不正に金を手に入れた」
というふうにしているからだ。純粋な詐欺師とは違うが、詐欺師みたいなものだ。もしかしたら、本当に詐欺師かも。何しろ、法律で、あれやこれやと手練手管を使って、いろいろとゴマ化していたからだ。
子供の教育費を米国日産の福利厚生費で支払う、というのも、その一種。粉飾というか、ゴマ化しというか、どっちにしろ、詐欺みたいな手口ですね。
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このゴーンは、不正を実行するには、社内で「独裁体制」を確立する必要があった。もし「独裁体制」がなければ、不正をしようとしても、社内で反対が出るので、不正をできなくなる。
そこで、反対するような部下をすべて粛正・左遷して、完全な独裁体制を確立していたそうだ。かくて、「物言えば唇寒し」という独裁体制が確立した。
この件については、本日の朝日新聞記事(シリーズ第1回)で報道されている。有益な記事なので、一部抜粋しよう。(有料記事だが。)
前会長のカルロス・ゴーン(65)が昨年11月に逮捕されるまでの数年間、取締役会の所要時間は1回あたり平均 30分を切っていた。短い時は 10分弱のこともあり、「ゴーン以外に発言もないままシャンシャンで終わることも珍しくなかった」と日産幹部。役員ごとの報酬額の決定をゴーンに一任することも、異論もなく決まった。人事と報酬を掌握したゴーンに面と向かって反論できる役員は残っていなかった。
副社長らも居並ぶ前で口を極めて非難されたと元常務は振り返る。「私はゴーンの側近と対立していたので、抵抗勢力と色分けされていた。ゴーンは自分が気に入らない者はどんどん排除した」
大赤字を垂れ流していた車種群の収益改善という難題を命じられ、懸命に改善策を説明しても、「お前の言うことは信じられない」と一蹴された。「ひどいときは、報告しても話も聞かずに無視された」 倒産寸前だった日産をV字回復へと導いたゴーンは自分への異論を許さなくなり、周囲はイエスマンで固められていった。
( → (ゴーンショック 繰り返す統治不全:上)独裁体制、「塩路天皇」の再来:朝日新聞 )
自らに権限を集中させ、独裁をほしいままにしたゴーンは次第に傲慢(ごうまん)になり、気に入らない意見を言われると「こてんぱんにやり込めるようになった」(元側近)。ゴーンの不興を買ったこの元側近は取引先メーカーに転出した。「刃向かう者は辞めろ、だった」。またも恐怖政治が支配した。 面と向かって対峙(たいじ)する者は現れず、日産が自浄作用を働かせて「ゴーン支配」を崩すこともなかった。
( → (ゴーンショック 繰り返す統治不全:上)独裁者へ迎合、日産の体質:朝日新聞 )
こういうふうに、すごい独裁体制があったわけだ。朝日のスクープ記事だが、さすがに朝日だ。(明日以後も続くので、記事が楽しみだ。全3回らしい。)
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さて。ゴーンの経営の問題については、(スルガ銀行やレオパレス21 とは違って)私は前から何度も指摘してきた。
「こういうふうに指摘しました」という形で、それを(回想ふうに)列挙した項目もある。
→ 今年の最大事件(2018年): Open ブログ
また、はっきりと「独裁体制」という言葉でゴーンを批判したことも1回ある。
→ ゴーン経営とトヨタ経営: Open ブログ (2016年09月26日)
というわけで。
少なくともゴーンについては、「私は前もって指摘しました。えっへん」と威張れそうだ。 (^^);
※ 「反省していないな」と怒られそうだ。ごめんなさい。
【 関連項目 】
ゴーン事件については、本サイトでは「自動車・交通」カテゴリにまとめられている。これを読めば、一連の経緯がわかる。
最初の項目は下記。
→ 日産ゴーンの不正: Open ブログ (2018年11月19日)
この日(2018年11月19日)に、ゴーンはいきなり検察に逮捕され、同日、会社から解任された。検察と会社は息を合わせていたことが同時に判明した。
また、朝日新聞社はこの件で深く情報を得ているようだ。(検察がバラすはずがないので、たぶん日産自動車内に情報源を持っている。)
※ ゴーン事件のうち、本項だけは、カテゴリが「一般」だ。
まぁ、長谷工とか?大東建託とか?日本にはとっても多いのだが(笑)
東京電力のサギっぷりにはかなわないです しね(笑)
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欧米メディアによると、ゴーン前会長の広報代理人が声明を出し、「(仏ルノーとの)連携強化を妨げ、日産の業績悪化を隠すのが狙いだ」と報告書を批判。ゴーン前会長は取締役会と株主から全権を委ねられて行動していたとして、「彼(ゴーン前会長)の最重要の目標は日産の株主価値を高めることだった」と主張した。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13954618.html
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「株主から全権を委ねられて行動していた」
と述べている。つまり、自分には全権があると思い込んでいる。
しかしこれは間違いだ。本文中に書いてある通りで、経営者は株主に対して、報酬を開示する義務がある。それを隠蔽する権限などはないのだ。
ありもしない権限をあると思い込んでいた(そして全権を行使した)という点で、これはもはや自白したのも同然だ。語るに落ちた、ということか。
そのことが、本項を読めばわかるはずだ。
勿論!仰る事は解りますし、「理屈」も正しい。
ですがねぇ、ゴーンの件なんぞは庶民の眼を逸らすスピン・ニュースだと思いますがネぇ(笑)
どうせ眼を逸らすのが目的であるなら、竹中平蔵を逮捕するくらいの事でないとネ!
詐欺会社といえば、安倍首相の昭恵夫人の件はいかがでしょうか?
(勿論!アナタにとって都合がワルくてクローズしたいのであれば、本稿は消去しても構いませんょん)
昭恵夫人インタビューグラビアを大々的に掲載していた「Brilliant」を発行していたのは、
ロゼッタホールディングス(以下、ロゼッタ社)の関連会社。
だが、このロゼッタ社は今年1月18日に東京地裁から破産開始決定を受けた。
このロゼッタ社のグループ会社は〈未公開株の購入や、事業資金の小口出資〉の勧誘をおこなっており、
集めた資金は300億円規模にのぼるという。
しかも、同社をめぐっては投資金詐欺の疑いが以前から囁かれていたのだ。
って事件です。まぁ、民度が低いせいか「詐欺会社」は多いのですが、
コレは首相夫人が関わっているのですょん?(笑)
ついでに、「ジャパンライフ」という詐欺会社にも安倍首相と昭恵夫人は関わっていて、
被害者続出ですっ!
株主さんには重要な話だけど、株を持っていないような庶民には関係ありません。
直接的には関係ありませんが、日銀がETFを買ったりGPIFが株を運用したりで、全く無関係ではない、と思っています。それ以上に、自動車の開発、製造以外に日産の経営リソースが注ぎ込まれていることが残念です。
スルガ銀行とレオパレス21ですが、スルガ銀行と組んでシェアハウス事業を行っていた不動産会社、その営業会社は破綻しました。スルガ銀行も時間の問題かもしれません。
一方、レオパレス21は融資を行った銀行の話があまり出てきていません。”適正な融資”だったという認識が巷間で共有されいるのだろうか、ちょっと疑問を思っています。優良な融資先が見つけられない地銀がレオパレス21のサブリース事業に乗っかって積極的に融資した、という面もあるような。
バブル崩壊後、”銀行の貸し手責任”という語を新聞で見ましたが、レオパレス事案ではそういった語を聞きません。”融資にあたって事業を評価する”という銀行の機能はもはや期待できないのかもしれません。