学園都市や空港などのための用地を政府が買収するのに、現行の土地収用法ではうまく行かないので、その改定版を考える。
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「名古屋の郊外部に広大な農地があるので、ここに学園都市をつくればいい」
と前項の最後で提案した。
名古屋以外でも、同様に農地を買収するといい、という提案を前に記したことがある。
・ 岡山の農地を買収する。工場用地。
→ マツダは広島から離れよ: Open ブログ
・ 茨城県(龍ヶ崎飛行場の周辺)の土地を買収する。空港用地。
→ オスプレイは危険か?: Open ブログ
ともあれ、こういうふうに広大な農地を買収することで、国民のために役立てたい。
ただ、この場合、どうやって農地を買収するかが問題となる。前に成田空港の土地を買収しようとしたときには、大失敗した、という先例がある。
本来なら、買収される農民としても、ただの農地を高額で買い取ってもらえるので、ハッピーになれるはずだ。
とはいえ、(農民である)地主が利口ならば、買収に素直に応じるとは限らない。地主が合理的思考の持ち主ならば、次の方針を取るはずだからだ。
「土地は売らないで、貸与する。学園都市が十分に繁栄したあとで、土地を返却してもらう。そのときに売却すれば、土地の価格は急上昇しているので、大富豪になれる」
あるいは、こうだ。
「土地は全部を売らないで、半分だけを売る。残りの半分は私有地として残す。学園都市が十分に繁栄したあとで、土地を売却すれば、土地の価格は急上昇しているので、大富豪になれる」
しかし、地主がそんな方針を取ったら、学園都市の建設はままならない。強欲な地主が、国家の方針を阻害することになるわけだ。
「国の損害が 1000億円になろうが1兆円になろうが、知ったこっちゃない。とにかくこっちは、100億円がほしいんだ。国の損害が生じても、こっちの利益が大事なんだ」
こうして私利私欲のせいで、国家建設が阻害されてしまう。
では、それを避けるには、どうすればいい?
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そこで困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「政府が該当地域の開発方針を立てたあとでは、地主が農地をそのまま維持することを不可能にする」
具体的には、こうだ。
「該当地域を一括して商用地に指定して、多額の固定資産税を徴収する」
現状では、農地としてきわめて低い固定資産税となっている。一部の住宅地も、小規模住宅地として、低い固定資産税となっている。しかし、それをあらためて、商用地として高額の税を徴収する。
その際、土地の基準価格は、農地としての価格でなく、次の価格とする。
「政府が(未来相場の倍額で)買収価格を指定したら、その価格が地価となる。その価格で固定資産税を徴収する」
例示しよう。
政府が「 100平方メートルで 1000万円」という買収価格を提示する。これが 10ヘクタールあれば、100億円となる。ここで、固定資産税は評価額の 1.4% だから、1.4億円の税額となる。
今までは農地としてタダ同然の固定資産税を払っていたが、今後は 1.4億円の固定資産税の支払いを義務づけられる。それゆえに、いつまでも農地のまま保持し続けることはできない。どうしても土地を売却せざるを得ない。かくて、土地を政府に売却することになる。
なお、第三者に土地を売却する可能性もあるので、該当地域では「第三者に土地を売却することは不可」というふうにも法制化するといいだろう。
なお、地主が納税しないままでいれば、土地の全体を差し押さえて、没収すればいいだろう。(もちろん、土地代金は支払う。税額の分を差し引いた上で。)
[ 付記1 ]
なお、これは私有財産制の侵害とはならない。高額の土地代金をちゃんと支払うからだ。
なお、場合によっては、該当の土地を、「永続的農地」に指定して、公園以外には用途転換できないように指定してもいい。その場合は、多くの地主のうち、該当の地主だけが、土地を高額で買い取ってもらうことができなくなる。永続的に農地にし続ける必要が生じる。
しかも、「農業禁止」にして、公園にする以外はできなくしてしまってもいい。
( ※ 「農業禁止」は、その分の所得補償をすれば、十分だ。どうせ毎年、たいして所得を上げていないはずだし、ろくに納税していないはずだから、補償するべき所得額も少なくて済む。)
ま、特別に強欲な地主を別とすれば、土地の買収は、国も地主も、ともにハッピーになるはずだ。
それでも、どうしても「農業をしたい」という地主がいたら、対象地域の端っこの方に、「交換農地」を用意して、そこで農業をやってもらえばいいだろう。この場合も、永続的に農地となるので、農地を高額で買い上げてもらうことはできなくなる。その土地は永続的にクズ土地扱いだ。
[ 付記2 ]
土地の買収交渉をするときには、候補地を二つ以上用意して、競合させるといい。そうすれば、地主は「契約しなければ、儲けがゼロになってしまう」と思って、焦って契約するからだ。こうして契約がスムーズに行く。
仮にスムーズに行かなければ、複数の候補地のうちで、残ったところ(売却に応じるところ)と契約すればいい。契約拒否する地主については、ほったらかしておけばいいだけだ。その地主が儲け損ねるだけだ。
( ※ なお、これが成立するためには、買収価格を相場よりもかなり高めに設定する必要がある。それでこそ、地主の欲の皮を刺激することができる。)
2019年03月25日
過去ログ
そんな強権を国家に手放しで与えてしまうことには躊躇を覚えます。国家が賢くて公正ならともかく。
例えば現政権に該権限を持たせたら、浅慮なプロジェクトに歯止めがかかりません。至る処、基地と原発だらけになりかねないかも。
とはいえ、南青山の児相や各地の保育園建設反対運動に代表される、数多のNIMBY問題に対する一つの解決策として、アメとムチ施策が効果的であるのは間違いありませんけど。
強権じゃないでしょ。「土地を適正価格で購入してから、法律を守る」というだけです。つまり、正常化するだけ。
成田では、正当な価格では買わず、格安で買いたたいたあとで、空港にして高度利用してボロ儲けしよう、ということをした。これは不当な悪徳商法だ。農民をだまして買いたたく、悪徳商法。
こんな詐欺師みたいな悪徳商法を是正して、正当な価格で取引した上で、法律通りに納税してもらう、というだけです。
そのあと、脱税犯が逮捕されるのは、強権ではなくて、ただの法律執行です。ゴーンが逮捕されたのと、似たり寄ったり。
とはいえ、ゴーンが逮捕されたのを見て、「強権だ」と騒いでいた人もいるから、世の中には脱税犯の味方が結構多いようだ。
強権というのは上記部分です。これまで営農してきた自分の所有地が、買収に応じないという理由で、「農業禁止」にされてしまうという...
札束で頬を張っておいて、従わなければ所有地の利用を制限すると。このやり方は強力ですが、法制化されてしまうと理由を問わず全てのケースが正当化されてしまうような。濫用が危ぶまれます。
その地域は「市街化地域」(住宅・商用地)に指定されるのだから、農業なんかやったら、農薬散布などのせいで、住民に被害が出ます。ある程度の制限は必要です。
そもそも、「所得補償付きの禁止」なんだから、禁止されることで十分な補償金をもらえるので、農家はかえって喜びますよ。「遊んで金をもらえる」という状況。私だったら大喜びですけどね。
「強権による禁止」というのは、誤読。というか、「所得補償」という言葉を読んでないんじゃないの?
あとね。あなたの質問の多くは、「管理人は馬鹿なこと(たとえば強権措置)を言っている」という前提で書いているけれど、そんな馬鹿なことを言うわけがないでしょう。「馬鹿なことを言うはずがない」と思って、本文を読み返せば、あなたの誤読がわかるはずです。
毎度毎度、私を馬鹿扱いするのは、ご遠慮ください。かわりに、本文を文章通りに読み取ってください。
それは全くの誤解です。もし、そう受け止められたのであれば私の文章表現に問題があるのでご指摘ください。
で、「所得補償」も読んでいますが、突き詰めると、”金をやるから農業するな”という抑圧的な意味合いにとれ、これが個人の意志や自由を制限している印象を抱かせたわけです。
それがいやだったら、交換農地を用意してあるので、そっちを取ればいいでしょう。これも書いてあるんだが。
ただし、その場合は、「遊んで金をもらえる」に比べると、差分は、所得ゼロで働いていることになる。奴隷待遇になるのも同じだ。奴隷になりたがる人がいるんですかね?
>交換農地を用意してあるので、そっちを取ればいいでしょう。
多分、本文中の”それでも、どうしても「農業をしたい」という地主がいたら、..."という文言が、まず買収ありきで代替地の手当てが取ってつけたような条件のように感じたのでしょう。”買収に応じない奴はバカだ”みたいな。
この土地収用の話ではありませんが、都市近郊の区画整理に携わった方の話を聞いたことがあり、地主の意向は所有地の面積やら家族構成やらで実に様々のようでした。お金優先、代替地優先、何があっても元の土地に戻りたいなど。選択の自由度を作っておかないとまとまる話も拗れてしまう、といった印象を抱きました。
例えば、大地主でマンションを何棟も所有していて半ば趣味で農業に携わっている、そんな人も都市近郊には実在します。こういった場合には、周囲からは不利な条件に見えても地主の意向を優先することになるだろうなと。
一応、都市計画審議会の審査を経るわけですし。
ただ、「合理的に」考えない人も一定数います。
「どうしても譲らん」的な人は絶対出てきます。
それを援助する(煽る?)団体も生じてきます。
そこが厄介なところ。