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名古屋は発展するための条件は満たされている。
・ 広大な濃尾平野がある。( 大阪平野より広い。)
・ 東京と大阪の中間にあり、新幹線も止まる。
・ 気候も温暖である。
・ 人口も三大都市圏の一つである。
いろいろと条件は満たされている。では、どうしてあまり発展しないのか?
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しばしば掲げられる理由は、「鉄道が発達していない」ということだ。たとえば、下記で論じられている。
→ 名古屋市の鉄道事情
→ 愛知県の鉄道事情と背景の独断的考察
これによると、工場が郊外部にあって、そこに通うには自動車を使うので、中心部ではますます鉄道の需要が減ってしまうから……ということらしい。しかし、あまり同意できない。
私が想定したのは、こうだ。
「もともと中心部の人口密度が低いから、鉄道の需要が少ない」
換言すれば、こうだ。
「もともと低層ビルが多くて、高層ビルが少ない。そういう形で、人口密度が低いから、通勤客も少ない」
このことは、Google マップで 3D 表示をするとわかる。
→ 名古屋市( 3D )
やたらと低層ビルばかりであって、高層ビルが少ない、とわかる。超高層ビルがないだけでなく、ちょっとした準高層ビルも少ない。これは東京とは全然違う。
ただ、「人口密度が低い」というのは、鉄道が発達しない理由にはなっても、「名古屋が発達しない」ことの理由にはならない。「人口密度が低い」と「発達しない」とは、ほぼ同義であって、トートロジーになってしまうからだ。
これに理由を求めるとしたら、こうだろう。
「名古屋は歴史的にあまり発展してこなかった。だからいつまでたっても、あまり発展しない。京都・大阪や、東京には、発展してきた歴史があった。だから、鉄道にせよ、人口密度にせよ、長年の歴史の結果として、十分なものが備わってきた」
ここから結論を得れば、こうなるだろう。
「名古屋には広大な土地があり、発展するための条件はある。土地などの供給条件は満たされている。しかし、土地を求める需要が少ない。供給はあっても需要が少ないから、なかなか発展・拡大しない」
名古屋は、ここを発展させようとする力(需要)があれば、どんどん発展させることはできる。しかし、ここを発展させようとする力(需要)がない。
逆に、東京には、ここを発展させようとする力(需要)がある。それは「一極集中」の力だ。これがあるのは、東京だけだ。だから東京には、過度なほど人口集中が起こる。
一方、京都・大阪には、それがない。京都・大阪の発展の度合いは、東京の発展の度合いに比べて、いかにも小さい。
※ 東京では駅から駅までビルが休みなく密集しているので驚いた、という地方民の感想が、前に話題になったことがある。下記。
→ これが…首都の…パワー?!かんさいちほーの民が旅行で感じた東京の図が地方民の共感を呼ぶ
かんさいちほーの民が旅行で感じた東京 pic.twitter.com/ecsmiZwqbQ
— ひらぬま@就活プロモころすちゃん (@Hiirop8000) 2018年2月11日
結局、東京には「一極集中」の強い力が働いているから、東京だけは大幅に発展する。他方、他の地方では、どこもそういうことはないのだ。むしろ、東京の「一極集中」の弊害を受けて、さびれる効果さえ出てしまう。
例外的に発展している地方というと、韓国からの観光客がある福岡と、北陸新幹線の効果が出た金沢ぐらいだろうか。ただ、それも、たかが知れている。たいていの地方は、たいして発展していないのだ。
──
とすれば、対策はただ一つ。
「東京の一極集中の力を弱める。そのことで、地方の発展力を高める」
これはまあ、正論ではあるが、手垢が付いたような陳腐な見解ではあって、面白みがないですね。
これだけでなく、もっとうまい工夫はないか?
一案として、次のことがある。
「名古屋を日本のシリコンバレーにする。先端的なIT企業を招聘する」
これはまあ、目的とするにはいいのだが、そのための具体策が課題となる。では、どうする?
かつて「つくば学園都市」というのが作られた。それと同じようなものを名古屋に作るといいかもしれない。
思えば、つくばという辺鄙なところに学園都市を造ったのは失敗だったね。あんなところにぽつんと作っても、波及効果は少ない。むしろ、福岡とか名古屋とか、そういうあたりの市街地に作るべきだった。そこを「都市拡大」の拠点とするべきだった。
実は、関西にも「けいはんな学研都市」(正式名:関西文化学術研究都市)というのがある。これで発展するかというと、現時点では疑問符が付く。ここでは、(発展どころか)撤退する企業が続出しているありさまなので、あまり期待はできないようだ。現時点では、居住用の住宅を主とするベッドタウンの趣になっているらしい。
→ 関西文化学術研究都市 - Wikipedia
地図を見ても、田畑や山林が多く、人口密度も低い。とても「学園都市」という感じではない。
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では、どうすればいいか?
「日本のシリコンバレー」を作ることを目的として、さまざまな条件整備をするといい。
・ 筑波にあるIT関係の研究所を移転する。(産総研など。)
・ 東京にあるIT関係の研究所を移転する。( IPA など。)
・ 東大クラスの工科大学を設立する。
(定員は少なくして、授業料は無料。給付奨学金付き。)
最後の条件から、「お金がない貧乏家庭だが、頭のレベルは東大級」という生徒がどんどん入学してくるから、あっというまに最高レベルの頭脳が集まる。コンピュータもスパコンも使い放題の環境を用意すれば、東大に入った学生よりも優秀になる。こういう学生がどんどん卒業すれば、ベンチャーができて、あっという間に、日本のシリコンバレーとなるだろう。
( ※ 東大では、これはできない。情報学科の学生ばかりを特別に優遇するなんて、無理である。東大では、あらゆる理系学生が「ともに貧困な研究環境になる」しかない。)
こうして、名古屋に「日本のシリコンバレー」ができて、どんどん発達したら、新興企業がどんどん拡大して、土地の需要も増えてくるだろう。そのとき初めて、「広大な濃尾平野」という土地供給が役立つ。そのときまでは、「広大な濃尾平野」という利点は、役立たずとなる。
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なお、現実には、上の政策は取られていない。だから名古屋は発展しないのである。
[ 付記1 ]
都市が発展するためには、文化的な素養も必要だ。ところが名古屋には、それがない。
「名古屋には何にもない」と言われることもある。
→ 【天才】「名古屋行くところなんもない問題」を解決した_PR
※ 名古屋にはないが、名古屋の周辺にはある、という話。
→ 専門家が解明!名古屋はなぜこんなにも嫌われるのか?(1)8割が「しょうがにゃあ」と
※ 田舎者の貧乏人根性がしみついている、という話。
まあ、名古屋には関西・東京のような長い歴史がないし、横浜や神戸のような文明開化の歴史もない。歴史は今からつくるしかないね。
※ 埼玉県も「何もない県」として有名だ。
映画では、虐げられていた県民が「何もないけど、いい所だよ!」と叫んでいました。そのあたり、魅力発信担当としては、どうなのでしょう。 「えー。セリフの前半はスルーします。……
( → 翔んで埼玉ヒット:朝日新聞 )
[ 付記2 ]
名古屋には難点もあるのだが、ただ、これから発展するべき地があるとしたら、名古屋だと思う。他の都市は、はるかに適さない。
・ 東京 …… 過密すぎる。(周辺には余地がある)
・ 関西 …… 大阪も京都も過密すぎる。(土地が少ない)
・ 福岡 …… 中国からの PM2.5 や黄砂が怖い。
・ 広島 …… 土地が圧倒的に少ない。
・ 金沢 …… 土地が圧倒的に少ない。雪害も。
・ 札幌 …… 冬の雪害が不便。
・ 浜松 …… 浜岡原発が怖い。
名古屋は、「文化的な歴史がない」というぐらいのことだが、他の都市は、はるかに重大な問題をかかえていて、致命的だ。
「濃尾平野」という自然の利点を生かして、発展させることが、日本の国家的な利益となりそうだ。
( ※ 好みでいうと、トヨタのことは好きじゃないんだけどね。)
( ※ トヨタは、もっとデザインに金をかけて、かっこいい車を作らないと、いつまでたっても三河の田舎会社から抜けられないね。自社で作れないのなら、せめて外国人デザイナーに頼んでデザインしてもらえばいいのに。スープラとか、86 とか、あまりにも田舎デザインなので、情けなくて、涙が出そうだ。)
[ 付記3 ]
名古屋の北東部に、「なごやサイエンスパーク」というのがある。ここには最先端の研究施設めいたものが部分的に招致されている。
ではこれで十分か……というと、そんなことはない。規模があまりにも小さいし、場所も狭苦しい。(小山のそばの小地区であって、将来的に発展の余地がない。もともと小規模であることが前提とされている。)
将来的な発展の余地まで考えると、名古屋の南西部の広大な空き地のある地域がよさそうだ。喚応寺のあたりは広大な田畑となっている。名古屋駅からは車で 28分。(朝は 32分。)距離的にも問題ない。(東京から日帰り出張の範囲内。)
ただし、公共輸送機関は、バスしかないので、現時点ではちょっと不便だ。ここに大学を設置するなら、全寮制となる。政府機関なら、自家用車が前提となる。あるいは、近場に自宅を据えて、自転車通勤。
p.s.
喚応寺のあたりは、津波被害が想定されるので、好ましくない。
代案として、清洲西インター(IC) のあたりがある。
→ https://goo.gl/maps/rYp42PP5Khq
名古屋駅から自動車で 16分だから、交通至便だ。こっちの方がいいですね。
名古屋には名古屋工業大学(国立)があるので、これを活用できないでしょうか?立地も中央線沿線で、かつ地下鉄駅もあるので悪くないと思います。
新設するよりはやりやすいかなと思いました。
名古屋市の現状を鑑みれば、身の丈に合っているように思います。特に名古屋市内中心部はそこそこ地下鉄の路線が整備されているのではないかと。自動車産業が県の主要産業であることを考えれば、鉄道より道路整備が優先されるのではないでしょうか。
>筑波にあるIT関係の研究所を移転する。(産総研など。)
なごやサイエンスパークという事業が進行中で産総研の出先機関もあります。ただ、バブル時の計画でバブル崩壊とともに官民の研究機関が集まらず、事業の縮小を余儀なくされているような。
>東大クラスの工科大学を設立する。
名大、名工大あたりがいい顔しないかも。かつて、
名工大 柳田学長が辞任へ 教授会が「所信」を否定
http://university.main.jp/blog/archives/000006.html
といった話もありました。どちらに大義が合ったかは知りませんが。地元出身者の占める割合が高く、誤解を恐れずに言えば、排外的な地域性の印象を拭えません。
ちなみにつくばは、戦後の農地開拓が芳しくなく用地買収が容易だった、が理由の一つのようです。
”ETV特集「彼らは再び村を追われた 知られざる満蒙開拓団の戦後史」”http://www4.nhk.or.jp/etv21c/x/2019-03-23/31/26550/2259644/
人口の増加には限界があるけど、
86とカローラスポーツみたいなデザインは
かなり斬新に変化したし、変わらないのは
おじさんの心だけ?
本文中のリンク先(これが…首都の)をご覧ください。
やはり、少人数の単科大学にするしかない。規模は高校程度。(1学年 200人ぐらい)
そもそも、エリートというのは数が少ないものだし。(増えると、エリートでなくなる。)
なお、立地はどうでもいい。基本的には、全寮制として、寮から大学までは徒歩0分。寮費は無料で、毎日ホテル並みの御馳走が食べられるものとする。
酔っ払った勢いで変なコメントを書いてしまいました。。。
でも、人は個性的、新しいものが生まれる土壌は十分にあると思います❗
例えば、その大学の教育システムとか。本家シリコンバレーの成り立ち、環境、時代背景、国や地域の制度など、より詳細な検証と設計が必要です。
新設大学は、少数のトップエリートだけ。
それに次ぐレベルの大量の技術者は、名大、名工大あたりに供給してもらいます。その需要が増えるわけだから、名大、名工大あたりも喜ぶでしょう。
新設大学がリードする形で名古屋地区の地位全体が向上すれば、名大、名工大も波及的にレベルアップします。
パイの分け前の問題ではなく、パイ全体が大きくなる。
※ 新設大学は全国各地から東大クラスの人を集める。地元の名古屋から集めるだけの 名大、名工大とは、かぶらない。対象の層が異なる。
名古屋を日本の中心にする気構えがなかったのか
悔やまれるなあ
大学院大学がいいかも。ただやはり、理念を明確にして収益性を度外視した環境が構築できるかが重要かと。
シリコンバレーは、米軍の委託研究が端緒になったという話もあるようです。翻って日本では、軍事研究の是非をさておくとして、防衛省が卓越した研究テーマを委託できるとは思えません。軍需企業も同様です。
つまり、日本のシリコンバレーを成功に導くには何を原動力にするのかが鍵ではないかと。学術研究のみでは原動力不足に思えます。
カリフォルニア工科大学やスタンフォード大学のまわりに、シリコンバレーができた。
https://note.mu/shicci/n/n09f94981c86e
「シリコンバレーはなぜできたのか?」
国の軍事投資でベンチャーが伸びた、とも書いてある。
シリコンバレーは、大学でインキュベートされた技術を基にしたベンチャー企業を輩出する地域というイメージですが...想定に違いがあるようです。
優秀な卒業生が続出できたとしても集まってきた企業が日産、東芝、NEC、三菱航空機では人材の浪費に繋がりかねません。
大学生が新規のベンチャー企業を興す場合には、小さく誕生するが、その後に急成長して、世界的な大企業に育つことがある。例。マイクロソフトや、アップルや、Google や、フェイスブック。ここでは、大学は優秀な人を集めることだけに貢献した。
──
文中にすでに書いてあります。
「こういう学生がどんどん卒業すれば、ベンチャーができて、あっという間に、日本のシリコンバレーとなるだろう。」
ちゃんと読みましょう。あなた、誤読 or 失念していますよ。
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なお、最先端の研究なら、筑波にいっぱい研究施設があるが、その技術を使って有力ベンチャーが誕生するなんてことは、ほとんどない。
一方で、東大生によるベンチャーはかなり多い。本郷に多いので、「本郷バレー」と呼ばれることもあるそうだ。
→ http://j.mp/2CyxqzS
いや、本文を読んだので、管理人さんの前のコメントにある、”優秀な会社員となる”とか、”企業が集まる”に違和感を持ったのですが。
宇宙関連事業もあるし、医師なんかも結構住まわれているそうです。
つくばエクスプレスもできましたしね。
(不動産屋他、住んでいる人、働いている人からの情報です)
自分は大きなベンチャー的なものが生まれるのは、その立地がどうこうというより、教育だったり国民性の問題かなと思います。
例えばシリコンバレー的なものを日本のどこかに作って、いろいろ優遇したり、土壌を作っても、国民性の部分がね。
日本の文化って、村社会だし、年功的なものが強いから、目立つと足引っ張るし、優秀な人がいても飛び級すら全然一般的ではないでしょう。
若くて優秀でも、おまえは若くて経験が足りないとか言って、おっさんが押さえ込んだりね。
和を以て尊し的な土壌の方が、ベンチャー的な大きな発展を阻害してると思います。良し悪しの問題でなく。
名古屋のことはちょこっと行ったり、友達が少ししかいないんでよく分からんですが、仙台、福岡、広島札幌あたりと比較すると、まあ相応かなと思います。
近辺に天皇、将軍、首相がいたことがないというのはどうでしょう
駒場は、千葉県民には通いにくい。
本郷は、神奈川県民には通いにくい。
2年間だけだから仕方ない、と言えるかもしれないが、やっぱりイヤだよ、と思う人も多そうだ。
そういう人だと、「遠くの東大なんかに通うくらいなら、名古屋の新設大学の構内で寮生活する方がずっといい」と思うかもしれないね。
かくて、本来ならば東大に行くはずだったエリートが、ごっそり名古屋に移転するかも。
どのエントリにコメントするのが適切かよく判りませんが、前に記したように”ETV特集「彼らは再び村を追われた 知られざる満蒙開拓団の戦後史」”によれば、戦後満州からの引揚者が国策で日本各地に入植したものの、地域によっては農地に適さず離農が相次いだと。で、この開拓に失敗した地域を買収して福島原発、つくば研究学園都市、成田空港が建設されたとのこと。
お示しの喚応寺のあたりが農地として適しているならば用地取得のハードルはかなり高いのでは。農地に不向きとされた成田ですら強硬な反対運動がありましたから。(多分に反体制的な政治活動の要因があったと思いますけど)
又、防災の面からは当該地域は地震の際、思いっきり津波被害を被るように思いますが、その点は如何でしょうか。
だから、それができないように、高額の徴税をする。反対したくても、納税しなければ、脱税犯となって、犯罪者になるんです。差し押さえで没収されるか、あくまで抵抗して脱税犯として刑務所に入るか、二者択一。
なお、成田のときの買収価格は、(次項の提案とは違って)農地としての価格だったから、激安だった。これも反対の大きな要因だった。
→ http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=ja&type=pdf&id=ART0007371608
途中で価格は5倍になった。買収に応じる人が増えて、現地では金満の御殿がいっぱい建ったという。遺産が8億円ぐらいになる例もあったという。
→ http://j.mp/2UZWSFS
※ 成田の反対運動が、なぜ起こったかというと、次の理由らしい。
・ 新左翼による、反政府運動。その象徴。
・空港が軍事基地になることへの恐れ。
どっちみち、実態となる具体的理由があるわけではなく、思い込みゆえに起こったもの。「妄想による闘争」と見ていいだろう。
> 津波被害を被る
なるほど。それは大事ですね。
とすれば、現場は低層部分は居住禁止にする必要があるでしょう。居住可能地は3階以上か4階以上。他は津波に耐えられる巨大ビルのみを許容。1〜2階は、駐車場や商店にする。津波が来たら、すぐに上層階に避難すれば、大丈夫。
なお、津波に耐えられない、普通の鉄筋コンクリでも、安全性は悪くないようだ。屋上や上層階に逃れていれば、命は救われた。
→ http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h22/hakusho/h23/html/k1223c00.html
ただ、津波被害が想定されるなら、あえて海辺の農地にする必要はなさそうだ。かわりに、内陸部の農地がいくらでもあるので、そっちにしてもいい。たとえば、 清洲西インターIC のあたり。
→ https://goo.gl/maps/rYp42PP5Khq
名古屋駅から自動車で 16分だから、交通至便だ。こっちの方がいいですね。
喚応寺付近の地主は、大儲けし損ねたな。