2019年03月10日

◆ BRT の高速化

 田舎の鉄道の代替となる BRT(バス高速輸送システム)を高速化するには、どうすればいいか?

( ※ 本項は、交通オタク向けの話です。鉄道・バスマニア向け。)


 ──

 東日本大震災の起こった日が近づいたので、新聞は関連の回顧特集をしている。朝日新聞は「三陸地方では鉄道の復旧が進まない」という趣旨の記事があった。
  → 被災、途切れたままの鉄路 9路線不通、うち3路線は見通し立たず:朝日新聞

 ここでは「代替策として、 BRT(バス高速輸送システム)がある」というふうに記している。しかしそのあと「識者の話」という形で、「鉄道の必要性は高い」というふうに述べて、「 BRT なんかは鉄道のかわりにならないので不十分だ」という印象の結論となっている。
 読後感としては、「復旧が進まずに可哀想だ」という感じだ。

 ──

 しかし私は前から次のように述べていた。
 「僻地では鉄道が大赤字なので、鉄道は路線廃止するべきだ。かわりにバス路線を用意すれば十分だ。バスには BRT を含む」


 したがって、三陸において「鉄道廃止・BRT の開設」というのは、私の推奨通りとなるので、歓迎するべきことだ、と評価できる。
 では、実際はどうだったか? 詳細を調べてみた。

 ──

 鉄道から BRT に転じることで、次のように変わった。
  ・ 収支は大幅に改善したようだ。
  ・ 便数は大幅に増加した。
  ・ 駅数も増えて、便利になった。
  ・ 乗客数は減った。(6割に)
  ・ かかる時間は、いくらか増えた。


 収支は、大幅に改善したようだ。似た路線では、鉄道は運賃収入が500万円に対し、経費2億8千万円だという。それに準ずる形で、大幅に改善したと言えるだろう。(朝日記事による。)

 便数は大幅に増加した。鉄道自体に比べて、 BRT に転じた時点で2倍になり、その後、さらに3倍になったという。(朝日記事による。)……ただし、増えたとは言え、1時間に1〜2便である。朝夕は1時間に2便あるようだが、昼間は1便である。
  → JR大船渡線 BRT(バス高速輸送システム)時刻表
 これで3倍だというのだから、鉄道時代にはいかに便数が少なかったか、想像が付く。1時間に1便というのは、実用上の最低限度だとも言えるので、以前の鉄道時代の便数では、およそ公共輸送機関としての体をなしていなかったと言える。鉄道から BRT になることで、初めてまともに信頼できる公共輸送機関になったと言えそうだ。

 駅数も鉄道時代よりも増えたそうだ。鉄道と違って、バスだから、途中に駅を設置するのが容易であるようだ。(朝日記事による。)

 乗客数は減った。4割減の6割になった。
  → 東海新報
 これは、震災の影響が大きいようだ。BRT だから減ったというよりは、震災で地域が壊滅したから減った、と言えるだろう。周辺人口が減ったのだから、乗客が減って当然だ。また、従来は人口密集地と駅の位置がほぼ一致していたようだが、震災後は事情が変わってしまった。(人口密集地は高台に移った。)いろいろと状況が変わったので、乗客衆については何とも評価しがたい。
 
 かかる時間は、いくらか増えた。2〜3割ほど、余計な時間がかかるようになった。これは、駅数が増えたことのほかに、バスだと高速化が難しいことが理由であるらしい。
 しかし、このことに利用者は不満であるようだ。
  → 大船渡線BRTの高速化はできないのでしょうか? - 知恵袋
 これについては、私は次のように思った。
 「便数が増えたのだから、総合的な利便性は向上した。無駄な待ち時間が減ったのだから、乗車時間がいくらか増えても仕方ない」
 とはいえ、簡単に諦めるのでは、面白くない。「困ったときの Openブログだろ。何とかしろ」と言われそうだ。そこで、ちょっと調べてみた。

 ──

 そもそも BRT とは何か? 次のようなものだ。
 「バス専用の道路があって、自動車の侵入を防ぐことで、割り込みや渋滞をなくして、定時制を確保したバス。定時制があるので、時刻表通りの運行となる」

 三陸の大船渡線の場合には、鉄道が廃止になったあとで、その跡地の線路のレールを剥がして、舗装することで、バス専用道路としている。
( ※ 線路の跡地がひどく崩壊している場所では、跡地を使えないので、普通の市街地の道路を使っているそうだ。その領域では、渋滞に巻き込まれることもあるので、定時制が保てないという。)

 ただし、重大なことが判明した。
 「もともとの線路が単線だったので、BRT の路線も単線である。そのせいで、上りと下りとが交差する地点では、そこだけ二路線となるような待ち合わせ場所がある。この待ち合わせ場所では、上りと下りの片方が渋滞で遅れると、もう片方はいつまでもそこで待ちぼうけとなる」
 この件は、その場所の画像つきで、次のページで紹介されている。
  → 単線のBRT専用道では、あちこちに行き違いができるスペースが設けられています
  → "交換所"というものでした。駅間でバス同士を交換させたり緊急の際にバスを転換させたりする場所
  ( ※ 上記の語句のある箇所に画像がある。)
 このような場所で待ち合わせをするので、無駄に待ちぼうけをすることとなり、そのせいで運行が遅れてしまうそうだ。
 後者のページには、次の話がある。
 この交換所、特に長い駅間の中央に1つ、とかではなく、わりと頻繁に登場します。本などを見ていた限りでは、BRTが遅い原因は一般道走行が長いことにある、ということだったのですが、実際乗ってみた感じでは交換所での停車のロスが大きいのでは、と思います。

 BRT では時間がかかることの理由は、この待ち合わせ場所(交換所)で無駄に待ちぼうけを食うことが理由であるようだ。
 ならば、このような無駄な時間をなくすことで、BRT を高速化することができるだろう。

 では、どうやって? 私が思いついたのは、次のことだ。
  ・ 交換所の数を増やす。
  ・ 予定の場所以外の別の交換所でも交差できるようにする。
  ・ 渋滞による遅れを許容できるように、システムを柔軟にする。
  ・ システムを柔軟にするために、AIを導入する。


 現状では、交差する場所は固定されているので、片方が渋滞で遅れたら、もう片方もずっと待ちぼうけとなる。
 それではまずいので、片方が渋滞で遅くなっても、もう片方は構わずに運行して、いつもとは違う場所で交差するようにする。しかし、それだと、交差の場所が多様に変化するので、固定したルールでは制御できなくなる。そこで、多様な変化をすべて受け入れるように、高度に制御する必要がある。そのように複雑な制御は、人力では困難である(エラーが起こりやすい)から、機械で制御する必要がある。電車の ATC みたいな自動制御のシステムが必要となるだろう。

 こうすれば問題は解決する……のだが、それがコスト的に成立するかどうかは、また別の問題だ。というのは、BRT の乗客数は、とても少ないからだ。下記の通り。
  → 東海新報
 こんなに乗客数が少ないと、新規のシステムを開発するのは難しいかもしれない。
 それでもまあ、とりあえずは、私の案を示しておいた。



 【 追記 】
 うまい方法を思いついた。
 交換所で「待ち」の時間が起こるのは、反対路線の電車が渋滞で遅れるからだ。ならば、その遅れをなくせばいい。それには、反対側の路線で、こうするといい。
 「渋滞が起こるのならば、それをあらかじめ見込んで、早めに出発する。そのことで、交換所に到達する時刻に間に合うようにする」
 
 たとえば、渋滞で5分間の遅れが発生するのであれば、その5分間をあらかじめ見込んでおいて、5分早く出発すればいい。そうすれば、渋滞の時間を含めても、交換所に到達する時刻に間に合う。そのことで、「待ち」の時間が発生しなくなる。

 このことを実現するには、あらかじめ渋滞の時刻を見込んでおくことが必要だ。最近の渋滞データを AI で学習しておけば、何とかなりそうだ。あとは時刻表を書き換えれば済む。(電車本体の側では何もしなくていい。時刻表通りに出発するだけだ。)

 p.s.
 道路の渋滞状況もリアルタイムで取得するといい……と思ったのだが、実はこれ、すでに Google マップで実現している。
 Google マップのメニューから「交通状況」という項目を選択すれば、道路が着色されて、自動車の運行速度の状況がわかる。
 ただしこれ、渋滞とは一致しないようだ。赤信号の前で自動車が列をなしているだけで、低速だと表示される。まあ、たしかに、赤信号の前は渋滞と同様の状況にはなるけどね。

 ちなみに、Google マップでリアルタイムの交通状況が表示されるようになったので、専用のカーナビは Google マップに負けつつあるそうだ。
  → 車載ナビと比較したら、Googleマップの圧勝だったのにビックリ



 【 追記2 】
 BRT に自動運転技術を取り込むことで、高速化ができそうだ。
 BRT が高速化できないわけは、道幅が狭いことと、カーブが多いことだ。いずれも、安全性の面から、高速化がしにくい。(高速走行すれば、事故が起こりやすい。)
 しかし、ここで自動運転技術を導入すれば、精密な制御が可能だから、高速化しても安全性を保つことができるだろう。特に、
  ・ 他の車がなくて、自分だけが路上を走っている
  ・ 一定の決まり切った道路だけである

 という BRT の特性からして、自動運転にはきわめて向いている。

 ただ、雨の日のカーブだと、高速化した場合に、スリップして外側にコースアウトする危険もある。これは問題だ。
 そこで、バンクを付けるといい。つまり、
 「カーブでは路面に傾斜を付けて、カーブの内側に傾くようにする」
 わけだ。これなら、スリップして外側にコースアウトする危険は著しく減少する。また、仮に減速して内側に滑り落ちるとしても、そのときは減速しているし、ガードレールもあるから、危険性は小さい。(高速で外側にコースアウトするのとは大違いだ。)

 というわけで、「自動運転とバンク」という形で、BRT を高速化することができそうだ。
( ※ 本文中では、「停車している時間をなくすことで、平気速度を上げる」という話をした。一方、ここでは、「システムを変えることで、最高速度を上げる」という話をしている。) 
posted by 管理人 at 23:53| Comment(4) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2019年03月11日 12:23
北海道の日高本線の沿線にBRTを導入したら良いかも。

日高本線は台風被害により、鵡川駅から様似駅の間は運行不能となっており、復旧の見込みがないとのこと。

一般国道のほか、日高自動車道も通っているので、BRTの導入は現実的にアリでは?と思いました。
Posted by 反財務省 at 2019年03月11日 12:39
 最後に  p.s. を加筆しました。
 道路の渋滞状況の話。
Posted by 管理人 at 2019年03月11日 18:00
 最後に 【 追記2 】 を加筆しました。
 BRT に自動運転技術を取り込む、という話。
Posted by 管理人 at 2019年03月13日 21:20
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