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「低温のせいで筋肉が硬くなって、まともに走れなくなった」
というふうに述べている選手が多い。日本選手で最有力だった大迫選手もそうだ。
「スタート地点から寒くなって、体が動かなくなり棄権せざるを得ない状況でした」とコメントした。
( → 大迫傑、4度目フルマラソンで初リタイア「体が動かなくなった」 : スポーツ報知 )
「へえ、不運だったね」
と思う人が多そうだが、これは不運なんかではない。毎度毎度、繰り返される失敗だ。
冬の日に雨になると、気温が低下し、体温も低下する。そのせいで筋肉が硬くなり、体温を奪われ、全般的に運動能力が低下する。そのせいで記録も大幅に悪化する。……こういうことは、毎度毎度、何回も繰り返されたことだ。
ちなみに、次の例もある。
→ 箱根駅伝で死者?: Open ブログ
これは 2015年の箱根駅伝の例。(雨ならぬ)雪のさなかで駅伝が決行されたが、あまりにも気温が低くて、低体温症になる選手が続出。一番ひどい人は、倒れ込んでしまった。下手をすれば死者を出しかねない状況だった。
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では、こういう問題は、どうすれば避けられるか?
そのことも、すぐ上のリンク先に記してある。こうだ。
「ウインド・ブレーカーを着用すればいい」
これで解決する。だから今回も、大迫選手などは、ウインド・ブレーカーを着用すればよかったのだ。そうすれば、体温低下に悩むこともなく、正常に走ることができたはずだ。
なのに、その知恵がないから、毎度毎度、同じ失敗を繰り返す。あまりにも馬鹿げているとしか言いようがない。
陸連あたりは、「冬なら、雨の日にはウインド・ブレーカーを着用すべきだ」と指針を出すべきだ。このくらいの頭はあってもいいはずだ。
《 加筆 》
この問題は、医学的には「低体温症」の問題である。詳しい話は、リンク先に記してあるので、そちらを参照。
→ 箱根駅伝で死者?: Open ブログ
[ 付記1 ]
ウインド・ブレーカーには、別の効用もある。
「(ウインド・ブレーカーの内側にある)服が濡れない。だから、肌がびちょびちょにならない。ゆえに、肌が皮膚呼吸できる」
逆に言うと、今回、たいていの選手は、服が濡れていたので、肌が皮膚呼吸できなくなっていた。さらに、服が濡れることで、服が重くなるという弊害もある。濡れた服に風が当たることでいっそう体温が低下するという問題も生じる。……これでは記録が悪化するのは避けがたい。
ウインド・ブレーカーを着用すれば、こういう問題は回避できるのだが。
[ 付記2 ]
ウインド・ブレーカーには、2種類ある。
一つは、防風性の高いもの。生地が厚手で、裏地が付いているもの。値段も高い。
もう一つは、携帯型のもの。生地が薄手で、裏地がない。ごく軽量で、たためばコンパクトになる。値段も安い。( 1000円以下。)
私が持っているのは、後者だ。これを、ハイキングのときに、リュックに入れておく。万一、雨が降っても、これがあれば風雨を防げる。しかも、軽量コンパクトだ。
マラソンに使うとしたら、もちろん、後者だ。仮に体が暑くなったら、長袖をたくし上げる。それでも暑くなったら、前のチャックを開いて、風を受け入れる。それでも暑くなったら、服を脱ぎ捨てる。長ズボンも同様。
[ 付記3 ]
よく考えると、ウインド・ブレーカーを着るとゼッケンが見えなくなる、という問題が生じる。
しかしこれは解決できる。ウインド・ブレーカーの下半分をちょん切って、胸と腕だけを防風すればいいからだ。腹のあたりは、腹巻きみたいな防風着を、ランニングシャツの下に着ればいいだろう。
なお、箱根駅伝の例では、ランニングシャツのかわりに半袖を着ていた人がほとんどだった。例外は駒大の選手で、ランニングシャツだった。だが、そのせいで、駒大の選手だけが低体温症になって、倒れてしまった。
→ 箱根駅伝で死者?: Open ブログ
[ 付記4 ]
ウインド・ブレーカーは、ランニングシャツの上(外側)に着るのでなく、ランニングシャツの下(内側)に着る方がよさそうだ。これなら、ゼッケンを隠すことがない。あとで体が暑くなったら、脱ぎ捨てればいいのは、先と同じ。
なお、ウインド・ブレーカーが煩わしければ、
「半袖 + 腕カバー」
でも良さそうだ。腕カバーを付けて出場した人は、結構多かった。ただし、これだと低体温症になってしまう人が続出したので、これでは不十分であることも事実だろう。
( ※ やはり、ウインド・ブレーカーが必要であるようだ。)
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勉強になりました。
皮膚が酸素吸収することはなくて、汗腺から汗を蒸発させることだけが大切であるっぽいです。
オリンピック選考マラソンの高橋直子もそうだった