2019年02月19日

◆ ホンダが英国工場を閉鎖

 ホンダが英国工場を閉鎖する。英国の EU離脱のせいらしい。しかしここには大いなる勘違いがある。

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 ホンダが英国工場を閉鎖する。英国の EU離脱のせいらしい。
 ホンダは英国工場を2022年までに閉鎖する方針を固めた。ホンダの欧州の四輪事業は販売低迷から赤字が続き、工場の稼働率も低迷していた。英国の欧州連合(EU)離脱に伴い欧州事業の不透明感が一段と増したことから、欧州唯一の生産拠点である英工場を閉じる。英国のEU離脱を巡り自動車業界では生産一時休止などの動きがあるが、ホンダは英国生産の撤退まで踏み切る。
( → ホンダ、英工場閉鎖へ 2022年までに :日本経済新聞

 ホンダも報道を否定していない。
 ホンダは「憶測」にはコメントしないとした上で、「われわれは従業員に対する極めて重大な責任を負っており、重要なニュースに関しては常に最初に従業員に伝える」との見方を示した。
 ホンダは昨年、英国唯一のスウィンドン工場で「シビック」など16万台余りを製造。英国における総生産台数(152万台)の10%超を占めている。
( → ホンダ、2022年に英工場閉鎖の方針 3500人の雇用喪失も | ロイター

 ホンダのスウィンドン工場は英国内の自動車工場で4番目の規模
( ※ グラフあり)
( → ホンダ、英国内の工場閉鎖を計画−EU離脱に揺れる業界に新たな打撃 - Bloomberg

 英国にショックも広がる。
 ホンダが英工場を2022年までに閉鎖する方針を固めたという一報を受け、英国内では動揺が広がっている。 英BBCは定時ニュースのトップで繰り返し伝えた。
( → ホンダ英工場閉鎖、「破壊的な打撃」 英国内に動揺広がる  :日本経済新聞

 他社への波及も懸念されている。
 英国のEU離脱を巡っては、日産自動車が英国工場で予定していた主力の多目的スポーツ車(SUV)の生産計画を白紙撤回した。トヨタ自動車も合意なき離脱の場合は休止も検討するとしている。他の日本企業では、パナソニックやソニーが英国にある機能の一部を欧州大陸側に移すなど欧州戦略を見直している。
( → ホンダ、英工場閉鎖へ 2022年までに  :日本経済新聞

 ──

 以上は報道だ。ここで、考察しよう。
 ホンダはどうして英国から撤退するか? たぶん次のように考えたのだろう。
 「英国が EU離脱をすると、英国から EUへの輸出には関税がかかって、輸出できなくなる。だったら、日本から直接 EU に輸出する方がいい。4月からは、日本から EUへの自動車関税は無税になるので、日本から輸出する方が有利だ。ゆえに、英国で工場を維持する理由がない。もともと赤字なんだし、改善も見込めないので、ここではさっさと撤退した方が利口だ」


 しかし、これは完全な勘違いだ。以下で理由を述べよう。

 ──

 日本から欧州への輸入には、関税がかからなくなる。しかし、日本から英国への輸入には、関税がかかる。もちろん、欧州から英国への輸入にも、関税がかかる。このように関税がかかるので、英国内で生産する会社にとっては有利なのだ。(ホンダはそのことを失念しているが。)

 その結果、どうなるか? 英国から EUへの輸出はできなくなる(激減する)だろうが、逆に、(関税のせいで)EU から英国への輸入もできなくなる(激減する)のだ。
 で、その帳尻は? ほとんどトントンである。
 つまり、これまで英国内では、フォルクスワーゲンやアウディなどを大量に購入していたのだが、それらの分がすっかりなくなるので、かわりに、英国製の自動車を購入するようになるのだ。

 といっても、日産のキャッシュカイみたいな SUV は、乗用車のかわりにはならないから、フォルクスワーゲンやアウディなどのかわりにはならない。しかしホンダのシビックなら、フォルクスワーゲンやアウディなどのかわりになる。だから、フォルクスワーゲンやアウディなどの車がなくなる分、ホンダのシビックは(英国内で)大量に売れるようになるのだ。

 結局、輸出していた分は売れなくなるが、かわりに、新規に出現した国内市場で、大量に売れるようになるのだ。
 差し引きすると、どうか? 原理的には、トントンだ。しかし、日産のキャッシュカイが乗用車ではない分、乗用車であるシビックは有利だ。となると、英国の EU離脱後には、ホンダの車は英国内で売れに売れて、大幅増産する必要が出てくるかもしれない。
 現実にどうなるかは、4月以降(離脱後)の現実を見るまではわかるまい。ただ、とりあえずは、「様子見」をするのが賢明だろう。
 とすれば、ここで撤退を決めるのは、早計である。
 ( ※ 下手をすると、ホンダは嫌われて、不買運動が起こるかもしれない。そうなったら、目も当てられない。どうせなら、「売れなくなった」という事実が出たあとに決めるべきだ。……たぶん、そういう事実にはならないが。)



 [ 付記 ]
 英国に輸入されるポルシェは、最大 10%の値上げ。
 高級車の独ポルシェは、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)後にイギリスでの販売価格に最大10%の関税を上乗せする可能性があると発表した。
( → ポルシェ、英でEU離脱後に値上げも 追加関税を上乗せ - BBCニュース


posted by 管理人 at 07:55| Comment(2) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 「スウィンドンの工場では昨年、「シビック」を16万台生産したが、その90%は欧州連合(EU)に輸出された。」
  https://www.bbc.com/japanese/47287935
 とのことだ。
 
 これだと、生産を国内に振り向けることは難しいかもしれない。ならば、撤退やむなしか。
 英国内ではちっとも売れていない輸出専用工場、というホンダの特殊事情のせいかもしれない。
 日産ならば、英国で多数が売れているのだが。
Posted by 管理人 at 2019年02月19日 20:22
 フォードも英国から撤退する模様。

 「フォード幹部がメイ氏との電話会談で英国での生産の見直しを説明した。同社は英国の2工場で自動車エンジンを生産し、ドイツの完成車工場などに輸出している。フォードは英国がEUとの合意がないまま離脱する場合、最大10億ドル(約1100億円)の減益要因になると試算している。」
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41239530T10C19A2FF2000/
Posted by 管理人 at 2019年02月19日 20:31
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