2019年02月16日

◆ 統計不正の問題はどこに?

 統計不正の問題が理解されていないので、「5分でわかる」ように説明する。

 ──

 統計不正の問題は、国民に理解されていない。その証拠に、安倍内閣の支持率はほとんど下がっていない。
  → 統計不正、支持率響かず=与党強気、野党戦術見直しも−時事世論調査

 理解しているつもりの人も、「政府が不正をして、安倍首相に監督責任がある」というぐらいに思っている人が多い。たとえば、下記では、「官僚の不正だ」「民主党政権の時代からあった」というふうに述べるコメントが散見される。
  → はてなブックマーク

 しかし、それは根本的に間違っている。
 この問題は、「首相による捏造」である。その意味では、STAP細胞事件のときに似ている。あのときも人々は「捏造だ」と大騒ぎした。ただし、あのときは1つの学術論文の問題にすぎなかった。一方、今回は、国の基幹となる統計を、首相自身が捏造した、という大問題なのだ。
 そのことを以下で説明する。

 ──

 (1) 統計不正

 統計の不正が判明した。朝日新聞のスクープ。

 (2) 首相による捏造

 この統計の不正は、首相自身による指示があった、という強い疑惑が生じた。
 「統計手法の変更(更新)によって、新たな統計を取ることにしたが、それだと、実質賃金がマイナスになってしまう。これは政権にとって不都合だ。だから、実質賃金がプラスになるように、統計を取る方法を変えてしまえ」
 というわけ。これが首相の側からの指示であったらしい。
 2015年1月の入れ替え時には、増減率がプラスからマイナスに転落した月も発生。(中略)
 中江元哉・首相秘書官に説明し、中江氏が「実態を適切に表すための改善の可能性など」の「問題意識」を伝えたと説明した。
 「プラスだと喜んでいたところ実はマイナスだったということで、官邸が怒っているという話を、誰からか聞いた記憶はある」と証言する。
( → 統計見直し、官邸の意向どこまで 「怒り聞いた」証言も:朝日新聞

 (3) 証言拒否

 上では、疑惑がある。そこで、疑惑の対象となる中江元哉・首相秘書官を国会に呼んで、証言を求めた。すると、彼は国会で証言拒否をした。
 中江元哉・元首相秘書官(現・財務省関税局長)が、14日の衆院予算委員会に政府参考人として出席した。野党は安倍晋三首相の意向が働いたか質問したが、中江氏は「首相秘書官を辞し、所管外」と答弁を拒否した。
 14日の予算委での菅義偉官房長官の答弁によると、中江氏は15年3月末に入れ替えに伴う影響などについて厚労省側から説明を受け「問題意識」を伝えたという。
 小川氏は「問題意識」の伝達について中江氏に「首相の意向か」と質問。しかし中江氏は「昨年7月に首相秘書官の職を辞している。本日は関税局長として出席しており、所管外のことは答えを控えたい」と、現職でないことを理由に答弁拒否を繰り返した。
( → 「問題意識」伝えた元首相秘書官、「所管外」と答弁拒否:朝日新聞

 「首相の意向か」と質問されたのだから、違うのなら「違う」と証言すればいい。しかし、まさしくそうであるのなら、「違う」と証言すると偽証になる。だから「証言拒否」をするわけだ。つまり、ここでは「首相の意向」があったことになる。つまり、統計の捏造は、首相自身の主導であったことになる。(証明終わり。)

 (4) 証人喚問の拒否

 課題は、ここでまさしく「イエス」という証言を得ることだ。そのためには「証言拒否」ができないようにすればいい。「自分が刑事訴追の恐れがあるから証言拒否」という手はあるが、佐川・元国税庁長官の場合と違って、元秘書官は「自分が刑事訴追の恐れがある」ということはないので、その手は使えない。だから、きちんと証言を求めればいいのだ。
 しかし、ここでは、証言拒否ができる。なぜなら、これは「証人喚問」ではなく、「参考人招致」だからだ。
 再掲すると、こうだ。
 中江元哉・元首相秘書官(現・財務省関税局長)が、14日の衆院予算委員会に政府参考人として出席した。

 なぜ「証人喚問」ではなく、「参考人招致」かというと、証言拒否ができることを狙って、与党が「参考人招致」にこだわったからだ。つまり、「証人喚問」を拒否したからだ。
 これについては、次の記事が参考になる。
 与党は4日の衆院予算委員会理事会で、統計不正を巡り野党側が求めた厚生労働省の大西康之元政策統括官(現・大臣官房付)の参考人招致を拒否した。大西氏は不正が発覚した賃金構造統計で担当幹部を務め、1日に事実上更迭された。野党側は「証人隠しだ」と批判した。
( → 与党、更迭厚労省幹部の招致拒否 野党「証人隠し」と批判 | 共同通信

 いっそう重要な大西康之元政策統括官については、「証人喚問」どころか、ただの「参考人招致」でさえ、与党は拒否していた。それほどにも与党は隠蔽体質になっている。
 ここでも、「首相が不正に関与していたこと」「その真相を隠そうとしていたこと」が、裏付けられるだろう。
( ※ そうでなければ、真実を明かすことができるからだ。)
( ※ なお、大西康之元政策統括官については、のちに「参考人招致」が実現した。)

 (5) 結論

 かくて、以上のすべてから、「首相による主導で捏造」であることが、強く推定されるわけだ。ただし、直接の証拠や証言はない。政府が隠蔽しているからだ。
 泥棒が検察を兼ねているときには、検察が泥棒(自分自身)を摘発することはできないのだ。
 
posted by 管理人 at 10:17| Comment(3) | 一般(雑学)5 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『いっそう重要な大西康之元政策統括官については、「証人喚問」どころか、ただの「参考人招致」でさえ、与党は拒否している。』というのは情報が古くないですか?
Posted by 郭公 at 2019年02月16日 10:35
> 拒否している。』というのは情報が古くないですか?

 ご指摘ありがとうございました。本文を修正しました。

 (誤) 拒否している。
 (正) 拒否していた。
Posted by 管理人 at 2019年02月16日 10:41
本文の引用中にある
「実態を適切に表すための改善の可能性など」

本来、実態を客観的に表すことが統計の意義であって、実感や意図した結果に沿うように手法を弄って数値を合わせる操作は、統計の名を借りた捏造です。統計に対する認識そのものが間違っています。

これでは、政策や実績の裏付けといった政権の道具にされるだけで、統計と称されるものなど不要じゃないかと。
Posted by 作業員 at 2019年02月16日 11:21
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