2019年02月14日

◆ 薬剤師のロボット

 薬剤師のロボットが実用化されたそうだ。人のかわりにロボットが調薬する。これにまつわる話題。
 
 ──
 
 ロボットとはいうが、人形ロボットではない。ただの自動運搬装置みたいなものだ。(朝日の記事。全文無料)
 薬剤師の代わりに薬を処方してくれるロボット9台が13日、ドラッグストアのトモズに登場した。薬剤師の作業負担が2割ほど減ると期待されている。
 病院が出した処方箋データを入れると、棚から薬を選んだり、複数の薬を一つの袋にまとめたりする。手足はないが、数分で作業を終える速さと正確さが売りという。
( → 無口だけど働き者 調剤薬局で作業ロボが効率化:朝日新聞

 こういうロボットが普及するとよさそうだが、小さな薬局があちこちで同じロボットを使うというのも、相当な無駄だ。駅前に薬局が 10店あれば、同じようなロボットが 10台設置されることになる。無駄。もっと集約した方が効率的だ。

 それで思い出すのは、「そもそも薬局が多すぎる」ということだ。この件は、前に述べた。
  → 薬局が多すぎる: Open ブログ
 一部抜粋しよう。
 街中の店が閉店したと思ったら、そのあとに薬局(処方箋薬局)が開店した。呆れた。これでいくつめだろう? たいして大きくもない駅前周辺に、やたらと多数の薬局がある。
 で、どれだけ繁盛しているのかと思うと、たいていは客が1人しかいない。その1人の客を相手に、何十分も時間をかけている。えらく非効率だ。
 客としても、薬局に入ってから、何十分も待たされるので、腹が立つ。しかも、店員がやっていることは、薬を取り出すことではなくて、パソコンへの入力だ。それを延々といつまでも時間をかけてやっている。腹立たしい。

 ここでは、「処方箋を電子化せよ」という趣旨で述べている。処方箋の人力入力は無駄の極みだからだ。
 一方、それとは別に、調剤そのものを機械化せよ、というのが、本項の記事だ。
 ただ、そのいずれも、「薬局が多すぎる」ということが問題となる。

 ──

 ではどうして、薬局はこれほどにも多いのか? 大きな売場をもつ大規模店舗に集約すれば、店も客もありがたいのに、どうして小さな店が大量に分散しているのか?

 これについて調べたところ、「値引きによる競争の禁止」という状態になっている。「それは独禁法違反では?」と思ったら、まさしく独禁法違反である。公取委にも指摘されている。なのにどうしてまともな競争がなされないかというと、厚労省自身が競争を禁止しているからだ、と判明した。
 「嘘だろ。そんなバカな」
 と思う人が多そうだが、事実である。正確に言えば、こうだ。
  ・ 業界は、ポイント還元による値引き競争を求めている。
   (特に大規模チェーン店のドラッグストアなど。)
  ・ 厚労省は、命令により、値引きを禁止している。


 出典は下記だ。
  → 調剤ポイント付与をめぐる動きと対応

 「中央社会保険医療協議会総会の決定」および「調剤ポイントを禁止したいとする、厚生労働省保険局」というふうに述べられている。値引きのかわりとなる調剤ポイント付与を、厚労省が禁止しているわけだ。このことは独禁法違反だと公取委が指摘しているのに、強引に「値引き禁止」を打ち出している。
 
  → 【厚労省】調剤ポイント、指導基準示す‐一部負担金の1%超、個別指導も

 2017年になって、「調剤ポイント1%」という基準を示した。1%の値引きならば許すが、それ以上の値引きは許さない、という方針を出したわけだ。(違反した場合は指導の対象となる、という形で、違反を禁じている。値引き禁止。)

 ──

 では、どうして厚労省は、こういうことをするのか? 理由は推察できる。地方の業界団体の圧力だ。具体的には個人薬局の業界団体の圧力だ。個人薬局は、大手のチェーン店との競合を恐れる。大手のチェーン店が値引き競争を持ち込むと、自分たちの店がつぶれてしまう、と恐れる。だから厚労省に圧力をかけて、値引きを禁止するわけだ。
 しかし、「値引き競争による淘汰」とは、それすなわち、「大型店への集約化」に等しい。つまり、「集約化による効率アップ」をめざすなら、小規模店の淘汰・廃業が必然なのだが、そうなることを中小の薬局が恐れる。かくて、薬局の集約化は進まないわけだ。
 「業界の圧力で効率化が阻害される」
 という自民党政治の悪弊が、ここでも噴出しているわけだ。
    ( ※ 「業界の圧力」とは、献金ではなく、票だろう。献金ならば、ドラッグ店のチェーンの方が多そうだが、票となると、中小店の方が多い。



 [ 付記 ]
 薬剤師ロボットというロボットの話(ITの話)ではなくて、それを導入しにくくしている制度的な問題をした。
 いくらIT技術が発達しても、それを受け入れることを阻害する土壌があると、せっかくの技術が普及しないわけだ。あるいは、無駄な形で普及することになる。宝の持ち腐れというか、無駄遣いというか。……ひどいものだ。

 
posted by 管理人 at 23:52| Comment(4) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
飲み合わせや副反応はAIがDB参照して候補を示す方が効率的な気がします。
Posted by 一介の登録販売者 at 2019年02月15日 00:09
医院や病院の傍にある処方箋薬局チェーンの圧力もかなり強大です。この薬局がフランチャイズ方式なのか直接経営方式なのかは存じませんが、純然たる個人経営ではないはずです。

日本調剤、社長の年間報酬は7億円…薬局は「儲けすぎ」なのか?
https://biz-journal.jp/2017/12/post_21714.html
Posted by 作業員 at 2019年02月15日 11:06
とりあえずデータの打ち込みについては情報をQRコード化して表示する基準を厚労省が作って義務化すれば低コストで入力できそうです。
Posted by daimong at 2019年02月15日 15:11
> 情報をQRコード化して

処方箋の電子化は、リンク先で言及済み。そちらを参照。
  http://openblog.seesaa.net/article/435849358.html

ここでは、処方箋をオンラインで伝えることを基本としている。

QR コードのように、処方箋自身に情報内容を載せることは、考えていない。なぜなら、QR コードでは、情報のエラー(汚れによるエラー)が考えられるからだ。間違えてもいいような情報ならともかく、人間の生命に関わるような情報では、エラーは万一にもあってはならない。エラー訂正信号が含まれていても、十分ではない。ゆえに、QR コードは不適だ。

あと、QR コードは情報量が不足気味だ。医薬品コードは 12桁の英数字だが、それに数量情報が3桁必要となる。薬剤が6種なら、90桁の英数字 となる。さらに、医薬品であることを指定する独自コードも必要だ。合計 100桁ぐらい。エラー訂正信号を含むと、かなり大サイズの QR コードの画像となる。サイズがデカくなると、エラーも起こりやすくなる。

ゆえに、電子処方箋は、データを記入せず、処方箋番号だけを記して、あとはオンラインで情報を出すことが好ましい。情報漏れについても管理できるし。(ログイン時に確認。)
Posted by 管理人 at 2019年02月15日 21:46
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ